2017.12.8
レポート「工学院大学エコ推進委員会 三菱製紙白河事業所・エコシステムアカデミー訪問」
工学院大学エコ推進委員会の皆さんは、2016年より同大学主催の「わくわくサイエンス祭 科学教室」にて三菱製紙販売や三菱製紙エコシステムアカデミーと協力して紙抄き体験の演示を実施。その他にも、環境保全をテーマに同社と様々な活動を行ってきました。そういった活動の一環として、今回の訪問が実現。その様子をレポートします。
学生たちと初秋の白河の森へ
まだ少し暑さの残る初秋のある休日、福島県西白河郡西郷村(にしごうむら)を訪れたのは工学院大学エコ推進委員会のメンバー9名です。
三菱製紙株式会社のプレスボード製造工場の見学の後は、同社が所有する白河甲子(しらかわかし)の森へ。学生たちにとっては、初めて体験することばかりの貴重な1日になったようです。
三菱製紙株式会社のプレスボード製造工場の見学の後は、同社が所有する白河甲子(しらかわかし)の森へ。学生たちにとっては、初めて体験することばかりの貴重な1日になったようです。
初めてのプレスボード製造見学
今回はプレスボード製造の工程見学を通じて、抄紙(しょうし)およびプレスボード商品について学ぶこと、また社有林での体験学習を通じて森林について学ぶことを目的として企画されたものです。参加者全員、プレスボードの製造見学も森林体験も初めて。どんなところなのか、またこれからの体験に向けて期待でいっぱいの様子です。
見学前に、白河事業所およびプレスボード事業室、三菱製紙グループの白菱ペーパーテクノロジー株式会社の社員から工場およびプレスボードについてレクチャーがありました。
ここで製造されるプレスボードは2種類あります。針葉樹のクラフトパルプ100%で作られたプレスボードは、1000kV用変圧器など大容量・高電圧の変圧器に採用されています。またアラミド繊維を主原料とする絶縁紙「耐熱プレスボード」は180℃以上の耐熱性能があり、新幹線に車載している変圧器の絶縁物としても使用されています。最近では中国高速鉄道でも使用されているとのこと。ボード状に製造されたのち使用する変圧器に合わせて自由に成型されるということに、学生たちも感心した様子です。
レクチャー後は工場内を見学。ドロドロに溶けたパルプが抄紙機によってシート状に形成され、さらに高圧ホットプレス機が、シートの水分を一気に抜いていきます。プレス機から出る大量の水蒸気と熱気の迫力に圧倒されました。
工場見学後、学生からの質疑応答では、「1日の水の使用量がどのくらいなのか」「(季節などで)水の量が変わったらどうなるのか、製品の工程に違いはあるのか」などさまざまな質問があるなか、プレスボードの耐電圧に関することなど、学生ならではの専攻学科の内容に即した質問も出るなど活発な質疑応答が交わされました。
※水の使用量は1日5万トン。貯水池があり常にこの水の量を確保できるようにしているそうです
※水の使用量は1日5万トン。貯水池があり常にこの水の量を確保できるようにしているそうです
エコシステムアカデミーで森について学ぶ
昼食後は白河事業所から車で40分ほどのところにあるエコシステムアカデミー(以下、エコアカ)のビジターセンターへ。ここでは、森の成り立ちや日本の森林の現状について座学を行ったあと、三菱製紙の社有林「白河甲子の森」に移動し、森林体験学習です。
エコアカのビジターセンターには森の働きや大切さについて紹介する展示やパネルが飾られています。社有林に自生するさまざまな木のサンプルが並べられたコーナーでは、案内役のエコアカスタッフから「持ち上げて実際に重さを確かめてみませんか」と促され、いざ持ってみると「う、重い…」「あれ?こっちは軽い…」と同じ大きさでも重さが違うことにびっくりしていた様子でした。
座学では、当ブログで連載中の「三崎孝平の樹木雑学」でもおなじみ、三崎孝平さんによって地球環境と森が果たす機能、森林を取り巻く現状、森を適切に管理する大切さについての講義が行われました。
いざ森林探索!白河甲子の森へ
座学の後はいよいよ森林体験学習です。学生たちは本格的な森林散策は初めてとのこと。白河の森の特徴や、座学でも教わった適切に間伐することの重要性などについて、実際に森の中を歩きながら学んでいきます。
森ができる一番最初に生える「パイオニアの木」(ダケカンバやシラカバの木などのこと)の話や、ヤマウルシやツルウルシ、バラ科の木といった森林散策で気を付けないといけない樹木の説明も受けました。こうした説明は実物を見て初めてわかるもの。みんな興味深そうに聞いていました。
木の高さの測り方をみんなでチャレンジ
森林散策の最後は木の高さを測る体験です。
木の高さは、計測する木からの距離と、そこから木のてっぺんを見たときの角度を測って測定します。ここで使うのがエコアカ特製の「木のたかさ測定器」です。
木の高さは、計測する木からの距離と、そこから木のてっぺんを見たときの角度を測って測定します。ここで使うのがエコアカ特製の「木のたかさ測定器」です。
初めて、しかも目視での計測ということで最初はかなり苦戦の様子。それでもコツをつかんでいくと数値の読み取りもスムーズになっていったようでした。
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今回は丸1日、森、そして木から生まれる製品と、いわば”最初から最後まで”を見てきた学生たち。
森の恵みに私たちの生活が支えられていること、だからこそ森の現状を知ることの大切さ、そしてその森に対して私たちがどんなことをやらないといけないかなど、これから環境に対して考えていく上での気づきが得られる体験になったことでしょう。
森の恵みに私たちの生活が支えられていること、だからこそ森の現状を知ることの大切さ、そしてその森に対して私たちがどんなことをやらないといけないかなど、これから環境に対して考えていく上での気づきが得られる体験になったことでしょう。
FSCⓇ C011851
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