2018.7.24

「大切なものを包んでいます」その思いを具体的な形にして広げていくために

テトラパックの紙パック



「紙パック」のグローバルサプライヤーとして知られる「テトラパック」。スーパーやコンビニで販売されている紙パック製品をよく見ると、多くにこの三角形のロゴマークがついていることに気がつくでしょう。1951年にスウェーデンで創業し、今や製造した紙パックの流通量は世界で1880億個。さらに世界では2個に1個、日本では7個に1個の紙パックにFSC マークがついています(2017年)。そんなテトラパックにおけるFSCの取り組みについて伺いました。

お話しを伺った方

日本テトラパック株式会社
環境部 ディレクター 日本・韓国担当
金井路也さん(右)
2004年日本テトラパック入社。環境部に配属後、スウェーデン本部での勤務などを経て、2016年から現職に。日本及び韓国における、様々な環境施策に従事。2018年5月よりNPO法人日本森林管理協会(FSCジャパン)理事に就任し、FSCの認知拡大にも取り組んでいます。

コミュニケーション部 マネージャー
松田 幸さん(左)
2017年日本テトラパック入社。社内外のコミュニケーション業務やCSR活動に従事。FSCの認知拡大と理解促進を図るため、様々な広報活動に取り組んでいます。

紙パックのライフサイクル全体で環境配慮に取り組む

牛乳やジュース、スープなど、飲料や食品の容器として広く普及している「紙パック」。そのリーディングカンパニーとして、テトラパックは常温で栄養や風味を保持するパックなど、画期的な製品を数多く開発してきました。さらに食品の加工から充填まで製品化を請け負うトータルソリューションプロバイダとしても地位を確立し、世界175カ国以上で事業を展開しています。

「日本での創業開始は1962年です。子どもの頃に給食で三角形のテトラパック(現在の呼称はテトラ・クラシック)入りの牛乳に親しんだという人も多いのではないでしょうか。私が小学生の頃は既に四角いブリックパックでしたが、現在そのタイプの紙パックは日本市場で高いシェアを誇っています」。(松田さん)

そんなテトラパックが力を入れているのが、環境への取り組みです。工場の省エネルギー化を進め、原料調達から製造、流通、リサイクルという一連の流れの中で環境負荷を軽減し、サステナブルな事業活動を実現しようとしています。

「紙パックというと『リサイクル』を発想しがちですが、やはりそれだけではなく、全ての工程での環境配慮が必要です。その一つとして環境に配慮した容器パックの開発にも力を入れており、キャップや内側のフィルムなどを植物由来原料に置き換えたり、リサイクルしやすい加工や形を本社の研究開発部門で開発したり、様々な取り組みを行なっています。そして原材料である紙についても、持続可能な『責任ある調達』を実現するべく、選択したのがFSCだったわけです」(金井さん)

テトラパックのロゴマークが目印

テトラパックのロゴマークが目印

国際的な信頼性を獲得したFSCをパートナーに選定

様々な認証がある中でテトラパックがFSCを採用した理由は、主に「世界的な信頼性の高さ」と「認証で貢献できる項目の幅の広さ」にあると言います。

「環境保護や合法性を目的とした認証は数多くありますが、FSCはそれだけでなく、労働者や先住民族の権利、地域社会との関係など、10の原則を掲げています。近年、国際目標として『SDGs』が注目されていますが、FSCと重なる事項も多く、ずっと前から森と人との活動のあり方について多面的に考えられていたんですね」(金井さん)

FSCにおける10の原則

FSCにおける10の原則

出典:FSCジャパン/https://jp.fsc.org/jp-jp

国連サミットで採択された国際目標「SDGs」と重なる部分も多い

国連サミットで採択された国際目標「SDGs」と重なる部分も多い

出典:外務省 JAPAN SDGs Action Platform

「国際社会環境認定表示連合(ISEAL)に唯一認められていることも、当社のようなグローバル企業にとっては重要なポイントです。米国オバマ大統領の就任式の招待状や2011年の英国王室のロイヤル・ウェディングの招待状、オリンピックなどにFSCが使われているのも、信頼性の高い認証だと言えるでしょう」(金井さん)

FSC原料調達のハードルを乗り越え、日本を含むアジアでも展開

テトラパックのFSC認証紙への転換は、欧州では2006年頃から開始し、日本では2013年にCoC認証を取得しました。

「欧州では2007年に世界に先駆けて、FSCラベル付き紙容器を市場導入しました。そこで得られた調達や導入ノウハウをもとに日本を含めたアジア・オセアニアにも展開した結果、欧州での置き換え率72%に対して、アジア・オセアニアでも58%と着実に置き換えが進んでいます。日本だけで見ると2017年現在で15%程度とまだまだですが、開始の遅れを取り戻すべく積極的に推進していきます」(金井さん)

日本でもFSC確保に対応できるようになった現在、国内ユーザー企業のニーズも高まり、じわじわとFSCへの置き換えが進みつつあるといいます。日本市場で大きな影響力があることは明らかです。

「国によってバラツキはありますが、欧州では消費者のFSC認知率が高く、それが置き換えの追い風になったことは間違いありません。一方、日本はFSCの認知率はまだ低く、テトラパックがお客様との協力によって、消費者の皆さんのFSCの認知率や商品への普及率を上げられたらと思っています」(金井さん)

ユーザー企業や消費者にFSCの価値を伝えたい

こうした思いのもと、ユーザー企業への提案だけでなく、それぞれのステークホルダーに直接働きかけることでFSCの意義や仕組みを知ってもらおうと、テトラパックでは様々な取り組みを行っています。

2017年にFSCジャパンと共同で実施した「ACT FOR FOREST(アクト・フォー・フォレスト)-みんなでつくる未来の森キャンペーン-」もその一つ。テトラパック製の紙パックのFSCマークを写真に撮ってSNSに投稿すると、宮城県南三陸町のFSCの森に苗木を寄付できるというもので、大きな反響が得られました。

ACT FOR FOREST(アクト・フォー・フォレスト)-みんなでつくる未来の森キャンペーン-

ACT FOR FOREST(アクト・フォー・フォレスト)-みんなでつくる未来の森キャンペーン-

「このキャンペーンをきっかけにFSCを知ったという方や、子どもから教えられたという方もいらっしゃいました。『FSCマークのついた紙パックを選ぶことで森を守れる』という小さな気づきが広がっていけばうれしいですね」(松田さん)

こうした活動と並行しながらテトラパックが目標として見据えるのは、「FSC認証紙への100%置き換え」。そして、多くの人々がFSCマークのついたテトラパック製の紙パックを通じて、環境配慮や社会のあり方について考えるきっかけになればと語ります。

「日々の生活で必要なものを購入する時に自然に社会や環境にいい影響を与えられる、そんな『FSCがついていて当たり前』という時代になることを目指しています。そのためにも仲介役としての矜持を持って、ユーザー企業や消費者の皆様にFSCの価値をしっかりと伝え、製品の付加価値を提供していきたいと考えています」(金井さん)

子どもたちに向けて森の大切さを伝えるコンテンツなども配信。「どうぶつほんねマーチ」http://www.honnemarch.com/

子どもたちに向けて森の大切さを伝えるコンテンツなども配信。「どうぶつほんねマーチ」http://www.honnemarch.com/

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日本テトラパック株式会社
東京都千代田区富士見2-10-2 飯田橋グランブルーム8階
https://www.tetrapak.com/jp

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