2019.9.27
「明治おいしい牛乳」、「きのこの山」「たけのこの里」などのパッケージにFSC認証紙を採用
株式会社 明治
-
明治の「きのこの山」と「たけのこの里」のパッケージにFSCマークがつきました!両者の人気を競う総選挙キャンペーンが実施されるなど、話題にも事欠かない人気商品ですが、原材料やパッケージなどにも、環境に配慮した地道な取り組みが進められています。明治では「2020年度までに環境に配慮した紙原材料の100%使用」を目指しており、FSC認証紙の使用もその1つ。どのような経緯で取り組みを進めてきたのか、同社CSR推進部 部長の松岡伸次さん、副部長の村尾雅宏さんにお話を伺いました。
お話しを伺った方
- 株式会社 明治
執行役員 CSR推進部 部長 松岡伸次さん(左)
CSR推進部 副部長 村尾雅宏さん(右) - 明治では根室の社有地を『(株)明治自然環境保全区』とし、公益財団法人日本野鳥の会と野鳥保護に関する協定を締結して生物多様性保全の取り組みを行なっています。「根室での環境保全の取り組みは、本当に素晴らしかったですね。改めて明治の事業は豊かな自然資源から成り立っていることを実感しました」と松岡さん。村尾さんはプライベートでも「日本野鳥の会」の会員としても活動しています。「自宅のまわりを散策するだけでもずいぶん楽しめますよ。身近な自然を大切にするように、地球規模の環境保全も意識したいですね」
2016年、「明治おいしい牛乳」のパッケージがFSCマーク付きに
牛乳やヨーグルト、アイスクリーム、チョコレートなど、私たちの生活を豊かにする様々な食品を製造している「株式会社 明治」。
2000年頃から環境に配慮した紙の調達について取り組み、2011年頃からFSCを含めた認証紙を商品に採用し始めたといいます。チョコレート菓子の「アポロ」や「フラン」など、おなじみの商品のパッケージにまずは採用されましたが、情報を入れられるスペースが小さかったことやその認知度が今より低かったこともあり、あえてマークはつけられていませんでした。
「この時は、アピールすることよりも環境に配慮した調達を確実に進めることが重要と考えていました。しかし、2016年に『明治おいしい牛乳』のパッケージが新しくなることを機に消費者にも環境配慮を訴求する必要があるのではないかとの話があり、きちんとスペースを設けてFSCマークを入れようということになったんです」(村尾さん)
当時はFSCへの理解もまだ十分ではなく、関係する各部門から様々な反応があったといいます。安定供給を不安視する声があがり、『マークを付けても大丈夫か』と問い合わせがありました。また限られたスペースにマークを入れる意味を問われることもありました。
「そうした反応に対して、社会的な環境意識の高まりを察知していた商品担当者と一緒になってFSCの社会的意義などを丁寧に説明し、協力を得ていきました」(村尾さん)。
全社的な環境意識の高まりから「明治おいしい牛乳」がFSCマーク入りに
「明治おいしい牛乳」へのFSC認証紙の採用については、マーケティング部門を中心とした現場が主体となって進められていきましたが、経営部門からも大きな後押しがありました。
「明治おいしい牛乳」が新パッケージとなった2016年は創業より100周年という節目の年。明治では10年後を見据えて『明治グループ2026ビジョン』を掲げ、その重点方針である『社会課題への貢献』に対する具体策として『明治グループCSR2026ビジョン』を策定しました。事業や社会的要請、そしてSDGsなどの観点から、「こころとからだの健康」「環境との調和」「豊かな社会づくり」という3つのテーマを抽出し、それを支える共通テーマとして「持続可能な調達活動」を策定したもので、カカオやパーム油などと並んで、紙についても『人権・環境に配慮した安定的な調達』を目標として定めています。
「こうして現場と経営部門の環境配慮調達に対する思いが2016年というタイミングで1つになったことが、FSC認証紙採用の大きな推進力になったように思います。当初懸念されていた数量確保も調達部門の努力があってクリアし 、『明治おいしい牛乳』をFSCマークの入った新しいパッケージで安定的にお届けできるようになったのです」(松岡さん)
サプライチェーンを整備し、「きのこの山」や「たけのこの里」にもFSCを採用
「明治おいしい牛乳」にFSC認証紙が採用された後、2018年頃から再び取り組みが開始され、2019年4月には「明治おいしい低脂肪乳」と「明治おいしいミルク カルシウム」、「ザバスミルクプロテイン」、5月には「きのこの山」と「たけのこの里」、そして9月には「ストロベリーチョコレート」にもFSC認証紙が使用されることになりました。
