SDGsは Sustainable Development Goals（持続可能な開発目標）の略称で、2015年9月の国連^*1サミットで採択され、すべての国連加盟国が2030年までの達成を目指して取り組んでいる目標のこと。「誰も置き去りにしない」という考えをもって、貧困や教育、環境など17分野の目標と169のターゲット（達成基準）が定められています。
 
*1　 国連（国際連合）：第二次世界大戦を防げなかった国際連盟の反省を踏まえ、1945年10月に51か国の加盟国で設立された国際組織。現在の加盟国数は193か国。

はい、FSC認証はSDGsのさまざまな目標に関わりがあります。
 
FSC認証は、大切な森を守りながら利用し続けるための制度でしたよね（FSC講座第1回）。そのような制度を運営することで、SDGsの目標15「陸の豊かさも守ろう」に貢献しています。ほかにも、「貧困」「健康と福祉」「ジェンダー平等」「海の豊かさ」などに関する14分野の目標の達成にも貢献します^*2。
 
*2：以前は11分野の目標でしたが、FSC規準文書の改定に伴い、目標3「健康と福祉」、目標4「教育」、目標14「海の豊かさ」が追加されました。

関係なさそうに見えても、実は、それぞれの課題が根っこでつながっているんですよ。
 
例えば、SDGsの目標3「すべての人に健康と福祉を」とFSCの関係を見てみましょう。FSCでは、森での農薬の使用を制限することや、森で安全に働くことができるように教育や監督を行い、もし職業病になってしまったら公正な補償が受けられるしくみ作りなどを呼びかけています。それによって、森で働く人々の健康を守っていこうとしています。
 
また、SDGsの目標5「ジェンダー（男女）平等を実現しよう」はどうでしょうか。FSCには「責任ある森林管理」の10の原則と70の基準を定めていますが、その中にはジェンダー平等やジェンダー差別の防止のための内容も組み込まれています。それによって、女性でも差別されずに働き、収入を得られるように支援しています。
 
SDGsの目標14「海の豊かさを守ろう」についても、森とは別の問題に思えるかもしれません。しかし、海が汚れる原因の１つは、陸上で使う農薬や肥料から化学物質が海に流れ出ていることだと言われています。FSCには、森の管理に肥料や農薬などをなるべく使用しないなどの厳しいルールがあります。そのルールを守るFSC認証の森が増えることは、海の豊かさを守ることにつながるのです。
 
このように、FSC認証はさまざまな目標の達成に貢献しているのです。

SDGsの目標15「陸の豊かさも守ろう」は、もう少し詳しく言うと「生態系を守り、生物多様性の損失を阻止し、新たな森林を大幅に増やす」ことです。
 
地上の面積の約３割が森で、そこにはさまざまな野生の動物や植物が生息しています。しかし、現在、世界中の森はものすごいスピードで減っています。それによって森にすむ多くの野生生物が絶滅の危機にさらされ、さらに食物連鎖^*3でつながっている、森以外にすむ野生生物の命にも影響しています。
 
そのなかで、FSC認証制度によって森を適切に管理していくことは、森が減ったり荒れたりするのを防ぎ、また陸地全体の生き物を守ることにもつながります。
 
*3食物連鎖：「食べる」「食べられる」でつながる関係

そうなのです。それによって、しっかり森を守っていこうとしています。
 
2017年のSDGsの報告では、目標15「陸の豊かさも守ろう」の達成度を測る指標（評価の目じるし）の１つに「自主的な森林認証を取得している森林の面積の増加」があげられました。目標達成のためには、FSCのような第三者による森林認証制度が役に立つ、と認められているのです。

残念ながら、目標15「陸の豊かさも守ろう」については厳しい状況です。SDGsの報告書によると、森の面積は農地の拡大などによって毎年1000万ヘクタールの森林が破壊されています（2015-2020年）。また、３万1000種を超える生物が絶滅の危機にあり、「2020年までに生物多様性の損失を阻止する」というターゲットも達成できませんでした。これからもっと努力していく必要がありそうです。

FSCマークの付いた商品を選んで買うことで、適切な森の管理を応援することができます。そうした日々の積み重ねが、SDGsの達成につながっていくでしょう。