急成長する経済とともに、エコ意識も徐々に成長
産地直送で生の情報をお届けしている「FSC グローバルレポート」。
今回はインドネシアの「ジャカルタ」からのレポートです。
今回レポートいただいた武部洋子さんは、インドネシア在住22年。大学在学中にインドネシアの大学へ1年間語学留学し、卒業後そのままジャカルタへ移住。現在はフリーランスの通訳、コーディネーター、ライターなどをされています。
みなさん、こんにちは。武部洋子と申します。高校生の時に読んだ「深夜特急」でアジアの混沌とした魅力にはまり、大学の第二外国語で偶然選択したインドネシア語に夢中になり、気がついてみればインドネシアに住んで22年!そんな私から見た、インドネシアのエコ事情、そしてFSCマークについてレポートしますね。
見出し環境配慮は残念ながら「がんばりましょう」というところ
まず、ジャカルタのエコに関する意識はというと…、もうちょっとがんばらないといけない感じでしょうか。最近になってスーパーのビニール袋が有料というところが増えましたが、意味がわかっている人がどれだけいるかは疑問です。 ポイ捨ての習慣も根強く、時々車の窓から悪びれもなくペットボトルをぽーんと捨てるシーンなどに出会うことも…。
人が集まったあとに散らばったゴミのひどさは目も当てられないくらいです。ゴミを分別する習慣も規則もまだありません。
インドネシアでは、ペットボトルなど換金可能なゴミを集めて暮らしている人もいるので、一緒に捨てても彼らが分別してくれるという状況があります。ゴミの扱いはその人たちに任せておけばいいという考え方が強いのでしょう。
一方で、プラスチック皿の代わりにバナナの葉を使う文化は今もあります。もとは大きい葉っぱを四角や丸に切ってよく洗った後、さっとコンロであぶって軽く消毒してから使うそう。バナナの葉そのものも殺菌効果があるし、おいしそうに見えますよね。南国ならではのエコライフがこれからも続いていくといいなと思います。
私自身は、なるべくバッグを持参する、ゴミは持ち帰るくらいです。特に高い意識があるわけではないので、もっと気をつけていきたいと思っています。
見出しジャカルタ近郊には緑豊かなエリアが広がる
ジャカルタは大都会で、残念ながら大きな森はありません。ただ1時間ほど南下したボゴールやプンチャックには、大きな植物園や山があり、週末や休日になるとジャカルタからきれいな空気を求めてでかける人々で大渋滞となります。
ただ、私自身は海派。私の大好きなスンバ島は海もきれいですが、見渡す限り果てしなく続く草原の丘が魅力的なところです。その様子は、映画「ゴールデン・アームズ〜導かれし者〜」で楽しむことができます。
またカリマンタン(ボルネオ)の森は、いまや絶滅危惧種となっているオランウータンが棲息しています。かつては違法伐採や野焼きで危機に瀕した森も、今は保護区となり豊かな森の姿を保っているとか。一度はオランウータンに会いに行ってみたいものです。
さてはFSCマークをみつけにロッテマートへ!
それでは「FSCマーク」を探しに行ってみましょう。目指すはスーパーマーケット「ロッテマート」。言わずと知れた韓国系のスーパーです。
まず向かったのは紙製品。っと、けっこう早めにみつかりました。
Tessaはインドネシアのブランドティッシュです。
次はこれ。粉ミルクのパッケージです。「ネスレ」は日本でもおなじみのメーカーですね。
ネスレ商品は他にもいろいろありました。
まずは、コーヒーはおなじみ「ネスカフェ」にもFSCマークが入っています!
「Dancow」は日本ではあまり見かけませんが、ネスレの子ども向けフォローアップミルクです。
FSCの再生紙を使ってますね。
こちらはオランダメーカーの「FRISIAN FLAG」の牛乳。
「Buavita」はユニリーバのビバレッジブランド。むむ?洋梨とブロッコリーってどんな味のジュースなんだろう。FSCマークよりも気になったりして…(笑)。
表と裏に「FSCマーク」が入っているのは「緑豆」の豆乳。うっすら緑で粉っぽい抹茶みたいな味がします。大豆の豆乳も緑豆の豆乳もインドネシアではポピュラーな飲み物なんですよ(たいてい甘いですが)。「Ultra Jaya」はインドネシアのブランドです。
いろいろ見てみると、やはり飲料に多いようです。ネスレのような大きなメーカーがFSC認証紙を使っているのは心強いですが、インドネシアメーカーもがんばっているのはうれしいですね。
違法森林伐採や山火事など、ネガティブなニュースも多いインドネシアですが、意識している人はちゃんといるんだなあと思いました。
私も今回はじめてFSC認証について知りましたが、すばらしい取り組みだと思います。ぜひ、みんなで支援していきたいですね。
【インドネシアの森林状況】
「インドネシアの面積は地球の地表の1.3%に過ぎませんが、森林面積では世界堂々の第8位。世界に残存する熱帯林のおよそ10%がインドネシアにあり、哺乳類の12%、爬虫類・両生類の 7.3%、鳥類の17%が生息するという、生物多様性が世界で最も高い国とも言われています。
しかしながら、1970年代前半から大規模な森林開発が始まり、1985年から2014年のわずか30年の間に失われた自然林はかつての55%にも上ります。さらに2004年に発表されたWWFの国別違法伐採比率推定値によると、インドネシアの全木材伐採に占める違法伐採の割合は73%とされており、この大規模な違法伐採が急激な森林減少の原因になっていることは間違いないでしょう。そして、日本はその有力な顧客になっていることを忘れてはなりません。
現在、少しずつ森林保護区が増え、豊かな生態系を取り戻した地区も増えてきました。とはいえ、まだ安心はできません。豊かな森をこれ以上失わないためにも、森林保護の活動を支援し、インドネシアの違法伐採を「知らないうちに」購入しないためにも、FSC認証紙のような出所の明らかな紙を使うようにしたいですね。
※データ出典:WWF Japan(下記)
WWFのWebサイトにインドネシアの森林保全についての情報がまとまっています。是非ご覧ください。 http://www.wwf.or.jp/activities/nature/cat1248/cat1242/cat_activities.html
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