「『明治おいしい牛乳』のパッケージがFSC認証紙になった後、実は2年近く他の商品へのFSC認証紙採用は止まっていました。というのも、FSC認証紙の安定調達には社外の調達先との連携が不可欠ですが、取引先の数が多いため調整にかなり苦労しまして…。当時は明治グループで2016年の『明治グループCSR2026ビジョン』を実現する具体的なアプローチとして『紙調達ガイドライン』の制定を進めており、その中でFSC認証紙の安定調達のためのサプライチェーンを改めて整備することになりました」(村尾さん)
2018年9月に制定された『紙調達ガイドライン』では、製品の容器・包装はもちろん、商品パンフレットなどの各種印刷物、そして社内で使うコピー用紙に至るまで、FSC等の認証紙や古紙など環境に配慮した紙の使用率を2020年までに100%とすることを宣言しています。FSC認証紙の安定調達については調達先のリストアップに始まり、FSC CoC認証を取得しているかどうか、今後対応可能かどうかなどを調べていきました。明治の製品は1製品に複数の調達先が関係していることもあり、かなり煩雑な作業となったといいます。
「調達先との連携は、明治の事業にとっていわば生命線。そこにあえて手間のかかる調整を行なってでも安定的な環境配慮調達に向けた整備を行なったのは、消費者を含め、東京オリンピック・パラリンピック競技大会で持続可能性に配慮した調達コードが注目され、さらに国連が推進するSDGsが普及するなど、社会的な環境配慮への機運が高まってきたことが大きく影響しています。『持続可能な社会の実現』のために消費者に最も近い『食と健康のプロフェッショナル』として何をすべきか。真摯に議論してきたところに、社会からの要請もあって、FSCを含めた環境配慮調達の取り組みが進められてきたというわけです」(松岡さん)
社会課題の解決に広く貢献するFSCに共感し、イベントにも参加
明治では企業による社会課題の解決について「明治グループCSR2026ビジョン」を掲げ、その1つの方策として環境に配慮した調達に事業として取り組むことを宣言しました。そして、もう一歩進んで社会に環境配慮の重要性を伝えていくことも大切と考えています。
「FSCについても、当初は企業責任として環境配慮調達を実践することが最も重要と考えてきましたが、FSCマークの掲載によって製品の取り組みをアピールすることの必要性も理解しています。さらにはFSCの理念を理解し、そのメッセージを製品や事業活動を通じて届けることについても意味があると考えるようになりました」(松岡さん)
そこで明治では、製品へのFSC認証紙の採用を再開し、マークを付けるだけでなく、2018年から2年連続でFSCジャパンが主催する「FSCフォレストウィーク」にも企業協賛として参加し、他社とともにFSCの社会的意義をアピールしてきました。
「消費者の皆さんがFSCの価値を知り、支持してくださることは、企業にとって環境配慮活動を推進する力になります。私たちもまだ数点ではありますが、FSCマークを表記した商品を拡大していくことで何らかの影響を与えられたらと思っています」(村尾さん)
今後は「明治グループCSR2026ビジョン」を受け制定した『紙調達ガイドライン』に基づき、製品はもちろん、流通のための包材や様々な発行物にもFSC認証紙を採用していく予定だといいます。
「製品への採用はデザインや仕様を切り替えるタイミングになるため、一気にというわけにはいきませんが、1つ1つ着実に実現させていきたいと考えています」(村尾さん)
明治の製品の多くは日本全国の様々なお店で購入でき、目に触れることも多いでしょう。特に菓子類などは子どもたちとの親和性も高く、FSCや森林保全に興味をもつきっかけになるかもしれません。ぜひ、製品を手にとる機会があったら、パッケージのFSCマークをチェックしてみてくださいね。
【取材先募集のお知らせ】
FSC応援プロジェクトでは、FSC認証製品を導入し、利用を推進する企業様を募集しております。
取材をご希望される方は、お問い合わせフォームよりご連絡ください。
お送りいただいた内容より、掲載可否を精査させて頂いた上での取材となります。
必ず掲載とならない旨、何卒ご了承ください。
- 株式会社 明治
- 東京都中央区京橋二丁目2番1号
- https://www.meiji.co.jp/
RELATED POST関連記事
花王「製品パッケージ」
【日本マクドナルド株式会社】FSC認証紙を使っていくことの重要性を伝えていきたい
有限会社カフェグッズ「PLAクラフトカップ&カップスリーブ」