2018.8.31

「自然由来のもの」を扱う企業だからこそ取り組む環境活動

スターバックス コーヒー ジャパン株式会社

 
1996年の日本第1号店の出店以来、日本のカフェ文化を牽引してきたスターバックス コーヒー ジャパン。店舗主催によるお客様向けイベントを開催するなど、コーヒー以外の楽しみ方も提供しています。

スターバックスは世界各国で環境活動に力を入れていますが、その日本法人であるスターバックス コーヒー ジャパンにおいては、日本独自の取り組みを行っているそうです。そんな同社の取り組みについて、サプライチェーン本部 品質保証部 店舗衛生・環境推進チーム 環境推進担当マネージャー関根久仁子さんと、同チームマネージャーの普川玲さんにお話をお伺いしました。

お話しを伺った方

サプライチェーン本部 品質保証部 店舗衛生・環境推進チーム 環境推進担当マネージャー
関根 久仁子さん(右)
「FSCについて知ったのは2006年頃。それまでまったく知らなかったのですが、もう知る前の自分には戻れないくらい、意識の中にすり込まれています。」

店舗衛生・環境推進チーム チームマネージャー
普川 玲さん(左)
「FSC認証を取得するのにはただならぬ努力が必要であることを知りました。思いが強いからこそできることだと思います。人々の思いが集結し、同じ思いを持った者がつながる、良い出会いの連鎖を感じています。」

2020年までに使用する主な紙製品をFSC認証紙へ

今年の7月2日、FSCジャパンと日本企業7社による共同宣言「FSC認証材の調達宣言2020」が発表されました。持続可能な森林資源調達をめざす7社の中に、スターバックス コーヒー ジャパンも参画。「2020年までにペーパーカップをはじめ、使用する主な紙にFSC認証紙や再生紙を使用する」という目標を掲げました。
同社ではペーパーカップ、ペーパーバッグやデザートを持ち帰るときのボックス、ペーパーナプキン、レシートについてはすでにFSC認証製品を使用しています。それだけでなく、私たちが普段目にしない業務用のミルクパックやソイミルクパックもFSC認証製品なのです。
「弊社には全世界のスターバックス共通の意識として『Our Mission and Values』を掲げています。このミッションは、我々従業員にとって、いわば“文化”のようなものです。さらに、そのミッションをするため、また企業の社会的責任として『環境面のリーダーシップ』『コミュニティへの貢献』『倫理的な調達』という3つをCSRの柱としています。」(関根さん)。
特に環境面においては、コーヒーという自然の恵みである農産物を扱っている以上、環境に依存しながらビジネスを行っていると感じていると、関根さんは語ります。
「私たちはコーヒービジネスを営む者として、自然の恵みがなければ成り立ちません。またコーヒー豆のみならず、紙もたくさん使用しています。そこで環境への負荷をなるべく軽減し、資源を守る、あるいは再利用していく活動を世界で続けていますが、日本ではFSC認証製品を使うなどさらに一歩踏み込んだ取り組みをしています。」

日本法人独自の方針でFSC認証製品を選択

FSC認証紙を使用した製品

FSC認証紙を使用した製品

グローバルの方針として、紙類についてはなるべく再生紙を使うという規範がある同社。そこからさらに踏み込んで再生紙でないものにはFSC認証紙を採用することになったいきさつについて普川さんは、「カップはお客様が直接口をつけるものですし、再生紙に抵抗のある方もいるので、バージンパルプのものを使うのであれば、信頼のあるFSC認証製品が良いと考え、採用を決めました。10年程前からペーパーバッグにFSC認証紙を使用し、2015年頃からペーパーカップを順次FSC認証の製品に切り替えています」。

またお客様の目に触れないものにもFSC認証製品を使っています。
「業務用のミルクパックやソイミルクパックにもFSC認証紙を使っています。各店舗では毎日、コーヒー豆と同じくらいミルクをたくさん使っていますので、そういった消費の大きいものの切り替えが特に大切だと思い取り組んできました。またこれらパック類は廃棄せず、回収後、その一部がペーパーナプキンにリサイクル(※)されて、店舗に戻ってくる『資源循環』の仕組みも確立しています。自分たちが使用したミルクパックが、ペーパーナプキンにリサイクルされて店舗に戻ってくる、この仕組みはパートナー(従業員)のモチベーションアップにもなっているようです」(普川さん)。
※パックからの再生紙70%、FSC認証のバージンパルプ30%を使用。

「使い終わったものを洗って乾かして重ねるというのは、パートナーにとっては負担がかかる作業ですが自分たちがリサイクルの一役を担っているという意識を持って積極的に取り組んでくれています。」(関根さん)

