産地便り FSC森林認証の森

2015.4.17

東京の森で「メープルシロップ」が収穫できるの!?

 

ほんのりあま〜いメープルシロップに感激!

  

「森の恵み」というと、木材やきのこ、山菜などを想像するかもしれませんが、パンケーキなどに欠かせない「メープルシロップ」もその1つ。カエデの樹液を煮詰めたもので、ミネラル豊富な「天然の甘味」です。

 

メープルシロップといえば、8割以上がカナダ産。でも、新宿駅から中央線で約2時間半、車でなら1時間ちょっとで到着する西多摩郡檜原村のFSCの森でも収穫できると聞いて、さっそくお伺いしました。

 

 

● FSCの森に自生する「イタヤカエデ」から収穫

 

案内してくださったのは、檜原村で林業を営む田中惣一さんと、檜原村観光協会の鈴木留次郎さん。車で狭い林道を進み、少し歩いた緩やかな谷地に「イタヤカエデ」が自生しています。見渡すだけで25本ほど、いずれも葉を落とし、素人目にはちょっとわかりません。

 

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「秋になると葉が真っ黄色になってきれいですよ」と鈴木さん。木に装着された、まるで点滴?のような不思議な装置を確認して歩きます。

 

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まるで点滴のよう? これはもしや…

 

近づいて袋の中を見てみると、水のような透明でサラサラした液体がたっぷり。これがメープルシロップの原液「メープルサップ」です。

 

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メープルの木は、夏の間に内部に蓄えたでんぷんを糖分に変えて凍りにくくし、厳しい冬を過ごします。そして、1月下旬から3月上旬までの短い間に、夜に水分を吸い上げて、次の季節へと備えます。その際に樹皮にキズをつけると糖分を含んだ樹液が流れ出します。木にとっては大切な栄養分を、ちょっぴりおすそ分けしていただくというわけです。

 

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6週間ほどの限られた期間ですが、ピーク時には3日ほどで回収しなければならないほどメープルウォーターが溜まるとか。ワンシーズンで約500リットルを収穫します。しかし、糖度はこの時のわずか3%程度。メープルシロップとしておいしくいただくには、66〜70%の糖度になるまで煮詰める必要があります。

 

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「100リットルを煮詰めて、メープルシロップになるのは、せいぜい2.5〜3リットルくらいだね。なかなか大変なんですよ(笑)」

 

● 薪ストーブでじっくり煮詰めて、琥珀色のシロップに

 

ボトルに詰替え、ふたたび車で田中林業さんのログハウス前に到着しました。まずはストーブに薪をくべ、燃やしていきます。

 

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「木はCO2を吸収して育つでしょう。だから、燃やしてCO2を放出しても相殺される。さらに薪にした木の後で若木が成長し、またCO2が吸収される。循環型のエネルギーとして有効利用したいよね」と田中さん。

 

そして、採りたてのメープルウォーターをろ紙で越して木くずや虫などを取り除き、鍋に入れて火にかけます。もう片方の片手鍋には数日前に煮詰めておいたという薄茶色のシロップを入れました。

 


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無色透明の「メープルサップ」。ほんのりとした甘みがあります。

 

今日収穫したのが煮詰まって『メープルシロップ』になるためには、半日ほどかかるそう。そこで、「ちょっとずるして、時間短縮します(笑)」とのこと。

 

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うーん、なんとも気の長い作業…。その間、子どもたちは焚き火で遊び、大人たちもコーヒーを飲んだり、風景の写真を撮ったり、思い思いに過ごします。

 

数時間後、「そろそろいいかな〜?」の声に、鍋をのぞき込むと、うーん、甘〜い香り!そして、とろりと美しい琥珀色のシロップが出来上がりました! 

 

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長い時間をかけてやっとできあがりました。ちょっと感動モノです。

 

●手間ひまかけて煮詰めたシロップは、プライスレスの美味!

 

糖度をチェックしてみると、なんと69%! とろりとなめらかなシロップに、恐る恐る指につけてなめてみると、おお!おなじみのほろ苦いような独特の香りとやわらかい甘さが、ふわっと舌の上に広がります。そして、どこか「和の風味」ーー。

 

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糖度は69も!

 

「高級和食ではみりんのように使うところもあるそうですよ。ちょっと、贅沢過ぎるかもね(笑)」と鈴木さん。

 

確かに、和風の調味料とも相性がよさそう。今回は、貴重なメープルシロップをダイレクトに味わうために、シンプルにパンにつけていただきます。

 

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うーん、やっぱりおいしい! 直接なめるよりも甘みがさらに丸くなり、独特の香りもパンの香ばしさと引き立てあっていい感じです。コーヒーや紅茶にも合いそう!

 

一定量生産ができるようであれば、FSCの森で採れた希少なメープルシロップとして商品化したいと考えているそう。実現すれば、1本50mlの小瓶で価格は2000円!?普通に考えるとなかなか手が出せない高級品かもしれません。でも、自分の足で歩いた森で収穫を体験し、薪を使って煮詰めたものと思えば、その価値はまさに「プライスレス」といえるでしょう。

 

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翌日、いただいてきたメープルシロップを、朝食のパンにつけていただきました。一瞬にして、まだ春浅い小雨にけぶるイタヤカエデの樹々を思い出し、FSCの森の空気が蘇ってきました。

 

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そんな贅沢な体験ができる森って、やっぱり素敵な場所ですよね。ぜひ、あなたも今週末に出かけてみませんか。
 

 

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お世話になった田中さんと鈴木さん。「ありがとうございました!」

 

田中林業株式会社
東京都西多摩郡檜原村729
Facebook:https://www.facebook.com/tanakaforestry

 

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