2022.12.27

「地球にやさしい」と「便利で快適」を両立させる
コーチョーが目指す”サステナブル”な製品づくり

コーチョー 「ネオシーツセレブ」

コーチョー 「ネオシーツセレブ」
 
1963年創業のコーチョーは、生理用ナプキンをはじめ、紙おむつやペット用シーツなど“吸収体”の事業に専心してきました。ペット用シーツについては1987年より量産生産を開始し、ホームセンターでの販売によって事業を拡大。より高い機能性を追求し、2022年3月に同社最高品質とする「ネオシーツセレブ」を発表しました。ユーザーアンケートをもとに、匂いや足濡れ、漏れなどのトラブル改善を追求し、その吸収体としてFSC認証の綿状パルプを採用しています。製品開発の経緯や背景などについて、同社の渡邉邦彦さん、飯田一成さんにお話を伺いました。

お話しを伺った方

株式会社コーチョー
専務 渡邉邦彦さん(左)、経営戦略部 飯田一成さん
本社のある静岡県富士市で、小学校の環境学習の出張授業を行なっています。子どもたちが環境についてしっかり考えていることに驚かされます。学ぶだけでなく、日常生活の中でも環境に配慮したものを選べるようになるといいなと思っています。

お客様の声をもとに、高い品質を追求したペットシーツを開発

家族同然の存在となりつつある犬や猫などのペット。関連市場も年々拡大し、特に新型コロナウイルスが広がった2020年にはおこもり需要もあって急拡大しました。コーチョーでもペットシーツの売上が急激に上がり、改めてその価値やニーズについて考える機会になったといいます。

「ペットとの暮らしの中で、家の中での排泄は避けては通れない問題です。ペットも人もできるだけ快適でありたいと考えるのは当然でしょう。当社では、その具体的な課題について詳しく知りたいと思い、2017年から犬の飼い主様を対象にアンケートを実施しており、結果の分析から、より高い品質の商品の開発に取り組んできました。さらにコロナ禍が重なったことで、改めて消費者が求めている品質や価格を満たす製品について考えることになりました」(渡邉さん)

左:経営戦略部 飯田一成さん、右:専務 渡邉邦彦さん

おうち時間が増えて、ペットと過ごす時間も増えると、匂いや足濡れ、漏れなどによる床汚れが気になるようになる。それは、2017年の調査でも明らかでしたが、コロナ禍の中で、より気になるもの、解消したいニーズとして顕著に現れたといいます。

そこでコーチョーでは、新製品開発において、高速吸収に優れたエアスルー不織布を採用し、独自技術によるプレス加工を施して漏れや足濡れなどの軽減を図り、さらにクエン酸を配合して中和効果による消臭力アップ、グリーンティッシュで見た目の清潔感を補完するなど、様々な性能強化を実施。そして、吸収体の主要素材としてFSC認証の綿状パルプを採用しました。

吸収体の仕組み
5層になった吸収体の仕組み。
メインの吸収体にFSC認証の綿状パルプを使用

「環境に配慮した原材料の調達は、これからのメーカーには必須だと実感しており、もちろんFSC認証についても知っていました。しかし、以前はいわゆる『用紙』がメインで、不織布や吸収体などを組み合わせた当社の製品には向かないと思っていました」(飯田さん)

FSC認証の綿状パルプは、北米産の繊維が長い針葉樹から作られており、吸収・保水に優れています。そうした機能性を満たしつつ、さらに環境に配慮するものとしてFSC認証パルプの存在を知り、採用を決定しました。そして、2020年8月にFSCのCoC認証を取得し(ライセンスコード:FSC-158626)、2022年3月発売の「ネオシーツセレブ」がFSC綿状パルプ採用製品の第一号となりました。

環境に配慮した製品を使い続けてもらうには、品質とコストが大事

「たとえばFSC認証のパルプを使うことで、環境配慮面ではよくても、お客様の負担感が大きいものになれば、使い続けていただけなくなるでしょう。それでは、決してサステナブルとはいえません。一番大切なのは満足いただける品質、加えてそれに見合う形の価格である必要があります。そのため、コスト設計にはかなり苦労しました」(渡邉さん)

FSC認証の原材料を扱う際には、他と混じらないように厳密に管理することが求められるため、人的コストがかかり、通常品よりも割高になってしまいがちです。特にトイレシートのように様々な原材料が合わさった製品は、その分管理が煩雑で負担も大きくなり、それがコストに影響する可能性がありました。そこで、コーチョーでは業務フロー改善などの企業努力で人的コストを圧縮し、消費者が納得できる価格に抑えることに成功しました。

綿状パルプ
「ネオシーツセレブ」に使われている「綿状パルプ」
※写真はイメージです

そうして開発された「ネオシーツセレブ」は、利用者からの評判も上々。InstagramやLINEなどを介してつながっている約3000人の利用者からは「匂いが軽減した」「足濡れがしにくくなった」「長時間使えている」などの反応が返ってきています。また、屋内で行われたペットのイベントで使用した際には、渡邉さん自身が会場で匂いが抑えられていることを実感したといいます。

「FSC認証の綿状パルプを採用していたり、パッケージにバイオマスのポリエチレンを10%配合したりといった、環境に配慮した調達・原材料についてのコメントは、残念ながら返ってきていません。でも、FSC認証は徐々に知名度も上がっていますし、まずはいい製品として選んでいただき、いつかFSCマークに気づいていただければいいかなと思っています」(飯田さん)

時代とともに形を変えながら、環境配慮の取り組みも進化

実は、コーチョーではもともと環境配慮について様々な取り組みを進めており、20年以上前から、おからやヒノキのチップ、リサイクル紙などをリサイクルした「猫砂」の開発・製造なども行なってきました。

「改めてそうした取り組みがSDGsにも紐付いていることを意識したのが2017年です。SDGs未来都市にもなっている地元・富士市と包括連携協定を締結したことを機に、民間企業の1つとして『持続的な地域の発展』に貢献することを宣言しました。そして、中期事業計画として『ジェンダーフリー』『地域社会』『テクノロジー』と並んで『環境』も重点分野として掲げています。これまでお話したFSC認証綿状パルプの採用やCoC認証取得も、それらに紐づいた取り組みの1つであり、今後はあらゆる面で包括的に取り組んでいきたいと考えています」(渡邉さん)

そうした思いのもと、品質を高めながら、環境配慮も含めた高付加価値製品の製造を目的として、2022年10月に本社工場の隣接地に新工場が開設されました。2023年3月には本格稼働を予定しており、「ネオシーツセレブ」も製造されることになっています。

新工場
新工場で高付加価値製品の製造を強化

「当社はペットシーツや猫砂など、ペットのトイレタリー製品を製造できる自社工場を国内に持つという稀有な会社です。だからこそ品質にこだわるし、環境配慮も積極的に行なっていきたいと考えています。そして、使い続けていただくための価格を維持するために、新工場ではテクノロジーを駆使して製造ラインの合理化などを図ります」(渡邉さん)

ペットとの快適な暮らしを支えてくれるペットトイレタリー製品。その機能性・品質はもちろんながら、毎日使って廃棄するものだけに、できるだけ環境負荷を軽減したいと考える人も増えてくるでしょう。その時に当たり前に手に入る製品となるために、コーチョーの取り組みが進んでいます。

株式会社コーチョー
https://www.kohcho.co.jp/

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