2022.10.11
第12回 FSC認証と「管理計画」&「モニタリングと評価」
責任ある森林管理のために、FSCが定めている「10の原則」。今回はその原則の7つめ「管理計画」と8つめ「モニタリングと評価」について詳しく見ていきましょう。
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FSCの原則7「管理計画」とは?
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FSC10の原則、7つめは「管理計画」がテーマだね。
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そうですね。FSCは森林の管理者に、森林管理の目的を明確にし、適切に管理計画を立てることを求めています。
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具体的にはどんなことを求めているんだろう?
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FSCでは次の6つの基準を定めています。
7.1 管理計画には明確な管理方針と目的が示されている
7.2 健全な森を維持するための具体的な計画を立てている
7.3 計画には分かりやすく、チェックしやすい目標を入れている
7.4 管理計画を定期的に見直している
7.5 管理計画のまとめは公開されており、誰でも見られる
7.6 管理計画の作成には、一般関係者からも意見を聞いている
7.1 管理計画には明確な管理方針と目的が示されている
7.2 健全な森を維持するための具体的な計画を立てている
7.3 計画には分かりやすく、チェックしやすい目標を入れている
7.4 管理計画を定期的に見直している
7.5 管理計画のまとめは公開されており、誰でも見られる
7.6 管理計画の作成には、一般関係者からも意見を聞いている
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いろいろな基準があって、カンタンではなさそう…。
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そうですね。森林管理の目的は、木材の生産のほか、地域社会のコミュニケーションの場の提供、社員教育など、森林によってさまざまです。まずは、基準7.1にあるように、目的をはっきりさせることが大切になります。
そのうえで、目的に合った計画を立てます。例えば、木材生産のための森林なら、生育している木の種類や量などの調査にもとづいて、環境や社会のことも考えながら、どこの木をいつどれぐらい伐るかといった計画を立てていきます。
計画の立て方は、国の状況によってさまざまです。インドネシアやマレーシアでは、森林に生えている木の種類や量などくわしく調査し、何十年という単位でどの樹種をどの程度伐採するのかという計画を立てるため、計画資料はかなりの量になります。一方、日本の場合は、森林に関する情報を記載した台帳(森林簿)が整備されているので、この情報を参考にして計画を立てることができます。
そのうえで、目的に合った計画を立てます。例えば、木材生産のための森林なら、生育している木の種類や量などの調査にもとづいて、環境や社会のことも考えながら、どこの木をいつどれぐらい伐るかといった計画を立てていきます。
計画の立て方は、国の状況によってさまざまです。インドネシアやマレーシアでは、森林に生えている木の種類や量などくわしく調査し、何十年という単位でどの樹種をどの程度伐採するのかという計画を立てるため、計画資料はかなりの量になります。一方、日本の場合は、森林に関する情報を記載した台帳(森林簿)が整備されているので、この情報を参考にして計画を立てることができます。
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基準7.5や7.6を見るとわかるように、つくった管理計画はオープンにしておく必要があるんだね。
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はい。FSCは「さまざまな影響がある周辺地域のことも考えて森林を管理する必要がある」と考えています。ですから管理計画を立てるときも、森林の管理者だけで行うのではなく、地域住民など森林の影響を受ける人たちとも相談しながら行い、まとめた管理計画を公開することと定めています。
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FSCの原則7「管理計画」は、なぜ必要?
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この原則は、なぜ必要なの?
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木が育つのには長い年月がかかります。例えば日本のスギやヒノキは、苗木を植えてから木材として利用できるようになるまでに40~50年ぐらいかかります。そうしたの成長サイクルに合わせて、どの木をいつごろ伐るのがよいか長期的に見通さなくてはなりません。
もちろん、何十年間のうちに変動する景気や木材需要の状況、森林所有者の生活の事情などによって、ある程度フレキシブルな対応も必要でしょう。とはいえ、木材の価格が上がったときにすべて伐るなど無計画に行っていると、森林の豊かさが失われてしまうかもしれません。これからもずっと森林の恵みを活用していくためには、やはり長期的な管理計画が欠かせないのです。
もちろん、何十年間のうちに変動する景気や木材需要の状況、森林所有者の生活の事情などによって、ある程度フレキシブルな対応も必要でしょう。とはいえ、木材の価格が上がったときにすべて伐るなど無計画に行っていると、森林の豊かさが失われてしまうかもしれません。これからもずっと森林の恵みを活用していくためには、やはり長期的な管理計画が欠かせないのです。
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一度森が荒れてしまったら、再び豊かな森に戻すのは大変だものね…。
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FSCの原則8「モニタリングと評価」とは?