サプライヤーとの協力も必要不可欠

こうしたFSCの切り替えにあたっては、サプライヤーとの協力も不可欠です。「FSC認証製品の切り替えはサプライヤーさんにも私たちと同じ目線に立ってもらうことが重要でした」と普川さんは振り返ります。
「FSC認証とは何かという説明や、FSC認証紙を使う意義について説明させていただき、協力をお願いしました。今ではサプライヤーさんから次はこれをFSC認証紙に切り替えませんかと提案いただくこともあります。」同社の環境への取り組みを知り、理解してくれたことで、サプライヤーからの協力が得られたのです。

店舗にも地元のFSC認証の木材を使用

紙製品だけではなく、テーブルなどにもFSC認証の木材が使われている店舗があります。そのきっかけとなった店舗の1つが2010年にオープンした福岡大濠公園店です。同店舗は小売店舗としては初となる、建物と敷地利用の環境性能評価システム「LEED認証」(※)を取得しました。

※米国グリーンビルディング協会 (USGBC) が開発、運営する環境性能評価システムで、Leadership in Energy and Environment Designの略。6つの評価項目をもとに、環境性能の向上を目的とした計画に基づいて建築・デザインされたことを証明する第三者認証。

「LEED認証の取得にあたって『地元の木材を使う』と評価の加点になるということから、九州産の木材を使うことになりました。その際に調達した木材が大分のFSC認証林のものでした。一枚板の大きなスギの天板をテーブルにしたり、外壁や天井にも使用したりしました」(普川さん)

こうしたFSC認証林の木材の使用はLEED認証取得店舗に限ったものではありません。例えば浜松城公園店では天井の一部にFSC認証木材を使用しているとのこと。「環境配慮型店舗として1月にオープンした目黒セントラルスクエア店には、静岡県浜松市天竜のFSC認証林から調達したヒノキの天板を使ったテーブルもあります。」(普川さん)。

福岡大濠公園店の店内

南三陸町のFSC認証林でパートナーの研修・視察を実施

同社ではパートナーが実際にFSC認証林へ研修・視察にも行ったこともあるそうです。宮城県仙台地区のパートナーが自分たちの店舗で使っているFSC認証製品についてさらに理解を深めようと実施されました。そしてその後、地区マネージャーの発案で仙台フォーラス店やエスパル仙台東館店で、テーブルや店舗を飾る木製のアートフレームなどに南三陸町のFSC認証林の木材を使用が実現しました。

また、月に1回発行している『グリーン通信』という環境に特化した社内広報でも、環境活動に取り組む意義を関根さん・普川さんが発信しています。アルバイトのパートナーにも、一定の職位になると1時間の環境教育の時間をとっているそう。こうした環境教育を通して、主体的に環境に取り組む姿勢が浸透しているようです。

店舗によっては、パートナーが主体となりさまざまなイベントを開催しています。二子玉川公園店では、親子向けにFSC認証についてのワークショップを開催したり、目黒セントラルスクエア店では、FSCに限らず環境に関してのワークショップを2ヵ月に1度のペースで開催したりと、パートナーから自主的に発信する取り組みが行われています。

環境活動の仲間に加わってもらうために


スターバックス コーヒー ジャパンの環境への取り組みについて、広くお客様に知ってもらいたいと関根さんは考えています。
「現在、スターバックスの店舗は国内に1350店舗以上あります。店舗にはコミュニティ活動を伝えるための『コミュニティボード』があり、店舗独自で環境への取り組みを発信してきました。今後より多くのお客様に我々の取り組みを知ってもらい仲間に加わってもらえたら、と考えています」

また普川さんは「コーヒーも自然の恵みであるとともに、紙も自然の恵みであり、なくてはならないものです。そういう紙を使い続けるためには、今後も持続可能な森から生産されたものを使っていきたいです」と語ります。

スターバックス コーヒー ジャパンのビジネスは、コーヒー豆を生産する生産者、ミルクや野菜、お茶などを提供する農業者、商品を包む紙製品など、すべて自然由来のもので成り立っています。「今後もおいしいコーヒーを飲んでもらいたい、そのためには環境への配慮を継続していきたい」、そんな同社の強い思いがさまざまな取り組みにこめられています。

【取材先募集のお知らせ】
FSC応援プロジェクトでは、FSC認証製品を導入し、利用を推進する企業様を募集しております。
取材をご希望される方は、お問い合わせフォームよりご連絡ください。
お送りいただいた内容より、掲載可否を精査させて頂いた上での取材となります。
必ず掲載とならない旨、何卒ご了承ください。

スターバックス コーヒー ジャパン株式会社
東京都品川区上大崎二丁目25番2号 新目黒東急ビル
http://www.starbucks.co.jp/

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