2022.4.27

サステナブルとビューティの両立を目指す
日やけ止めブランド「ALLIE(アリィー)」の挑戦

カネボウ化粧品 「アリィー」

 
2022年2月、カネボウ化粧品の日やけ止めブランド「アリィー」が、“Think Sustainability,Be Beautiful. ひと塗りから、世界を想う。美しさつづく※1。”をコンセプトにリニューアルしました。高い紫外線防御効果や使用感、美しい肌仕上がりはそのままに、一部の国や地域・ビーチの規制に配慮した設計の「ビーチフレンドリー処方」にリニューアル。パッケージにもFSC認証紙を使うなど、多方面でサステナビリティを意識した取り組みがなされています。ブランドマネジャーの前川裕一さんに、その目的や経緯などについて伺いました。
※1 スキンケア効果またはメイクアップ効果による肌仕上がりのこと

お話しを伺った方

株式会社カネボウ化粧品 ALLIEブランドマネジャー
前川裕一さん
お客様や小売店の方とも協力して、できることからコツコツとサステナブルの輪を広げていきたいですね。「アリィー」のパッケージは商品に込められたストーリーや自然を表現したデザインです。シンプルなデザインで個人的にも気に入っています。

「サステナブル」を軸として、ブランドを大リニューアル

日常生活はもちろん、スポーツやアウトドアシーンでの紫外線対策に欠かせない「日やけ止め」。中でも、カネボウ化粧品の日やけ止めブランド「アリィー」は、2000年の誕生以来、SPF50+・PA++++という高い紫外線防御効果や気持ちよく使える使用感、美しい肌仕上がりなどで、多くのユーザーに支持されてきました。

その高い機能性や使い心地はそのままに、2022年2月にリニューアルを実施。その軸になっているのが「サステナブル」の考え方です。ブランドマネジャーの前川さんは、「環境経営(ESG)を掲げる花王グループの化粧品ブランドとして、”サステナブル”を意識した製品づくりに取り組むべきとの想いから、大々的なリニューアルを行いました。ブランドの日やけ止め全商品の処方を変え、パッケージや什器、そしてプロモーションの手法などまで、お取引先から『思いっきり振り切りましたね』と言われるほど、すべてを一新しています」と語ります。

ブランドマネジャーの前川裕一さん
ブランドマネジャーの前川裕一さん

そのきっかけとなったのが、世界的に進みつつある海洋保全の取り組みです。一部の国・地域・ビーチにおいて、特定の成分を含む日やけ止めの持ちこみや販売などを制限する動きがあり、海外のビーチなどで持ち込みや使用を制限するところが増えてきました。2020年頃からは、タイの国立公園やハワイなどのように、法律で販売・使用を禁止する地域も登場しています。

「日本では法規制には至っていないものの、『海外のビーチで持ち込みを注意された』という声もあり、制限がある場所でも快適に過ごせる日やけ止めを提供する必要があると考えました。”Think Sustainability, Be Beautiful. 世界を想う 美しさつづく”というコンセプトには、外装パッケージにFSC認証紙を採用するなどの環境への配慮に加えて、日やけ止めを使いながら、美しく楽しく過ごしてほしいという思いが込められています。いわば『世界と自分』の両方とも快適で健やかであってほしい。とはいえ、その両立はなかなか大変なことでした」(前川さん)
※ スキンケア効果またはメイクアップ効果による肌仕上がりのこと

いち早く「ビーチフレンドリー処方」に対応した「アリィー」
いち早く「ビーチフレンドリー処方」に対応した「アリィー」

「アリィー」が取り組んだのは、OMC(メトキシケイヒ酸エチルヘキシル)という紫外線吸収剤を排除し、一部の国・地域・ビーチの規制に配慮した設計の「ビーチフレンドリー処方」。しかし、ただOMCを除くだけでは使用感や機能が低下し、代わりにUVカット効果を高めるために紫外線散乱剤を増やせば白浮きするというジレンマがありました。そこで独自の技術で均一な格子状のネットワークを形成する紫外線防御塗膜技術を開発したことで、薄づきでありながら紫外線をしっかりブロックし、ベタつきや崩れが起きにくい処方を開発しました。この技術開発には約3年が費やされ、100回以上もの試作を繰り返したといいます。
※一部の国・地域・ビーチの規制に配慮した設計

「規制への配慮が望ましくとも、本来の機能が低下すれば、商品としては選ばれません。ストイックなだけでは続かず、メリットを両立させてこそ、本当のサステナブルが実現すると思います。少し時間がかかりましたが、しっかりと日やけを防ぎ、かつ美しくいられるという、多くの方にご満足いただける商品が開発できました」(前川さん)

メッセージを込めたパッケージにFSC認証紙を使用

大手日やけ止めブランドとしていち早く「サステナブル」に対応した「アリィー」。さらに商品に込められたメッセージと呼応して、様々な取り組みを進めています。

まず目を引くのは、シンプルな紙のパッケージ。プラスチックに代えてFSC認証紙を採用し、ナチュラルな生成り色に自然の空や海、花や貝などのイメージがあしらわれています。また、容器の一部にバイオマス素材を使用しています。

