責任ある森林管理のために、FSCが定めている「10の原則」。今回からは、その原則を1つずつ取り上げ、わかりやすく解説していきます。まずは「原則1:法律の順守」について見てみましょう。
もくじ
FSCの10の原則とは?
森がFSC認証を取得するには、責任ある森林管理のための「10の原則」を守らないといけないんだよね? この「10の原則」について、くわしく知りたいな!
うさぎさん、勉強熱心ですねぇ。
FSC講座第1回でも紹介したように、FSCの「10の原則」は、生き物や資源を守る環境面だけでなく、働く人や地域の人の生活・文化にかかわる社会面や、森の恵みを活用し続けるための経済面も考えて定められているものでしたね。では、原則を1つずつ見ていきましょうか。
FSCの原則1「法律の順守」とは?
今回は、原則の1つめ「法律の順守」について教えて!
カンタンに言うと、「法律を守りましょう」ということですね。FSC認証の審査で、この原則については次の8つの基準がクリアできているかチェックされます。
1.1 事業に関する法的な手続きが完了している
1.2 正当な森林の所有や使用の権利をもっている
1.3 必要な税金などをきちんと納めている
1.4 違法行為から森林を守っている
1.5 木材の輸送と取引に関する法令を守っている
1.6 土地の所有など森林についての争いがあればきちんと解決している
1.7 汚職に関わっていない
1.8 FSCの方針や規則を守ることを約束している
1.1 事業に関する法的な手続きが完了している
1.2 正当な森林の所有や使用の権利をもっている
1.3 必要な税金などをきちんと納めている
1.4 違法行為から森林を守っている
1.5 木材の輸送と取引に関する法令を守っている
1.6 土地の所有など森林についての争いがあればきちんと解決している
1.7 汚職に関わっていない
1.8 FSCの方針や規則を守ることを約束している
へえ、土地の所有や使用の権利のこと、税金のこと、木材を運んだり取り引きしたりする時のこと…いろんな基準があるね。
そうなんです。FSCでは関係する法律・ルールのリストを作り、これらをすべて守るよう呼びかけています。
法律は、国によって違うよね?
はい。そのため、自分たちの国では具体的にどんな法律が当てはまるか、各国の専門家が議論しながらリストアップしています。また、法律は時々改正(決め直し)されますが、その時は最新版を見るという決まりになっています。
FSCの原則1「法律の順守」は、なぜ必要?
法律を守るのは当たり前のような気がするけれど、どうしてわざわざ原則に入れる必要があったんだろう?
きちんと法律を守って林業を営む人たちがいる一方で、なかには違法伐採(法律に違反して木を切ること)、汚職(公的な仕事についている人の不正)、脱税(税金を納めないこと)などの法律違反を行う人もいるからです。
森の持ち主ではない業者が入り込んで決められた方法・量を守らずに木を伐(き)ると、森が荒れたり、失われたりすることもあります。すると、森で暮らす人々がこれまでと同じ生活を続けることが難しくなったり、動物や植物のすみかが無くなったりしてしまいます。また、違法業者が木材を安く売ることで、正しく生産された木材が価格競争に負けてしまうなど、真面目に林業を営んでいる人たちに悪影響が出てくるのです。
こうしたさまざまな問題を食い止めようと、法律やルールを守って生産された木材にFSCマークを付けることで、問題のある木材と区別できるようにしたのが、FSC認証制度です。
森の持ち主ではない業者が入り込んで決められた方法・量を守らずに木を伐(き)ると、森が荒れたり、失われたりすることもあります。すると、森で暮らす人々がこれまでと同じ生活を続けることが難しくなったり、動物や植物のすみかが無くなったりしてしまいます。また、違法業者が木材を安く売ることで、正しく生産された木材が価格競争に負けてしまうなど、真面目に林業を営んでいる人たちに悪影響が出てくるのです。
こうしたさまざまな問題を食い止めようと、法律やルールを守って生産された木材にFSCマークを付けることで、問題のある木材と区別できるようにしたのが、FSC認証制度です。
FSCの原則1「法律の順守」は、日本でも大切?
法律違反は日本でも起こっているの?
日本では法律を守った林業がほとんどだと思いますが、一部の地域では勝手に木を伐ったことなどによるトラブルが時々起こっているようです。2019年、宮崎県国富町の林のスギの木を無断で伐って盗んだという森林法違反の罪で、国内で初めて違法伐採の逮捕者が出ました。
海外だけの問題ではではなく、日本でも大切にしなくちゃいけない原則なんだね。
FSCの原則1「法律の順守」、私たちの生活との関連は?
世界の森では、法律違反がどれぐらいあるんだろう?
違法かどうかについて細かく調査するのはとても難しいのですが、イギリスの王立国際問題研究所(チャタムハウス)の調査では、日本に輸入されている木材製品の12%、紙製品の7%に違法の木材が使われている可能性があると報告されています(※)。
※王立国際問題研究所「違法木材の取引 日本における取組み」(2014年)
※王立国際問題研究所「違法木材の取引 日本における取組み」(2014年)
じゃあ、普段何気なく買っている木材製品や紙製品も、違法の木材が使われているかもしれないってこと?
そうですね。FSC認証以外の木材がすべて疑わしいというわけではありませんが、違法の木材による商品を確実に買わないようにするには、法律を守っている証しであるFSCマーク付き商品を選べば安心ですね。
【まとめ】 森に関係する法律やルールがきちんと守られないと、森が荒れたり失われたしりて人々の生活の基盤や動植物のすみかが奪われ、また、正しく生産された木材が価格競争で違法木材に負けてしまうなど、さまざまな問題を引き起こします。そこでFSCでは、そのような法律違反がないか、厳しくチェックする森林認証制度を作っています。私たちがFSCマーク付きの商品を選んで買うことは、「違法伐採によってできた商品を買わない」ということになります。
FSCは法律を大切にしているね!
次回は原則2「労働者の権利」について学ぼう!
監修:FSCジャパン
FSCⓇ C011851