森の達人・三崎孝平の樹木雑学

2018.5.11

【第7回】ナンジャモンジャの木

日差しがまぶしい季節。木々の緑もどんどん濃くなっていきますね。
さて今回は初夏の花木としてよく見かける「ナンジャモンジャ」の木についてです。
とても不思議な名前ですよね。なんでこんな名前になったのでしょうか…。



 

「ナンジャモンジャの木」は1種類ではない?

物の名前がわからないとき「これはなに?」と聞きますね。
昔、水戸黄門こと徳川光圀(みつくに)が時の将軍に「あの木は何という木か」とたずねられ、その返事に困り、とっさに「なんじゃもんじゃ!(何じょう物じゃ→なんというものか)」と答えたという話があり、それ以来、その地方に生えている珍しい正体不明の立派な木を「ナンジャモンジャの木」と呼ぶようになったようです。
 ※諸説ありますが、伝えられている多くの話はみな同じような内容です。
 

このような由来であるため、現在、全国で「ナンジャモンジャ」と呼ばれている樹木は20種類以上あるのだそうです。
私が調べところでは、ヒトツバタゴ・ホルトノキ・ハルニレ・クスノキ・アブラチャン・タブノキ・クロガネモチ・バクチノキ・カツラ・ヤマエンジュ・イヌシデ・イヌザクラ・ボダイジュの13種しかわかりませんでした。
 

降り積もった雪のような花が咲く「ナンジャモンジャ」

この中で、一般的に「ナンジャモンジャの木」といわれているのがヒトツバタゴです。
ヒトツバタゴは、「ヒトツバ」と「タゴ」とにそれぞれ意味があります。ヒトツバは「一つ葉」。タゴは田んぼの木とも言われる「はさ木(稲架木)」です。
秋、刈り取った稲を木や竹で作った棚にかけ、天日に干すことを「はさがけ」と言いますが、はさ木はその棚に用いる木材です。このような用途から、はさ木は田んぼのあぜ道に植えられるため、湿地に強いトネリコが使われます。
実はこのトネリコとヒトツバタの葉がよく似ているのです。しかしながら違いが一つ。トネリコの葉は複葉ですがヒトツバタゴは葉が一つだけ。そこで「ヒトツバのはさ木」ということで名付けられたのでしょう。
 ※ちなみに新潟市にある「満願寺稲架木並木」は有名です。

 
ヒトツバタゴは本州中部の木曾川流域(長野県南部・岐阜県・愛知県)と対馬に分布する珍しい樹木で、丘陵帯の山林に生える落葉高木で、関東では四月下旬~五月上旬ころ、小枝の先に円錐状の葉散花序を付け、多数の白花を開きます。遠くから見ると、まるで白い雪に覆われたように見え、とてもきれいです。

 
明治神宮外苑のヒトツバタゴが有名ですが、最近はいろいろな公園に植えられています。
地域によってはちょうど満開を迎えている頃かもしれませんね。花の時期にはぜひ探してみてください。

※上の写真は葛飾区にある水元公園樹木園のものです。

 
<「森の達人」こと、三崎孝平さんプロフィール>
環境保全に貢献するという目的で設立されたエコシステムアカデミーのシニアインストラクターや全国森林インストラクター会会員として活躍中。日本各地の学校や森を飛びまわり、森の大切さや、FSC森林認証について伝えています。このコーナーでは、森や自然がますます身近になる楽しい情報を「樹木講座」としてお届けしています。

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