檜原村も降ったり止んだりの日々が続いています。
皆さん、こんにちは。
東京の森、檜原村に暮らすちよこです。
ただ今、梅雨真っ盛り。
降ったり止んだりの目まぐるしいお天気の日々ですが、庭の紫陽花や植物達は葉を艶々と輝かせ嬉しそうにしています。
そんな梅雨もあと少しで明けて、今年も暑い夏がやってきますね。
ここ檜原村は東京といえども標高が高く(224.5m〜三頭山山頂1531mと村の中でも場所により大きく標高が違います)、清流秋川の冷たい水の流れもあり、夏でも比較的涼しく過ごす事ができます。
そして森へ分け入ると、木陰はひんやり涼しく濃い緑と空気に癒してもらうことができます。
さて、今回はそんな森の爽やかさを少し分けてもらおうと、見ているだけで涼しげな気持ちになる「夏の森のスワッグ」を作ってみようと思います。
まずはスワッグについて簡単に説明すると…
スワッグは一般的に「植物を使った壁飾り」を意味します。
起源は諸説あるようですが、遡ると「古くからの樹木信仰で、戸口に常緑の小枝を飾って魔除けとしたこと」につながるのだとか。
なるほど日本でも、節分にはヒイラギを飾り、魔除けにしますよね。
また、ヨーロッパでも夏至にハーブのセントジョンズワートで壁飾り作って魔除けにするそうですし、世界中で樹木信仰が存在していて面白いですね。
一般的にスワッグは、素材を活かしてシンプルに束ねた物が多く、プロのフローリストさんでなくても身の回りの植物で気軽につくれるのが嬉しい所です。
「夏の森のスワッグ」の作り方
ではさっそく、実際に作っていきましょう。
材料はこちら。檜原村の木「ヒノキ」をベースに様々な植物を集めました。
材料を集めたら、まずはベースとなる素材選びです。
壁にかける事を考えて、背面が平らになるように選びます。
今回は「ヒノキ」と「サワラ」をベースにしました。
その上に少しずつ他の素材を重ねていきます。
先はスッキリと、根元はボリューミーに。それから、全体がアーモンド型になるよう意識して作ると、まとまりが出やすくなります。
「ヒバ」を重ね…
次は「スギ」
次は「ナンテン」。
様々な葉の形、枝振りを活かして配置していきます。
「イタリアンパセリ」の花も添えます。
それから、「ニゲラ」と「アカショウマ」も添えて、華やかさも出します。
途中、壁にかけた高さまで目線を上げてチェックしてみると、完成した様子をイメージしやすいです。
できあがったら輪ゴムで根元を留めていきます。
次に、麻紐に輪をつくり固結びします。
輪がスワッグの背面になるように、指で固定してスワッグに麻紐を巻き付けます。
(この輪にフックなどを引っかけて吊るします)
ゴムが見えないくらい麻紐を巻いたら、後ろで固結びします。
これで完成!
日本家屋の玄関にも意外と似合います。
組み合わせ次第で、バリエーションも色々!
コツをつかめば、色々なバリエーションのスワッグを、気軽に作ることができます。
たとえば…
「ドクダミ」と「ヨモギ」を束ねて、薬草のスワッグ。
(このまま飾って乾燥したらお風呂に入れてハーバルバスも楽しめます)
「ナンテン」「ヒイラギ」「セントジョンズワート」を束ねて和洋折衷の魔除けスワッグ。
「ホタルブクロ」や「オカトラノオ」を入れて野山の花のスワッグ。
こんな風に麻紐の上から別の紐やリボンを飾りに結んでも素敵です。
ちなみに上の写真の紐はカラムシ(苧麻)という植物から手作りしたもの。カラムシについてはまた次回ご紹介しようと思います。
森の香りに包まれながら、「夏の森のスワッグ」作りを楽しんで
材料を並べるだけでも、植物一つ一つが美しくうっとりしますが、一つに束ねることで各々の色とフォルムが引き立てられ、まるで小さな森を飾っているかのような気持ちになります。
そして写真ではお届けできないのが残念ですが、作っている間中に薫ってくる濃い緑の香り。
皆さんにもぜひ、このフィトンチッド※たっぷりの香りの中、“小さな森「夏の森のスワッグ」作り”を楽しんでいただきたいです。そして、五感をフルに使って癒されてくださいね。
※「森林の香り」の成分。主に樹木が発散する揮発性物質で、主な成分は「テルペン類」とよばれる有機化合物。リフレッシュ効果などが期待できる。
「ちよこ」こと、田中千代子さんプロフィール
東京都檜原村在住。男の子2人のお母さんで、夫である田中惣一さんは江戸時代初期から続く林業家の15代目。森を活かしながら守る“これからの林業”の在り方を模索しています。千代子さんもまた、もともと好きなクラフトや料理に森の恵みを活かす暮らしを実践中。そのヒトコマを季節の「森だより」としてお届けします。
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