2021.11.6

留学先の欧州での体験を機にサステナブルブランドを設立。
小さな企業だからこそ、FSC認証を活用するメリットがある。

沖縄のサステナブルブランド mana. ORGANIC LIVING

mana. ORGANIC LIVINGのおしゃれな雑貨
 
竹歯ブラシやステンレスストローなど、サステナブルな製品をオリジナルで開発・販売する「mana.ORGANIC LIVING」。沖縄の小さな会社ながら、全国各地のエシカルイベントやポップアップストアにも出店し、じわじわと注目を集めています。製品はもとより包材もすべて自然素材にこだわり、FSC認証の竹やGOT認証のオーガニックコットンなど認証も積極的に活用。さらに売り上げの1%を沖縄でサンゴの保全活動を行う団体に寄付するなど、サステナブルブランドとして幅広い活動を行っています。

立ち上げの経緯や製品づくりに込められた思いについて、同社の創業・代表者である浜村英莉さんにお話を伺いました。

お話しを伺った方

株式会社オーガニックリビング
浜村英莉さん
2018年に出身地である沖縄で創業。「ダイビングが趣味です。いつまでもきれいな海でいてほしいと思う気持ちが起業につながりました」。 
 

留学先で突然言われた「マテリアスティック=物質主義」という言葉

竹歯ブラシやステンレスストローなど、サステナブルな製品をオリジナルで開発・販売する「mana.ORGANIC LIVING」は、2018年に生まれたサステナブルブランド。個人の暮らしの中からプラスチックごみを出さない「ゼロ・ウェイスト(浪費やムダも含め、ごみをなくすという意味)」をコンセプトに立ち上げられました。キッチンや洗面所で使う日用雑貨を自社開発し、オンラインストアやポップアップストアで販売しています。

創業者で代表の浜村英莉さんが環境問題に関心を持つようになったのは、大学生の頃。「中国・ヨーロッパに留学していた時に、ある友人に言われた言葉がずっと心に残っていた」と振り返ります。

オンラインで取材に応じてくださった浜村英莉さん
オンラインで取材に応じてくださった浜村英莉さん

「もともと京都の大学では経営学を学び、ほとんど環境について意識したことがありませんでした。大学生といえば、お金はないけど、いろいろモノがほしい時期。いいモノを長くというより、安いものをどんどん消費するというモノの選び方をしていました。そんな私を指して、その友人は『英莉はマテリアスティックだね』と評したんです。その時はとっさに意味がわからなかったのですが、調べてみると『物質主義』という意味!『どうしてそんなことを言われたんだろう』と釈然とせず、いろいろと調べていくうちに、自分が大量生産・大量消費の一部を担っていることに気づきました。そして、そうした一人ひとりの消費における選択が、地球環境や貧困問題などに大きな影響を与えていることを知ったんです」

しかし、本やドキュメンタリーで環境問題について知ることはできても、どう解決すればいいのか答えは見つからない。そんなもやもやとした気持ちの中で、ふと故郷の沖縄の海を見渡すと、たくさんのプラスチックごみが流れ込んでいる…。世界的に問題になっていることが身近に感じられ、「自分ごととして変えていかなくては」と強く感じ、プラスチックを削減するための行動を取ることを決めたといいます。

「身近な生活の中から、取り組まなくては!」と思った
「生活の中から見直そう!」故郷の海が、環境問題を”自分ごと”にしてくれた。

 

「自分で作れないかな?」から生まれたFSC認証の竹歯ブラシ

「Afternoon Tea HOUSE」のコンセプトである”サステナブルな家「日常生活の中からプラスチックごみを減らす」という目標に向かって、浜村さんがまず取り組んだのは、自分の消費生活。日用品を選ぶ時に「ゼロ・ウェイスト」を心がけるようにしたといいます。