シンプルでおしゃれな紙パッケージとチューブ
シンプルでおしゃれな紙パッケージとチューブ

「商品の顔としてパッケージは重要な要素なので、同じ紙でもしっかりと環境を意識したものにしたかったんです。そこで担当部門に相談したところ、国際認証であるFSC認証の紙を提案されました。花王グループでは2014年からパッケージに積極的に採用しており、選定は自然な流れでした。ただ声高に環境配慮やサステナビリティを訴えるのではなく、環境に配慮しつつ、自分自身も気持ちよくいられる、そんなメッセージをさり気なく伝えたいと思いました。ひとつひとつの商品に込められたストーリーや自然をデザインに盛り込んだのは、そうした理由からです」(前川さん)

パッケージには「ビーチフレンドリー処方」とともに「FSCマーク」が
パッケージには「ビーチフレンドリー処方」とともに「FSCマーク」が

また、5月14日に発売する数量限定商品では、アップサイクルへの取組として、店頭の使用済み販促物などを回収し、再生した紙を素材の一部として使用しています。この商品の売上の一部を、環境保全団体「サーフライダーファウンデーションジャパン」に寄付するなど、サステナブルな商品作りを意識した取り組みが実施されています。特に販促物の回収は、花王グループでも初めての試みだといいます。

「紙製販促物の回収には、小売店などお取引先に協力していただきました。正直、手間がかかることですが、どなたも快く応じてくださり、『いい取り組みですね』と声をかけてくださる方もいらして、社会のサステナビリティに対する意識が進んできていることを実感します。まだ取り組みは完全とはいえませんが、回収先を増やすなど、自分たちでできることから一歩一歩進めていきたいと考えています」(前川さん)

「アリィー」が描く世界観をプロモーションでも発信

そして、「アリィー」のリニューアルプロモーションでも、サステナビリティについてのメッセージが強く打ち出されています。イメージキャラクターである女優の古川琴音さんが、美しい海を背に「一人ひとりの力は小さいけれど、それが集まって大きな力になった時、美しい明日を奏でるハーモニーとなるだろう」と語りかけるCMは、「新しい風を感じさせる」と大きな反響がありました。

さらに2022年3月からは、環境保護活動「Think Sustainability Action」を実施。ハワイ州観光局のマラマハワイ(ハワイを思いやる心)キャンペーンに賛同し、Twitterにおける参加型キャンペーンで、海の美しさや海洋生物を守るため海洋ゴミの回収を行うハワイのNPOなどを支援する活動や、身近な環境配慮のアクションをテーマにしたインスタライブでのトークセッションなどを展開しています。

第1回トークセッションにはアリィーのThink Sustainability Actionのアンバサダーに起用されたプロサーファー松田詩野さんと、Z世代のSDGsリーダーとして活躍しているモデルの長谷川ミラさん~登場が登場 
第1回トークセッションにはアリィーのThink Sustainability Actionのアンバサダーに起用されたプロサーファー松田詩野さんと、Z世代のSDGsリーダーとして活躍しているモデルの長谷川ミラさん~登場が登場 

「環境配慮やサステナビリティな生活が、若い世代を中心に、気持ちが良いこと、当たり前に取り組むべきことになりつつあるのを感じています。ワンタップドネーションは終了しましたが、インスタライブの方は6月の世界海洋デーにも配信を予定しています。ぜひ、ご覧いただければと思います」(前川さん)

そして5月には、アップサイクル限定パッケージで、「PEANUTS」とコラボレーションした数量限定商品が登場。地球を大切に想うスヌーピーのかわいらしい様子が描かれています。

PEANUTSとのコラボパッケージ
PEANUTSとのコラボパッケージ

スヌーピーを採用した理由について、前川さんは「日本で非常に人気の高いキャラクターであると同時に、作者であるチャールズ・M・シュルツさんが連載当時から作品の中で発信されていた『環境や自分、人を大切にすること』に、『アリィー』のコンセプトとの共通性を感じてコラボレーションを決定しました」と説明。さらに「二次利用できる楽しい仕掛けをパッケージに施したり、売上の一部を環境保全団体に寄付したり、楽しさとサステナブルなアクションにも紐付いていることを意識していただければ」と力を込めました。

ブランド誕生から22年。商品の処方からパッケージ、販促物やプロモーションのあり方まで、サステナブルを軸に生まれ変わった「アリィー」。「全方位に振り切った」リニューアルは、ブランドの本気度を感じさせます。

日やけ止めを塗るという小さな習慣でも、環境配慮を意識して選択し継続することで世界を想うことにつながっていく。それは、私たちのあらゆる行動についても同じことが言えるのかもしれないですね。

カネボウ化粧品「アリィー」ブランドサイト
https://www.kanebo-cosmetics.jp/allie/

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