ひとり森再生日記

2019.7.30

【第5回】憧れのアーボリスト(Arborist)になりたい!

ひとり森再生日記「週末は、森にいます」

FSC製品を含め、環境に配慮した物を選ぶことも最も有効な「森の保全活動」の一つですが、もっと直接関わって森を元気にできたらどんなにステキでしょう。そんな夢を実践している庭山一郎さんは東京在住のビジネスマン。週末だけ赤城山麓の「シンフォニーの森」に通い、四季折々の自然を満喫しながら森仕事に励んでいます。
 
そんな庭山さんの憧れは「アーボリスト」。樹に登って作業をする人や樹木医のことで、高い樹上で作業をするための専門的な知識と技術が必要です。特殊な道具も庭山さんの心をくすぐり続けています。
 

「アーボリスト」は森を守る樹木のスペシャリスト

皆さんは「アーボリスト」という言葉を聞いたことがありますか?「アーボリスト」とは、森の手入れをするために、高い樹の剪定やメンテナンスを専業としている「樹木のスペシャリスト」のことです。実は国際的な資格が必要で、日本では2013年頃から一定の経験者を対象にセミナーが開かれ、国際資格を取得する人もちらほら出てきているそうです。

 

高所で樹の剪定をする「アーボリスト」。技術はもちろん、森や樹についての知識も必要です。


 

そのため、おいそれとなれる職業ではないのですが、時には地上30メートルという目のくらむような高さでチェーンソーを使い、正確かつ安全に作業する姿は惚れ惚れするかっこよさ!たとえ資格はとれなくても、森の手入れをライフワークとする一人 としては、少しでもその技術に近づきたいものです。
 
よし、まずは体重を落とそう(笑)。そして、技術をカバーするために道具もできるだけよいものを揃えたい!…というわけで、いろいろ揃えてきました。

 

週末アーボリストのこだわり道具リスト

まずチェーンソーはこちら。軽くてパワフルな「新ダイワ」の1035を使っています。最近トップハンドルソーのE2125TSを購入し、さらに小さくて軽いのに25CCの排気量で、太い枝をあっと言う間に伐り落としてくれるのに感動しました。いずれもプロ仕様ながら、軽くて取り回しがしやすい名機なんです。
 

地元で林業をなさっている師匠の特訓のかいあって、目立て(刃を研ぐこと)も上手になってきました。地上での玉切り(太い木を筒切りにすること)もこれで行います。


 

そして、こちらは愛用の枝打ち用のナタです。シンフォニーの森を購入した記念に19年前に買ったもので、以来ずっと一緒に森を歩いています。桜の皮を巻いたサヤは、今ではもうレアなのだそう。ナタは、人の腕よりも太い枝を一撃で落とせるかと思えば、髭も剃れるという世界的にも珍しい片刃の刃物で、日本が誇る技術の賜物。これからもずっと良き相棒です。

 

 
そして、こちらが私が高い樹に登って作業する時の装備。基本的にはハーネスに装着したランヤードという器具で登りますが、バックアップのロープを別に確保して、ハーネス(胴輪)とはカラビナでエイト環(ロープを通して降りる速度を調節する金具)と結んでいます。 これで緊急時には懸垂降下が可能で、15メートルの樹上から数秒で地面に降りることができます。週末アーボリストは、あくまで安全第一がマストですからね。
 

 
そして、大切なのが「いざという時に助けを呼びに行ってくれる人」。一人の時には高所作業をしないようにしています。周辺に人家が無いので、もしもの時に救急車を呼んでもらえないと困るのです。これも週末アーボリストの鉄則といえるでしょう。
 

地上15メートルのツリークライミングで枝打ちを実践

そして、アーボリストはツリークライミングという技術をつかって、ロープを使って巧みに高い樹に登っていきます。私も何度となく行なっていますが、なかなか体力がいるんですよ。
 
ちなみに写真は日本の林業用のチャマガニと呼ばれる木登り器なのですが、なかなか難しい。これがダメなら米国製を使うしか無いのですがこれがけっこう高い。先ずは特訓、特訓!「でも無理かも。そもそもプロの方は身軽だしなぁ。足が痛いや…」なんて泣き言をいいながら練習しています。

でも、なんとか練習のかいあって、ここまで登れるようになりました。この高さで15メートル!
 

15メートルの樹の上にて、ハーネスでぶら下がってひと休みしているところです。腰から下がっているのはチェーンソーです。
 
こうしたツリークライミングは、装備はもちろん体力・技術も必要です。そこで、私にとっては「はしご」も樹に登るための大切な道具となっています。とはいえ、はしごの高さは6メートルでその上に立つと目線は7.7メートル、そこから高枝のこぎりを使って10メートルも上にある枝を落とします。
 


ちなみに私の枝打ちは、林業家のように節の無い杉を育てるためではなく、植林したブナやミズナラが気持ちよく育つためのスペースを開けることが目的です。なので通常は冬に行なう枝打ちを、季節と関係なくやっています。そして絶対に死なないように、怪我をしないように、道具と技術を総動員してやります。とにかく慎重に、安全第一ですからね。
 

ポートランドで遭遇!本物のアーボリストの実演に感激

私のアーボリストへの憧れが天に届いたのでしょうか。先日、仕事で訪れた米国オレゴン州のポートランドで「世界森林センター博物館」に寄ったところ、なんと本物のアーボリストに遭遇しました!館内の大きな樹にするするっと登って実演してくれました。いやはや、すばらしい身のこなしです。
 

「世界森林センター博物館」は、世界の様々な森や樹についての展示が充実しており、ずっといても飽きないくらい。博物館のことを教えてくれた娘に感謝です!
 

そして、ポートランドの書店でいろいろとアーボリストに関する本を買い込みました。こちらも仕事の合間に眺めて、技術や道具についての情報を得るとともに、森づくりのイメージを膨らませています。
 

日本に戻ってもアーボリスト熱は上がる一方。そしてまた、ついつい道具が増えてしまうのでしょう。それに見合う技術を身につけ、森づくりに邁進していきたいと思います。
 


 

庭山一郎さんプロフィール

 

 

1990年にシンフォニーマーケティング株式会社を設立。BtoBマーケティングに関するプロジェクトを数多く手がけ、セミナー講師や執筆などにも積極的に取り組んでいます。プライベートでは、小学生から日本野鳥の会のメンバーとして活動するなど、筋金入りのアウトドア派。赤城山麓に森を購入し、「シンフォニーの森」と名付けて森林再生活動を行い、ライフワークとしています。本連載ではその取り組みの様子や個人でできる森再生のヒントとともに、赤城山麓の四季折々の美しい自然の姿を紹介します。

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