具体的には、今もオーガニックリビングのコンセプトにもなっている「1. Refuse=不必要なモノは断る」「2. Reduce=モノを最小限にする」「3. Reuse=長く繰り返し使用する」「4. Recycle=次のライフサイクルへ」「5. Rot=土に還す」の5つの視点で物を選ぶこと。その中で、日本ではなかなか見つからなかったエコ製品を、海外でまとめ買いするようになりました。

「ゼロ・ウェイスト」の5つの視点
「ゼロ・ウェイスト」の5つの視点

「サステナブルを意識した生活は楽しく、充実したものでした。そして、日本でもプラスチックごみが問題になるのは時間の問題で、私と同じように生活を切り替える人が増えるではないかと考えました。でも、日本では手に入りにくいものも多い。それなら自分で作って販売できないかと考えるようになりました」

そして、起業して初めて開発に取り組んだのが、もともと浜村さんが海外から自分用に購入していた「竹歯ブラシ」。製造にあたって思い出したのが、かつてフランスで購入したコームについていた「FSCマーク」でした。

「FSCマークについては、エコ・エシカル製品について調べる中で、第三者認証による信頼性の高い国際認証として知っていました。エコラベルとして、留学先の中国・ヨーロッパで身近な存在だったんです。日本では紙製品やパッケージなどで見かけることが多いのですが、ヨーロッパではコルクや木製品などいろいろなものについていて、初めてみた時は『わ!かっこいい!』と思いました。誰が見ても森や木のマークだとわかるし、真面目だけど遊び心もある。そんなマークを自社製品にも入れたいと思ったんです」

ブランド第一号製品の、竹歯ブラシ 

 

費用の一部負担を申し出、取引先の工場にFSC認証取得を直談判

「FSCマーク入りの歯ブラシを作れないか」と考え、FSCジャパンの検索システムではじめは国内の産地も調べたものの、当時は原材料確保や生産面で折り合えず難しいと判断。そこで、安定的に材料が確保できる中国での生産を模索するようになり、中国の竹の生産者さんに直接アプローチしたといいます。

「せっかくのエコ製品なのに輸送エネルギーを使うのかと葛藤がありました。しかし、やむなくそうするのならば、地域の環境保全や経済の活性化にも貢献している生産地の原材料を使いたい。FSC認証を取得している産地のものを使うことで、地球規模で環境保全に貢献しているというメッセージを伝えられたらと考えました」

早速、中国の産地へ飛び、材料の確保に目処がついたものの、製品にFSCマークを入れるには、生産地がFSC認証を取得しているだけでなく、生産工場にもCoC認証を取得してもらう必要があります。とはいえ、認証のための監査費や登録料、そして年間の維持費などもかかるため、当初はオーガニックリビングの製品のためだけに認証を取得するのは負担が大きいと、工場に断られてしまいました。

しかし、それで諦める浜村さんではありませんでした。サステナブルな製品のニーズが今後高まることを伝え、取得に費用を一部負担することを申し出て、FSC認証を取得することの重要性を訴えたといいます。

「どんなに思い入れがあっても、自分で自社製品を『環境にやさしいんです!』とアピールしても、なかなか説得力がないですよね。まして、立ち上げたばかりの小さな会社ならなおのこと。でも、製品に信頼ある第三者が認証する国際認証FSCマークがついていれば、『サステナブルに配慮した製品なんだな』『環境に配慮する会社なんだな』って知ってもらえる。私の代わりに伝えてくれるわけです。それはまさに広告であり、費用をかけるだけの価値があると思いました。工場の方にもそう言って説得したんです」

その熱意にほだされ、さらにFSCのメリットを理解したパートナー工場はFSC認証を取得。そして、無事にオーガニックリビングの竹歯ブラシにマークを入れることがかないました。

