2018.3.22

「環境配慮商品」を2861万人の組合員とともに考える

日本生活協同組合連合会のPB商品



消費者による協同組織であり、全国で様々な事業や活動を展開する生活協同組合(生協)。「くらしに役立つ」「安心・安全」などの考え方に加え、「持続可能な環境配慮」を意識した商品を多く取り扱い、食品や日用品の購入先として利用している人も多いのではないでしょうか。そうした各生協のニーズを受け、商品開発に取り組んでいるのが、日本生活協同組合連合会(日本生協連)です。特に近年は国際認証を積極的に採用し、FSCマークのついた商品もどんどん増えています。その意図や方向性などについて、資材調達部の設楽良昌さん、サステナビリティ推進部の小野光司さんに伺いました。

お話しを伺った方

日本生活協同組合連合会
MD改革本部 資材調達部 部長
設楽良昌さん(左)
組織推進本部 サステナビリティ推進部
小野光司さん(右)
設楽さんは、公害が大きな社会問題になっていた時代の東京育ち。「学生の頃から、環境や社会問題に興味がありましたが、生協に入って配属されたのは直接関係ない物流や生産管理。それが今、調達の担当として環境配慮商品に携わることができて嬉しく思っています」。一方、四国の田舎で育ったという小野さんは「自然は当たり前にあるものでした」とのこと。「近所の川のドジョウをとりすぎて、次の年にドジョウが居なくなっていた苦い思い出もあります(笑)。大切な自然を失ってからではなく、失う前にできることを考えていきたいですね」。

 

2012年9月の「CO・OPティシュ」を皮切りにFSC認証商品が続々登場!

食材や日用品など、多くの生協商品を開発する「日本生協連」。環境に配慮した商品も多く、 FSCマークのついた商品は98品にも上ります。 

MD改革本部 資材調達部 部長 設楽良昌さん

MD改革本部 資材調達部 部長 設楽良昌さん

「最初に開発されたのは、2012年9月に登場した『CO・OPティシュ』と『CO・OPパルプロール シングル/ダブル』。2014年9月にはFSC認証容器を使用した紙パック飲料が発売されました。当初37品だったものが、2018年4月には67品になります」(設楽さん) 

日本生協連でのFSC認証品第一号となった「CO・OPティシュ」

日本生協連でのFSC認証品第一号となった「CO・OPティシュ」

さらに2017年4月には段ボールにFSC認証品を採用し、2020年度末までには50%をFSC認証品とする目標を掲げています。また、2017年9月には飲料の紙パック以外の紙容器でもFSC認証品を採用し、順次増やしていく予定です。

2018年春には、人気商品「ただの炭酸水」のダンボールもFSCマーク付きに!

2018年春には、人気商品「ただの炭酸水」のダンボールもFSCマーク付きに!

これだけ多くの商品でFSC認証品を調達するには、各包材メーカーとの強力な連携が必要だったといいます。

「CO・OPブランド商品のパッケージなら、自分たちで責任をもって手配しようということになり、8年ほど前から調達部門を立ち上げました。FSCについては、包材メーカーさんからの提案もありますが、基本的には私たちから『FSC認証紙で作ってください』と依頼する形を取っています。最初の頃は、FSC認証品を作るのが初めてという段ボールメーカーさんも多く、『(FSC認証品を)他の得意先にも勧めてみた』というお話も聞きました。間接的にFSC認証品の普及に貢献できたのではないかと嬉しく思っています」(設楽さん)

 

信頼性の高い「国際認証」を活用して、環境配慮商品を広める

FSC認証品を積極的に進めてきた背景には、日本生協連の商品開発の基本的な考え方として「組合員の声に応えた商品づくり」があることが大きいといいます。

「一般的な製造・小売業と異なるのは、組合員さんが利用者であると同時に出資者でもあることです。運営主体として生協をいいものにするためにと、組合員さんからは商品についても多くの『声』が寄せられています。その中で特に多いのが『安心・安全』や『便利さ・使いやすさ』、そして『環境への配慮』などです。例えば『トイレットペーパーの芯は無駄なのでは?』『再生紙をもっと活用して』など、環境配慮やエコ商品に対する関心が高まっています」(小野さん) 

