東急ハンズのオリジナルダイヤリー&アルバム
生活雑貨を中心に、話題の最先端グッズから「あっ?」と驚くユニークなモノまで、バラエティ豊かなモノがずらりと揃う「東急ハンズ」。そんな東急ハンズのオリジナル商品で、2012年からダイアリー、そして今年からアルバムに「FSC認証紙」を使用した製品が登場しています。デザインや紙質にこだわりのある東急ハンズの顧客にもアピールできる商品。そこにあえてFSC認証紙を採用した理由や背景、そして東急ハンズのモノづくりの考え方について、同社でオリジナル商品の開発に携わる武井隆道さん、広報の平岡幸大さんにお話をうかがいました。
お話しを伺った方
- 株式会社 東急ハンズ
事業戦略室 PB企画推進グループ 企画担当 グループリーダー - 武井隆道さん(左)
- 株式会社 東急ハンズ
広報・CRS推進室 広報グループ - 平岡幸大さん(右)
- 4年前からPB商品開発担当になったという武井さんは、「FSCマークを知ってから、『結構あるんだ』と目につくようになりました」とのこと。学生時代は海洋生物を研究していたというアウトドア派。一方、スノボが趣味という平岡さんは広島出身。「東急ハンズのCSRは始まったばかり。まだまだ模索中です」と語ります。お二方とも、お土産にお持ちしたFSC認証材のグッズに興味津々で「東急ハンズのスタッフはグッズ好き」を体現されていました。
モノにこだわるお客様のためにFSC認証紙でオリジナルペーパーを開発
そろそろ2017年も終わりに近づき、新しいダイアリーの購入を検討している方も多いのではないでしょうか。東急ハンズの店頭にも色とりどりのダイアリーが並んでいます。その中に、さりげなくFSCマークが入ったものを発見! シックな色使いとなめらかな紙質、シンプルながら上質な雰囲気がステキなダイアリー、東急ハンズオリジナルの「hands+(ハンズプラス)」の商品です。
「『hands+』は“暮らしを彩るアイテムに新しい価値をプラスした”東急ハンズオリジナルの商品です。日々お客様に接し、商品知識も豊富なスタッフの声を活かして開発されており、ダイアリーも2007年の発売以来、少しずつ改良を重ねて現在の製品へとブラッシュアップしています。特に紙にはこだわり、2012年からオリジナルペーパーを開発し、なめらかな書き味や軽さ、透けにくさなどを実現させてきました。そのオリジナルペーパーを開発する際に、どうせなら環境配慮のものにしては、と開発メーカーさんから『FSC認証紙』という選択肢があることを教えていただいたんです」(武井さん)
当時は担当開発者も、その後を引き継いだ武井さんもFSC認証について知らなかったそう。しかし、FSCの森林保全の考え方について共感し、紙の機能性を重視し、その要件を満たした上で「環境配慮ができるなら」と採用を決めたといいます。
「開発はけっこう大変だったと聞いています。そもそもFSCは森林から工場や流通まですべてが認証を受けている必要がありますし、ダイアリーは中のレフィルのみならず、スピン(ひも)や表紙なども認証原料でなければなりません。その足並みを揃えるのはなかなか時間がかかったようです。それでもやっぱりいいモノをつくりたいという思いが強かったのでしょう。数社の皆さんにも連携してご協力いただきました。今も監査は1年に1回受けているんですよ」(武井さん)
たとえ気づかれなくても、モノに託して様々なメッセージを発信する
FSC認証紙を使ったダイアリーは、12種類で3〜5色展開。近年は多様化が進み、12月、1月、3月、7月、9月始まりがそれぞれ用意されます。そして、2017年からは、リングアルバムにもFSC認証紙が採用されることとなりました。
「今後も少しずつではあるものの、FSC認証紙の採用は増やしていきたいですね」と武井さん。実際、FSC認証紙以外にも、国産デニムなど国産原料にこだわったり、間伐材を使った製品を取り上げたり、様々な環境配慮製品の開発や販売などに取り組んでいます。
「FSC認証紙の採用なども含め、東急ハンズでの環境配慮に関する取り組みは、特に大きな宣言をしているわけではないんです。むしろ、製品を開発する、取り扱うといった際に、環境配慮についての物語がひもづき、それがいいものだと思えたら採用したり、販売したりしています。いわば“モノ”が中心ですね。そうしたメッセージに応えるお客様も増えて来られているので、必然的にそうしたエシカルな商品の取り扱いは年々増えているように感じます」(平岡さん)
店舗やオンラインショップでは必ず「エコ商品」についての紹介が行なわれており、「手のなかのエコ」として環境配慮を意識した商品を購入するとNPOに寄付される取り組みなども実施されています。こうした環境配慮製品はもちろん、様々な背景や物語のある製品について、スタッフが自分の言葉で語れるのも東急ハンズの強みと言えるでしょう。
「やっぱりモノが好きな人が多いですからね。理念を先に伝えるより、モノを介してウンチク的に伝える方が、自然なのかもしれません(笑)」(平岡さん)
5年間で「理由がある」買い物の仕方へとシフト
物語のあるモノがあり、その物語を語れるスタッフがいて、受け取って価値を理解する顧客がいる。それは、東急ハンズが時間をかけて醸成してきた関係とも言えるでしょう。しかしながら、小売業としては「環境配慮をしているから」といって、モノが売れるわけではないというシビアな現実も一方であります。それでもできるだけ「いいモノ」を提供したいという気持ちは、“モノ好き”の矜持なのかもしれません。
「やっぱり、いくらモノが良くても、安くても、やはり反社会的な方法でつくられたものは、お客様はもちろん、提供する側としても気分がいいものではないですからね。やはり、事業者としていいモノをつくりたい、販売したいという気持ちはあります。ただ声高にアピールしなくても、いいものを提供して、それをお客様が選んでくだされば、間接的に社会にいい影響があると思うんです」(武井さん)
その一方で、作り手側の矜持に応えてか、先行してか、消費者側の買い物行動にも大きな変化が現れているといいます。
「5年前は店舗で販促や販売をしていたのですが、当時はテレビなどで話題になった商品が、大ヒット商品となったが、長続きせずまた次のヒット商品が誕生する…というような現象がありました。そういうことは最近めっきり減って、高くてもいいモノ、買う理由があるモノを吟味して購入される方が増えているように感じます。そして、その理由の中にFSC認証品のような環境配慮型であることも含まれるようになればと思います」(平岡さん)
モノへのこだわりが強い、意識の高いお客様と、そのマインドを汲み取りながら、新しい価値をプラスしたモノづくり、販売に取り組む東急ハンズ。お店では環境配慮を意識した商品が少しずつ増えている模様です。FSCマーク付きの『hands+』のダイアリーもその1つ。1年間を気持ちよく過ごせるように、来年のパートナーとして選んでみてはいかがでしょうか。
【取材先募集のお知らせ】
FSC応援プロジェクトでは、FSC認証製品を導入し、利用を推進する企業様を募集しております。
取材をご希望される方は、お問い合わせフォームよりご連絡ください。
お送りいただいた内容より、掲載可否を精査させて頂いた上での取材となります。
必ず掲載とならない旨、何卒ご了承ください。
- 株式会社 東急ハンズ
- 東京都新宿区新宿6-27-30 新宿イーストサイドスクエア
- https://www.tokyu-hands.co.jp/
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