FSCマーク製品ものがたり

2018.10.26

FSCマーク製品ものがたり

  • 大きくなりすぎたFSCの「しいたけ原木」を、家具へと生まれ変わらせる
  • 株式会社ワイス・ワイス「ニューモロツカ」
 
株式会社ワイス・ワイスは、「森をつくる家具」を企業理念に掲げ、日本各地の地域材を活かした家具づくりを行う家具メーカーです。昨年、FSC認証を取得し、今年、FSC認証商品第一弾となる、宮崎県諸塚村の木材を使った家具「ニューモロツカ」を発表。8月22日から約1ヶ月間、「FSCフォレストウィーク」の一環として、新作家具の展示発表会も行いました。

この取り組みには、どのような思いがあったのでしょうか。営業部企画開発課の野村由多加さんに伺いました。

お話しを伺った方

営業部 企画開発課 チーフ
野村 由多加さん
2011年ワイス・ワイスに入社、諸塚村の担当に。この度の新作展示発表会も、野村さんが担当されました。家具づくりをきっかけに諸塚村の子どもたちとの交流が生まれ、今ではまるで家族のように感じているそう。「“子どもは宝だ”とよく言いますが、FSCをはじめ、林業や環境問題について熱心に学ぶ諸塚村の子どもたちを見ていると、心からそれを実感します」

日本の木を使って、森を守る家具作りを

ワイス・ワイスの家具は、伐採地の森林環境や地域社会に配慮した木材(フェアウッド)のみを使用。特に国産材にこだわり、外材に押されて放置された森の木や、本来の用途から弾かれてしまい行き場を失った日本各地の地域材を使うことで、森の循環を生む「森をつくる家具」づくりを続けています。
 
この度の新作家具「ニューモロツカ」の木材を調達した宮崎県諸塚村も、村の木を有効活用できずに困っていた地域のひとつでした。
 
「諸塚村では、クヌギやコナラの木を使って『原木しいたけ栽培』を行っています。しいたけの栽培では、菌が全体に行き渡るよう、ホダ木を上下させたり裏返す作業が必要ですが、大きすぎると重くて作業ができません。そのため、大きくなりすぎたしいたけ原木はホダ木としては使えず、村ではどうすることもできずに困っていたのです」
 

  • 諸塚村の「原木しいたけ栽培」の様子

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  • 大きくなりすぎたしいたけ原木

  • 諸塚村のクヌギの森

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    諸塚村は大人も子どもも「FSCを語れる」ものすごい村だった!

    そんな諸塚村とワイス・ワイスが出会ったのは、2010年のことでした。林野庁の地域材製品利用モデル開発推進事業「諸塚村里山広葉樹活用プロジェクト」として、大きくなりすぎたしいたけ原木をどうにか有効活用できないかと、国際環境NGO「FoE Japan」から声をかけられたのがきっかけでした。
     
    「諸塚村は、2004年に村をあげてFSC認証を取得した、まさに『FSCの村』です。はじめて諸塚村を訪れた時は、山が美しいのはもちろん、大人も子どもも本当にイキイキとFSCについて語ることに驚きました。宮崎空港から3時間もかかる山の中に、こんなに先進的な村があったとは、本当に衝撃でしたね」
     

    「針葉樹」と「広葉樹」が混在し、美しいモザイク模様を見せる諸塚村の森

     

    ただ、大きくなりすぎたしいたけ原木を家具に生まれ変わらせるには、並々ならぬ苦労があったと言います。
     
    「木は、伐ってすぐに家具にできるわけではありません。伐採した木を挽いて、自然乾燥させ、それをさらに人工乾燥にかけてはじめて家具用材として使えるようになります。当時諸塚村の木は、家具用に加工されていませんでしたから、まずは、木を挽いて、乾燥させて…といったところから、ゆっくりゆっくり開発が進んでいきました」
     
    クヌギの木は固く、乾燥すると割れや反りの動きが大きく、加工が本当に難しかったと言います。国のプロジェクトは2年で終了しましたが、その後も村の人たちと協力し、信頼関係を築きながら家具開発を続け、2013年に、今作の前身となる家具シリーズ「モロツカ」を完成させました。
     

    株式会社ワイス・ワイス 営業部 企画開発課 チーフ 野村 由多加さん

    「モロツカ」から、FSC認証商品「ニューモロツカ」へ

    ところで、FSC認証には、2種類あるのをご存知でしょうか。
    FSCの規格を満たし、責任を持って管理されている森林であることを認証する「FM(Forest Management、森林管理)認証」と、FSC認証材にそれ以外の材が混入しないよう加工・流通過程が管理されていることを認証する「CoC(Chain of Custody、加工・流通過程の管理)認証」です。FSC認証商品として販売するには、「FM認証」を受けた森で採れた木材を使い、かつ、それを加工・流通する過程でも「CoC認証」を取得していることが必要です。
     
    「モロツカ」は、「FM認証」を取得した諸塚村の木を使っていましたが、当時はまだ製造工場とワイス・ワイスが「CoC認証」を取得していなかったため、「FSCマーク」が入っていませんでした。
     
    しかし、2017年にワイス・ワイスが待望のFSC CoC認証を取得。製造工場もCoC認証を取得している工場へと変え、この度晴れてFSC認証商品「ニューモロツカ」が誕生しました。

    まるで家族のような諸塚村の子どもたちとの交流

    諸塚村との家具開発を続ける過程で、思わぬ宝物を得たと言います。それは、諸塚村の子どもたちとの交流です。
     
    「毎年、諸塚村の6年生が、修学旅行で東京にやってくるんです。その際、諸塚村の林業について学ぶ『わくわく学習』の一環として、『スープストックトーキョー』さんなど、諸塚村にゆかりのある場所を巡るのですが、ワイス・ワイスもそのうちのひとつに入れて頂いています。『なぜ東京の会社であるワイス・ワイスが諸塚村のしいたけ原木で家具を作っているのか』という話から、FSCはもちろん、サスティナブルな社会、地球環境問題といった内容を子どもたちに向けてお話しています」
     

    • ワイス・ワイスで行われた授業の様子

    • 子どもたちも発表を行った

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      諸塚村の子どもたちとの集合写真。手前の椅子とテーブルは、この度発表したFSC認証商品「ニューモロツカ」

       
      また、野村さんたちも諸塚村へ行くことがあれば、よく小学校に立ち寄ると言います。
       
      「みんながどんな風に成長しているのかを見るのが、本当に楽しみなんです。イベントに招待頂いたり、手紙のやりとりをしながら、まるで家族のような交流が続いています」
       

      『諸塚祭り in Tokyo』では、諸塚村の子どもたちの成果物も展示された


       

      100%合法性が証明できる木材を使うことはもちろん、国産材へ目を向け、森を活かし、森を作る家具作りを続けてきたワイス・ワイス。
       
      「FSC認証は、あくまで自分たちがこれまで取り組んできたことの延長線上にあること。“FSCマークをつけること”が目的にならないように、これからも、人と森を大切にした家具作りを続けていきたいですね」
株式会社ワイス・ワイス
東京都渋谷区神宮前5-12-7
http://wisewise.com/

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