組織推進本部 サステナビリティ推進部 小野光司さん

組織推進本部 サステナビリティ推進部 小野光司さん

そうした声を受け、日本生協連では環境配慮商品の開発に積極的に取り組んできました。以前は、環境配慮商品について独自基準を設けていましたが、現在は、エコマークや有機JAS、レインフォレスト・アライアンス、RSPOなどの外部基準など、社会的に認知された認証を環境配慮商品として採用し普及しています。その理由を小野さんは次のように説明します。

「独自基準は管理や客観的な証明が難しく、とても手間のかかるものです。そこで国際認証など信頼性の高い外部基準を活用することで、より多くの環境配慮商品を開発し、その価値を広げることで社会貢献ができると考えました。とりわけ海外原料に頼る紙の調達の適正化は最重要事項であり、再生紙の利用も解決策の1つではありますが、違法伐採の木材が日本に輸入されている可能性が指摘される中で、環境に配慮した持続可能な紙の調達は大きな課題でした。それを最も確実かつ効率的に実現できる方法として、FSC認証を選んでいます」 

CO・OPコーヒーバッグ オリジナルブレンド 50杯分

CO・OPコーヒーバッグ オリジナルブレンド 50杯分

配送用ダンボールとパッケージはFSC認証紙、コーヒーはレインフォレスト・アライアンス、個包装には植物由来ペット原料を採用。外部認証を活用して丸ごとエコ商品が実現!

組合員の声を受け止めて、自らも学び提案も行なっていく

一般的に消費者のFSC認証についての認知や理解は、まだまだ十分とは言えません。その中でも、あえてFSC認証を選んだ理由としては、その考え方、理念に共感があったからといいます。

「私もFSCジャパンやWWFなどFSCを推進する団体の勉強会に出席し、実際にFSCの森に足を運んで管理の方法を見学したこともあります。そうした中で、十分に信頼できる認証であり、現在の環境問題を大きく改善するための方法としての有効性も実感しました。そうした個人的な気づきも含め、日本生協連として『こんな良いものがある』と提案したり、啓蒙したりするのも私たちの仕事だと考えています」(小野さん) 

 

現在、日本生活協同組合連合会に加盟する生協は322団体になり、組合員数は2861万人を突破し(2016年度)、現在も加入者数を増やしています。その大きなネットワークで環境配慮に対する理解が深まれば、社会的にも大きなインパクトになるでしょう。日本生協連では、会員生協の求めに応じてFSCに関する出張学習会を行ったり、環境配慮商品に関する小冊子をまとめて配布したりしています。そして、FSC商品自体も有効なメッセンジャーと言えるでしょう。

小冊子「エコなくらしを応援する コープの環境配慮商品」にもFSCマークの紹介が!

小冊子「エコなくらしを応援する コープの環境配慮商品」にもFSCマークの紹介が!

「商品を開発する際にも、そのあたりは意識していますね。パッケージに比較的大きめにFSCマークを掲載し、流通用のダンボールにもかなり大きく入っています。生協商品は箱買いも多いので、ご家庭で目にして『このマークはなんだろう?』と思っていただける機会も多いでしょう。そういった日常的なコミュニケーションの中から、環境配慮商品やエシカル消費について考えてもらえたらいいなと思っています」(設楽さん)。

これからもますます生協商品にFSCマークを見かけることが増えそうですね。FSCマークを見つけたら、ぜひFSC応援プロジェクトのFacebookに投稿してくださいね!

コープ商品を知る
http://goods.jccu.coop/feature/promise5/

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日本生活協同組合連合会
東京都渋谷区渋谷3-29-8
http://jccu.coop/

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