2021.2.10

第19回 お家で晩酌タイム☆森の恵みを使った「お酒」と「おつまみ」

冬の森の自然のアートを楽しんでいます!

皆さん、こんにちは。
東京の森、檜原村に暮らすちよこです。

今年の冬も滝が氷瀑(ひょうばく:滝が凍結すること)したり、川の水が氷柱になったりと、厳しい寒さとなった檜原村。

雪や氷のアートや、ぴーんと張り詰めた澄んだ夜空に広がる星空の美しさに感動したり、霜にやられながらも逞しく緑の葉をつける野草をみつけて嬉しくなったり…。寒いのは苦手な私ですが、モコモコに着込んで冬をしっかり楽しんでおります。

そして日照時間が短い檜原村の長い冬の夜のお楽しみと言えば……

冷えて縮こまった身体を温めほぐしてくれるひと時。
そう、お家で晩酌タイムです!

沢山は飲めないけれど、お酒と美味しいものが大好きな私。
今回は、温まるアルコールドリンクや秘蔵の薬草酒、そして森の恵を使ったおつまみをご紹介させてくださいね。

野草を入れた「ホットワイン」

まず、温まりたい時はこれ「ホットワイン」。
今回は野草を入れてワイルドな仕上がりにしてみました。

―材料―
・赤ワイン 2カップ
・クロモジの葉パウダー ひとつまみ
・柚子のドライフルーツ 少々
・ヤブニッケイの葉 2枚
・クローブ 3〜5粒
・スターアニス 1/2粒
・はちみつ お好みの量

作り方は簡単、小鍋にはちみつ以外の材料を入れて、軽く煮立たせるだけ。
アルコールが苦手な方はオレンジジュースを入れたり、長めに加熱するとアルコールが飛んで飲みやすくなりますので、お好みでアレンジしてみてくださいね。また、ミカンなどの柑橘類やリンゴを入れても、甘さとフルーティな香りが加わって美味しくなりますよ。

それから、クロモジは喉を整えたり、近年では抗菌作用があるとして注目されている今ぴったりの素材。檜原村の名産品の柚子を入れて香りをつけ、今回はシナモンの代わりに仲間のヤブニッケイの葉を加えてみました。

温かく甘くてスパイシーなホットワインを飲むと、身体の芯から温まるのを感じます。

「薬草酒」と「果実酒」

お次はこちら、ずらっと並んだ薬草酒と果実酒達。

定番の梅酒に、マタタビ酒、ツルニンジン酒、ガマズミ酒、サンショウ酒、クロモジ酒、ヨモギ酒、アカネ酒、スイカズラ酒などなど……。
季節ごとにあれこれ摘んできた薬草や果実を蒸留酒に漬け込んで作っています。

漬け込む期間は素材によって異なりますが、1〜2ヶ月以上経つとエキスが滲み出てきます。
それぞれ風味や薬効が違うので、気分や体調に合わせてブレンドし、オリジナルの薬用酒を作って楽しんでいます。

『ユズ酒には少しスパイシーなサンショウ酒を合わせてみようかな……』

『ピンク色の可愛いガマズミ酒にはシナモンを入れたスイカズラ酒を合わせてみよう。土の香りのアカネ酒を隠し味に入れてもいいかも…!』

気の向くままに、様々なブレンドを試してみるのもまた楽しいひとときです。

炭酸水で割るのもいいけれど、冬にはお湯で割って飲むのがお勧め。
薬草の中には体を温めてくれるものも多いので、体の芯からポカポカになれます。

まるでハーバリウムのような「クラフトジン」

そしてもう一つのお気に入りが、ボタニカルの美しさも楽しめるクラフトジン。

ジンの定義は「蒸留酒にジュニパーベリーというセイヨウモチノキの実のフレーバーをつけたお酒」なので、実は自宅でも作れてしまうのです。

今回はウオッカに、「ジュニパーベリー」「薬草」「柚子のピール」を加えてみました。

作りたての瓶を眺めると、まるでハーバリウムのようです。

こちらはお好みにより、3日から1週間たてば蒸留酒に香りが移り飲む事ができますよ。

こちらも炭酸水やトニックウォーターなどで割っても美味しいのですが、お湯で割るのが冬のお勧め。
より薬効を期待したり、香りを楽しみたいならヨモギやクロモジなどの薬草茶で割るのもお勧めです。

おつまみは秋に収穫した森の恵みで

そして大切なのは、お酒あうおつまみ!

気軽につまめるクラッカーには、サワークリームと秋に森で採ってきた胡桃を乗せ、村で採れた蜂蜜をかけて。
クルミのコクと、サワークリームの爽やかな酸味と、さらに蜂蜜のフローラルな甘さが合わさって何とも言えない美味しさ♡
パクパク食べちゃいます。

ニンジンのラペには、これまた秋に作った柿酢を合わせて、ピリッと辛く香り高いタネツケバナをのせて。

柿酢はほんのりフルーティで酸味もまろやかなので、優しい味に仕上がってくれました。

森のハーブを沢山使ったソミュール液※に漬け込んで作ったベーコンは、川で採れたクレソンを合わせてサラダに。

※燻製を作る際に、食材を漬けておく塩分濃度の高い液体。

じっくり風味を漬け込んで石窯で燻したベーコンは、もうそれだけで贅沢品ですが、採れたての香り豊かなクレソンと合わせると絶品なんです。

それから、檜原村で採れたキノコは、ニンニクとオリーブオイル、バターとクロモジパウダーでアヒージョに。

ぐつぐつとオイルで煮込んだキノコ達は間違いない美味しさ。
クロモジの隠し味が効いたオイルも美味しいので、バケットを浸して食べれば、うーんこれは、お酒が進まないわけがない(笑)。

シメは、早くも顔を出したフキノトウとタネツケバナとセリを使ったパスタ。

フキノトウのほろ苦さ、タネツケバナの爽やかな辛みが、早い春を感じさせてくれるちょっぴり大人なパスタです。

森の恵みを大切にいただきながら、春を待つ

静かに眠りについた冬の森。
それでも逞しく緑を保っている小さな野草を少しいただいたり、温かな間に採っておいた森のハーブや木の実をいただきながら、少しずつやってくる春を楽しみに、ほっこり寒い寒い冬を乗り切ろうと思います。




「ちよこ」こと、田中千代子さんプロフィール

東京都檜原村在住。男の子2人のお母さんで、夫である田中惣一さんは江戸時代初期から続く林業家の15代目。森を活かしながら守る“これからの林業”の在り方を模索しています。千代子さんもまた、もともと好きなクラフトや料理に森の恵みを活かす暮らしを実践中。そのヒトコマを季節の「森だより」としてお届けします。

FSC C011851

RELATED POST関連記事