太陽の光がキラキラ、ギラギラ!パワフルな夏を満喫しています
皆さん、こんにちは。
東京の森、檜原村に暮らす、ちよこです。
ここ檜原村でも毎日暑い日が続いています。
今年は長い長い梅雨だったぶん、夏の強い日差しも嬉しく感じます。
白い雲と広がる青空。
強い日差しを浴びて美味しくなる梅干し。
子供達と川辺で涼み、キンキンに冷やしたスイカにかぶりつくひととき。
朝晩は空気がひんやりと気持ちよく、昼間は太陽の光がキラキラ、ギラギラ…!
パワフルな夏もやっぱりいいものです。
さて今回は、そんな夏の日差しにも負けず元気にグングン育っているこの植物に注目してみたいと思います。
この紫蘇にも似た葉をつける植物は「カラムシ」といいます。
カラムシはイラクサ科の多年生の植物で、高さ1〜2mにもなり、道端や空き地、林縁に群生します。
檜原村でもあちこちに群生しており、この季節、カラムシをバリバリと草刈り機で刈っている姿をよく見かけます。葉が毛羽立っていて軍手につきやすく扱いづらいので、“やっかいな雑草”と思っている方も少なくないのではないでしょうか。
このように、ともすれば邪魔物にされてしまうカラムシですが、実は昔から植物繊維をとるために、大切に使われてきた歴史があります。
なんと縄文時代の遺跡からもカラムシを使った布が出土されていて、植物繊維をとるために、稲などと一緒に大陸から渡ってきたという説が有力だそうです。
とても古くから、私達の生活を支えてくれていたようですね。
そんなカラムシには、「苧麻(ちょま)」「真麻(まお)」「山紵(やまお)」などと様々な呼び名があり、「麻」という漢字が使われている名前が多い事からも、昔から織物に使われてきた植物だということが分かります。
カラムシで作った糸で織った織物は、現在でも様々な地方の伝統産業として受け継がれているんですよ。
私は、毎年このカラムシで「飾り紐」を作って、色々なクラフトに使っています。
もし布を織れるほど、細い糸をたくさん紡ごうと思えば、熟練の技と様々な道具が必要ですが、丈夫な「飾り紐」であればパパッと簡単に作ることができるんです。
今回は、その「飾り紐」の作り方をご紹介しますね。
ちよこ流・カラムシの「飾り紐」の作り方
①まずはカラムシを根元からばっさり切って、葉を落とします。
(葉はまた別で使うので取っておいてくださいね)
②次に、茎を真ん中あたりで折ります。すると皮が浮いてくるので、皮を引っ張ってむきます。
面白いくらいにスルスルとむけますよ。
③むいた皮を程よい太さに割いていきます。
④割いたままだと茶色い紐に、外皮を竹べらなどで削ぎ落とすと、白っぽい紐になります。
お好みの太さや色に調整したら、よく乾かして完成です。
前回のスワッグ作りでもカラムシの飾り紐を使いましたが、クラフトに使うと、ナチュラルな雰囲気を演出してくれるので、とても重宝しています。
草木染めの染液にも
そして、「飾り紐」を作る工程で取った葉も有効に使うことができます。
グツグツ煮込めば草木染めの染液として活躍してくれるんです。
このカラムシ染めは季節や場所などによって色が大きく変わるようで、去年のカラムシ染めは綺麗な黄色に、今年の梅雨時期はカーキ色、夏は優しいオレンジベージュと様々な彩りを与えてくれました。
その都度違う色が出てくるのも、草木染めの醍醐味。
どんな色が隠されているのか毎回ワクワクしちゃいます。
カラムシは食べてもおいしい!
そして、まだまだこれだけで終わりません!
なんとカラムシは食べられるのです。
カラムシの仲間の「セイヨウイラクサ」(別名「ネトル」)は、ヨーロッパではポピュラーな“おいしいハーブ”として、料理やお茶に使われています。
日本のカラムシも一部の地域で食用とされていて、葉には豊富な繊維質とカルシウムが含まれており栄養価も高いそうです。
これはぜひ試したい!
という事で、柔らかそうな新芽をさっと湯がいてみました。
ひとつつまんで食べてみると、クセはないけれど、さすが繊維質が豊富なだけあってちょっとごわつく舌触り。
食べやすくするために、細かく刻むとちょっと粘りけがでてモロヘイヤのようになったので、納豆やチクワに和えてみると、大正解!
美味しくいただけました。
ネトルはクリーム系のスープにもあうそうなので、クリームリゾットにも入れてみたらこれもいい感じ。
クセがないので色々なお料理にアレンジできそうです。
畑で育った野菜ももちろん美味しいけれど、他の植物と競い合いながら、自然の中で逞しく育った野草の力をお裾分けしてもらうのも、とても魅力的ですよね。
ちなみに根も「苧麻根(ちょまこん)」と呼ばれ生薬として使われていて、止血作用があるそうですよ。
遥か昔から、様々な用途で人々の生活を支えてきたカラムシ。
知れば知るほど、その魅力に気づかされます。
「雑草という名の植物はない」という有名な言葉がありますが、身近な草木にも素晴らしい魅力が隠されています。
そして、魅力を知るとその植物と会話できたかのように、何だか仲良しになれた気がするから不思議です。
皆さんもぜひ、カラムシを含めた身近な“雑草”と呼ばれる植物達にもスポットライトをあて、楽しい会話を繰り広げてみてくださいね。
「ちよこ」こと、田中千代子さんプロフィール
東京都檜原村在住。男の子2人のお母さんで、夫である田中惣一さんは江戸時代初期から続く林業家の15代目。森を活かしながら守る“これからの林業”の在り方を模索しています。千代子さんもまた、もともと好きなクラフトや料理に森の恵みを活かす暮らしを実践中。そのヒトコマを季節の「森だより」としてお届けします。
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