森の達人・三崎孝平の樹木雑学

2020.5.7

【第18回】「ドングリの発芽」


秋になると、森や公園で気軽に拾うことができる「ドングリ」。子どもの頃、たくさん拾って遊んだという人も多いことでしょう。では、そのドングリを植えたことはありますか?草花の種を蒔くように、ドングリも土に植えることで、芽を出し育てることができるのです。
 
森の達人・三崎孝平さんが昨年の秋に植えたドングリも、この春に芽を出したようですよ。今回は、そんな「ドングリの発芽」について解説します。

 

「ドングリ」とは?

はじめに、「ドングリ」について、簡単にお話しておきましょう。
ドングリとは、「クヌギ」「ナラ」「カシ」など、ブナ科の樹木の“果実”のことです。果実というと、リンゴやミカンなどのフルーツが思い浮かぶかも知れませんが、それだけではありません。果実には細かい分類があり、ドングリのように、堅い果皮(かひ:果実の表面の皮)を持つものを、「堅果(けんか)」といいます。

ドングリはブナ科の樹木の果実(堅果)

名前の由来は、いくつかあると言われています。たとえば、ドングリは漢字で「団栗」と書きますが、団には「丸い」という意味があることから、「丸い栗」で「団栗(ドングリ)」になったという説や、韓国語で丸いものを「ドングル・イ」と言うことから、ドングリになったという説などがあります。

 
それから、ドングリと言えば、印象的なのが「殻斗(かくと)」でしょう。
殻斗とは、ドングリを覆うお椀状のもののこと。「ぼうし」や「はかま」と言ったほうが、馴染み深いかも知れませんね。

 
日本でみられる“ドングリがなる木”は約20種類あると言われています。木によって形や大きさが違うので、機会があればぜひ見比べてみてくださいね。
 

乾燥に注意!ドングリを発芽させるには?

では、いよいよ本題の「ドングリの発芽」の話に入っていきましょう。
昨年の秋、近くの公園でコナラのドングリを拾いました。

コナラのドングリ

ドングリは乾燥に弱く、木から落ちて1週間~10日の間に土に埋まるか、木の葉の下に入らないと、乾燥して発芽しなくなってしまいます。そこで、拾ってきたドングリも乾燥してしまわないように、植えるまでの間(10日くらいありました)は、ヒタヒタの水に浸けておきました。
 
そして、いざ土の中へ。
ドングリは横にして1~2cmくらいの深さに埋めました。

ポットに蒔いた状態(2019年10月)

植えたあとも、乾燥しないように時々水をあげていました。
すると……

発芽(2020年4月)

10月に植えて、半年後の4月に、無事芽が出てきました。
 

ドングリは「子葉」が地上に出てこない

ドングリは、秋に植えるとすぐに幼根(ようこん:種子の中にある根のもととなる部分。根は、種子から幼根が出てきて、発芽とともに成長していく)を出し、一旦そのままの状態で冬を越します。そして、春暖かくなると発芽し、茎が伸びてから本葉※を展開させます。
 
※植物の葉には、「子葉」と「本葉」があります。子葉は、植物が発芽して最初に出てくる葉っぱのこと。本葉は、子葉の次に出てくる葉っぱのことです。

   

では、子葉はどうなっているのかというと、葉を開かずに、どんぐりの形をしたまま地下あるいは地表に残ります。これを「地下子葉型(地中子葉型)」の発芽といいます。

発芽したドングリを土からだしてみた

一方で、地上に子葉が出てくるタイプの発芽を「地上子葉型」といいます。たとえば、エダマメがそれにあたります。
 
エダマメは発芽すると、立派な子葉が地上に出てきます。マメ類の種子には養分を蓄えた子葉があり、発芽時には子葉内の養分を吸収しながら成長していきます。エダマメの子葉は本葉が成長したあとも残り、自ら光合成をします。

エダマメの発芽

自分の手で植え、間近で観察することで、きっとこれまで以上に植物の面白さに気づくことができるでしょう。子どもたちも大好きなドングリ。みなさんも、お家で育ててみてはいかがでしょうか?

 
 

<「森の達人」こと、三崎孝平さんプロフィール>
環境保全に貢献するという目的で設立されたエコシステムアカデミーのシニアインストラクターや全国森林インストラクター会会員として活躍中。日本各地の学校や森を飛びまわり、森の大切さや、FSC森林認証について伝えています。このコーナーでは、森や自然がますます身近になる楽しい情報を「樹木講座」としてお届けしています。

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