都市ならではの利便性とエコの両立を模索
産地直送で生の情報をお届けしている「FSC グローバルレポート」。今回はイギリスの首都、「ロンドン」からのレポートです。
今回ご登場の山地理恵さんは、イギリスの首都ロンドン在住。日本では消費生活アドバイザーの資格を取り、消費者教育に携わっていただけあって、暮らしのエコについてのセンサーはお高めの様子。はたして、そんな山地さんに、ロンドンのエコライフおよびFSCマークはどのように映ったのでしょう。
![ロンドンの公園でパチリ☆ バックにはロンドン名物の赤いダブルデッカー(二階建てバス)が。](http://test.shitte-erabo.net/wp-content/uploads/2016/05/3e187f6f399440b73dc66e97e8ffc63b-640x365.png)
ロンドンの公園でパチリ☆ バックにはロンドン名物の赤いダブルデッカー(二階建てバス)が。
みなさん、こんにちは。山地理恵です。主人の転勤のため、夫婦、そして4歳の娘の3人家族でロンドンに移り住み、9ヶ月になります。今回はロンドンのエコ意識、そしてFSCマークについて紹介しますね。
エコについても合理的発想で。自転車やエコバックも推進
ロンドンといえば、赤いダブルデッカーや黒塗りのタクシーなど車文化のイメージが強いかと思いますが、現在、エコを意識した活動として「自転車革命」を掲げています。2015年のイギリス政府レポートによると、ロンドン市内の1日あたりの自動車数は、約13万7000台(2000年)から6万4000台(2014年)と半分以下になりました。その一方で自転車利用者数は、1万2000人(2000年)が3万6000人(2014年)と3倍に伸びており、今後も自転車専用レーン(サイクルスーパーハイウェイ)の整備などが進められています。
![街並の様子](http://test.shitte-erabo.net/wp-content/uploads/2016/05/60542d9def9eae94e8ea1ba675f0e4f4-640x362.png)
街並の様子
実際、パディントン駅構内には、電車ホームのすぐ隣に巨大な駐輪場が整備されています。ちなみにこの場所は、25年ほど前まではロンドンタクシーが乗り入れていたとか。時代の変化とニーズによって柔軟に変化できるのは、合理的なロンドンらしさといえるでしょう。
![元タクシープールが現在は巨大な駐輪場に](http://test.shitte-erabo.net/wp-content/uploads/2016/05/7f085d453bb32e961520a1c31dd54071-640x360.png)
元タクシープールが現在は巨大な駐輪場に
ただ整備が進む反面、自己責任も求められるイギリス。自転車は通常車両と同じように通行する前提で、命を守るためのヘルメットや反射ベストの着用、手旗信号を使っての方向指示をよく見かけます。子どもは公園内で楽しみ、公道を自転車で移動する姿はあまり目にしません。
一方、ゴミ分別は日本より緩やかで、資源ゴミや小型家電など、分類された巨大な回収ボックスに24時間捨てることができます。ボックスは大人の背丈近くあり、回収は早くて2週間に一度。気軽に捨てられる反面、日本で細かく分別した感覚を忘れがちになるので、買い物時点でゴミが増えるものはなるべく買わない、まとめ買いをしない、を意識しています。
![コンビニ感覚で利用出来る英国最大手スーパー「TESCO」。エコバック使用客も増えてきた](http://test.shitte-erabo.net/wp-content/uploads/2016/05/c36b951b0730eaddd3573417ead12c72-640x359.png)
コンビニ感覚で利用出来る英国最大手スーパー「TESCO」。エコバック使用客も増えてきた
主要道路やお店店頭には、靴や衣類、子ども衣類専用など各種チャリティー団体へ寄付できる投函ボックスも常時設置されています。街では昨年10月より小売店のレジ袋の有料化が法律施行されたこともあり、思い思いのエコバックやキャリータイプのお買い物カートを転がしながら、買い物を楽しむ人々の姿が見られます。
っと、さてさて、肝心の「FSCマーク」についてですが…。
クリスマスのカードの約半分に発見!日常的に溶け込んで
まず、自分に届いたクリスマスカードにFSCマークがついていました!発見したのは娘。その指摘のもと、手元のカードを調べてみると、なんと約半数のカードに「FSCマーク」がついていました。
![クリスマスカードの裏側。ずらっと並べてみました。](http://test.shitte-erabo.net/wp-content/uploads/2016/05/b8bd949d592aaedb3ee92688371fc3d2-640x361.png)
クリスマスカードの裏側。ずらっと並べてみました。
実は、消費生活アドバイザーの資格取得の過程で、FSCマークについて「こんなマークもあるのだな」とは知っていました。より興味をもつようになったの は、一人ひとりの買い物や行動で市場が変化することを自覚し、周りの人々やこれから生まれる世代への影響を考えて行動する、「消費者市民社会」の概念を 知ってからです。
![日本でもおなじみの「ピーターラビット」の絵本にも「FSCマーク」](http://shitte-erabo.net/wp-content/uploads/2016/05/db24d8d559d36ecef0faaf54d8f67601-640x357.png)
日本でもおなじみの「ピーターラビット」の絵本にも「FSCマーク」
実際にイギリスに住み始めてみると、「FSCマーク」を始めとした様々な表示が目につくこと、栄養表示の分かりやすさに驚きました。また、何かを選択するとき、例えば学校選びからパンの種類でさえ、「あなたはどうしたい?」「あなたは何を選ぶの?」と聞かれることが多いです。そんなとき、自分の気持ちを相手に説明すること、その選択に自信を持つこと、が求められていると感じます。自分のより良い行動はなにか、この現状はどう変えていくべきか。小さな頃からの積み重ねと、自己責任感から生まれる意識や個々人の選択が集まり、大都市ロンドンであっても、前述の自転車革命のように変化をもたらしていくのかな、と思います。
そんなことを思っていたら、お財布の中のレシートにもたくさんついているのを発見しました!