ヘッドに小さなFSCマーク入り!
パッケージに加え、ヘッドに小さなFSCマーク入り!
「やった〜!」と小躍りして喜びました。

「いいな」と思ったら、サステナブルな消費を紹介して広げてほしい

なんとか完成したFSC認証マーク入りの竹歯ブラシは、現在もmana.ORGANIC LIVINGの看板商品の1つとして認知されています。そして、mana.ORGANIC LIVINGも販売者として「プロモーションライセンス」を取得。自社のオンラインショップやポップアップストアなどで販売する時には、製品に関する情報提供としてFSC認証の紹介も行っています。

「ちょっと残念なのは、当社が卸した先のお店がプロモーションライセンスをもっていないと、販売はできても、FSCに関するポップなどをつけられないことですね。でも、だからこそ、製品にFSCマークがしっかりついていることが大切なのだと思っています。あのマークをみれば、FSCを知らない方でもなんとなく環境に良さそうと思ってもらえるでしょう。実際は単に森林保全だけでなく、人権や地域経済なども含めてすごくエシカルな取り組みなので、もっとFSCマークが広がって、込められた思いや取り組みを知ってもらえたらと思います」

そんな浜村さんの思いも、mana.ORGANIC LIVINGの製品とともに広がりつつあります。竹歯ブラシ以外にも、スプーンやフォークなどのカトラリー、竹とガラスでできた保存容器など、様々な製品が誕生。FSC認証製品以外にも、ヘチマを使ったスポンジや蜜蝋を使ったラップ、ステンレスの容器など、ラインナップも充実してきました。さらに販売店も増え、ホテルや飲食店にも製品を提供するなど、人々の目に触れることが増えています。

エシカルなだけでなく、シンプルでおしゃれなデザインも人気の秘密
エシカルなだけでなく、シンプルでおしゃれなデザインも人気の秘密

そして最近では、製品を手にとった人たちが、ナチュラルでおしゃれな雰囲気を気に入り、自身のSNSやブログなどで紹介するようになってきました。

「写真からは、サステナブルな製品を暮らしの一部に取り入れたことで、幸せそう、気持ちよさそうにされている感じが伝わってきます。そんなサステナブルな消費を『いいな』と思う人が増えて、日常生活に取り入れる人がもっと増えてくるといいなと思います。日本人は控えめで、自分のライフスタイルについて語りたがらないのですが、プラゴミの問題も含め、『いいな』と思うことはどんどん発信して、リアルでも話し合ってほしいですね。FSCマークについても、ぜひたくさんの人に知ってほしいです」

 

FSC認証で広がった可能性。地域にもエシカル消費の輪を広げたい

小さな気付きから「自分ごと化」を経て、オーガニックリビングの起業に至り、少しずつサステナブルな消費への影響力を高めつつある浜村さん。製品づくりおよびプロモーションについて、FSC認証の仕組みを活用したことが、事業を広げる大きな推進力になったといいます。

「当社のような小さな会社でも、FSC認証製品の開発ができることを知っていただきたいですね。また、プロモーションライセンスを取得したことで、消費者にFSC製品をアピールできるだけでなく、大企業や大手の商業施設との商談につながるなど、法人としての信頼を獲得できたように感じます。プロモーションライセンスは、広告宣伝費と思えば無理なく出せるコストで取得でき、地域企業や伝統工芸などにもいいブランディングになると思います。今後、コロナ禍が収束し、再び外国の方が日本にいらしたときにも大きな訴求力になるのではないでしょうか」

そして、オーガニックリビング自身も、今後はさらに多様な「森の資源」を活用した製品開発に取り組んでいきたいと語ります。

「竹製品を中心に取り組んできましたが、それ以外のFSCの原材料を使った製品づくりにも挑戦してみたいですね。それも国内、特に出身地である沖縄の豊かな森の資源を活用しながら、同時に森の保全につながるような取り組みができたらいいなと思っています。地産地消の輪の中で、オーガニックリビングの取り組みが森を守り、その森が海を守るーー。その実感が得られたら、本当に幸せだろうと思います」

株式会社オーガニックリビング 
「mana. ORGANIC LIVING」
https://manaorganicliving.com/

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