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FSC10の原則の8つめ「モニタリングと評価」についても教えて!
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これは、森林の管理計画がきちんと実行されているか、悪影響は出ていないかなどを定期的にモニタリング(チェック)することを求めた原則ですね。
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具体的に、FSCはどんなことを求めているの?
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FSCでは次の5つの基準を定めて、これらを守ることを求めています。
8.1 管理計画の実施状況をチェックしている
8.2 環境や社会への影響を調べ、その意味を理解している
8.3 定期チェックの結果を基に計画を改善している
8.4 定期チェックの結果をまとめ、公開している
8.5 森から得られる収穫物の種類や量、取引が記録されている
8.1 管理計画の実施状況をチェックしている
8.2 環境や社会への影響を調べ、その意味を理解している
8.3 定期チェックの結果を基に計画を改善している
8.4 定期チェックの結果をまとめ、公開している
8.5 森から得られる収穫物の種類や量、取引が記録されている
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森林の管理者はどんなことをチェックしているの?
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FSCは「モニタリング要求事項」のリストを作成していて、例えば「農薬の使用によって悪影響が出ていないか」「廃棄物の処理は適切に行われているか」「性別による差別をしていないか」「木材の年間収穫量・成長量は計画した量と比べてどうか」など、さまざまな項目をあげています。
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誰が、いつ、モニタリングするの?
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基本的には森林の管理者が最低年1回行うことになっています。ただ、木の育成状況や廃棄物の処理状況など、日常の作業や見回り時に確認できる内容もあり、一律に実施時期や方法が決まっているわけではありません。
ちなみに、FSC認証林では毎年、認証機関が監査(FSC認証基準を守っているかの確認)を行いますが、この原則は、それとは別に自分たちで行うモニタリングのことを指しています。
ちなみに、FSC認証林では毎年、認証機関が監査(FSC認証基準を守っているかの確認)を行いますが、この原則は、それとは別に自分たちで行うモニタリングのことを指しています。
FSCの原則8「モニタリングと評価」は、なぜ必要?
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この原則は、なぜ必要なの?
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せっかく森林の管理計画を立てても、それがきちんと実行されなければ何にもなりません。計画どおりに進んでいるか、思ったとおりの管理ができているかなどを定期的にチェックすることが、管理の質の維持や改善につながります。
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なるほど。
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FSCは、「環境」「社会」「経済」の3つのバランスを大切にしています。モニタリング要求項目にも、木を育てて伐るという経済面だけではなく、森林の生態系や水・土壌などの環境面、働く人や地域の人の生活や文化などの社会面を意識した内容が多くふくまれているところに、FSCの特徴がよく表れていますね。
森林管理者からは、「こうした項目を定期的にチェックすることで、環境や社会に対する認識が深まった」という声があがっています。
森林管理者からは、「こうした項目を定期的にチェックすることで、環境や社会に対する認識が深まった」という声があがっています。
![](http://shitte-erabo.net/wp-content/uploads/2020/07/c96f80a731cc42e80cb08b3aeec261c4-e1595296272599-524x480.jpg)
チェックするからこそ気づくことってあるよね。計画とモニタリングの大切さがよくわかったよ!
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【まとめ】
木が育つのには長い年月がかかります。未来を見据え、確固とした理念に基づく管理方針や目標を立て、さまざまな人に意見を聞きながら広い視野で管理計画を立てることが必要です。また、その管理計画はきちんと実行されなければ何にもなりません。計画どおりに進んでいるか、思ったとおりの管理ができているか、悪影響は出ていないか、改善の必要はあるかなど、定期的なモニタリングが不可欠です。
計画とモニタリングの大切さがわかった!
次回は原則9「高い保護価値」について学ぼう!
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監修:FSCジャパン
FSCⓇ C011851