![レシートの裏にも発見!Waitroseは日本で言うと紀伊国屋や成城石井みたいなスーパー。](http://test.shitte-erabo.net/wp-content/uploads/2016/05/5ed14b6132aa98544ae9e580552a24f9-640x357.png)
レシートの裏にも発見!Waitroseは日本で言うと紀伊国屋や成城石井みたいなスーパー。
他にもいろいろあったので、だだっとご紹介しますね。
![アーモンドミルクのパッケージに発見!](http://test.shitte-erabo.net/wp-content/uploads/2016/05/279a2500d2086a2a65121edd0e870f90-640x359.png)
アーモンドミルクのパッケージに発見!
![サンドイッチのパッケージに](http://test.shitte-erabo.net/wp-content/uploads/2016/05/3fe4bcdbffde0d40dd68740fea5ff019-640x359.png)
サンドイッチのパッケージに
![女王の横顔が印刷された普通切手のシートにもFSC!](http://test.shitte-erabo.net/wp-content/uploads/2016/05/e01b02a7909c879d62cd8b82f145d660-640x360.png)
女王の横顔が印刷された普通切手のシートにもFSC!
![トイレットペーパーにも!SAC本社は北欧ですが、EU製品はロンドンでも一般的です](http://test.shitte-erabo.net/wp-content/uploads/2016/05/2e2cf45c4dc8a0c5adc8dfbc5218a885-640x358.png)
トイレットペーパーにも!SAC本社は北欧ですが、EU製品はロンドンでも一般的です
正直、ごく自然に日常の中に溶け込んでいて気づかなかったくらい。でも、「あれ、このマーク見たことあるぞ」から「なんでこのマークを付けるの?」「このマークが作られた背景って何だろう?」と親子で考えがひろがるきっかけになるでしょう。もっとたくさんの人に「FSCマーク」を知ってほしいと願っています。
【イギリスの森林状況】
イギリスの森林率は11.6%(2013年)*とヨーロッパの中では特に低めといえるでしょう。紀元前から徐々に農地転換のため、そして17世紀の産業革命や20世紀の世界大戦での燃料確保として急速に森林伐採が進み、森林率は5%にまで落ち込んだこともあったそう。それから少しずつ森林回復の取り組みが進められ、現在の数字となりました。
*WORLD BANK – Data Indicatorsより
その一方で、14世紀頃に策定された「森林法」によって守られてきた森もあります。王家や貴族が狩りをするために「リザーブ」という形で保全されており、豊かな生態系が手つかずのままに残された、自然度の高いものになっています。
<山地さんから>
我が家はロンドン中心部から電車で30分ほどですが、裏庭には狐とリスが出ます。徒歩圏内の公園では、自然環境を残したエリアやバリアフリーの表示が示され、小鳥の声しか聞こえない雑木林や、倒木を利用したアスレチックなどがあります。また車で1時間圏内に巨大な森林公園がいくつも存在しており、広葉樹の木々が多く、夏から秋にかけて色の変化がとても美しいです。その反面、冬は寒々しており春が待ち遠しいです。
![広々とした公園。](http://test.shitte-erabo.net/wp-content/uploads/2016/05/27cfd46919aa1d13867b515290cfde0b-640x359.png)
広々とした公園。
![公園の雑木林。](http://test.shitte-erabo.net/wp-content/uploads/2016/05/01-640x360.png)
公園の雑木林。
![倒木を利用したアスレチックコーナー](http://test.shitte-erabo.net/wp-content/uploads/2016/05/02-640x360.png)
倒木を利用したアスレチックコーナー
![公園の表示。](http://test.shitte-erabo.net/wp-content/uploads/2016/05/d1236266c2ab6653cdc494d51e6f81e1-640x359.png)
公園の表示。
これらの森林公園では、ナショナルトラストの保全活動や鹿や野生動物の保護、子どもが自然と親しむプロジェクト「50 things to do before you’re 11 3/4」など、興味深い取り組みがありました。娘との来年の目標は、おたまじゃくしをつかまえること!です。
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