豊かな地球のめぐみを将来につないでいくにはどうすれば良いかという課題について、日本の中高生たちが自分たちの目線で読み取り、それを同世代に向けてSNSで発信するーそんな取り組みを、キリン株式会社とこども国連環境会議推進協会が連携し「キリン・スクール・チャレンジ」というプログラムとして実施しています。
今年で3年目となる同プログラム。2017年は第1回目を3月に、第2回目は6月10日(土)、11日(日)にキリングループ本社(東京都中野区)で開催されました。FSC応援プロジェクトでは6月10日(土)に開催されたワークショップの様子を見学させていただきました。
同世代に向けて写真を使って発信する
「キリン・スクール・チャレンジ」は、一方的に誰かが誰かを教えるのではなく、「豊かな地球のめぐみを将来につないでいく」ためにどうすれば良いかを、若者たちが意見交換しながら共に議論して作り上げ、さらに自分たちの同世代に伝えていく、というプロジェクトです。
※詳細はこちらをご覧ください。
http://www.kirin.co.jp/csv/eco/schoolchallenge/
今年2回目の「キリン・スクール・チャレンジ」のテーマは「 “トロピカーナ×午後の紅茶×森林保護”」。 世界には不適切な伐採で失われていく森林がまだ多くあります。なぜそんなことが起こるのか、FSC®認証紙をトロピカーナや午後の紅茶の紙パックに採用し、適切に管理された森の活動を支援する意味とは何か、キリンやWWFの活動について、世界の「森林保護」という課題を中高生の皆さんが自分たちの目線で読み取り、それを同世代に向けて、自分たちが感じたことを写真で表現し、SNSで発信しよう!というものです。
今回は2日間の開催で70名の申し込みがありキャンセル待ちが出るほど。中には、環境について興味はあっても「学校だとなかなか話ができない」ということで3~4回ほど参加するリピーターの子もいるそうです。
まずはレゴブロックでアイスブレイク
取材した10日は土曜日ということもあって12名の参加。6班のグループにわかれ、まずは自己紹介をするのですが、そのときに使うのはなんとレゴブロック。各班のテーブルにはさまざまな種類のブロックのパーツが置かれ、その中から2分で「今の自分」「アピールポイント」「オタクポイント」を表すパーツを選び、それを指しながら自分のことを話していきます。
次にチームのみんなでブロックを使ってどれだけ高いタワーを作れるかを競います。条件は必ず最後に木のパーツを立てることと、自立すること。時間は3分、「あ~でもない」「これはどうだろう」と工夫しながら個性豊かなタワーができてきました。
その後、今日のメインテーマにもつながる「紙」についてのミニワーク。「紙を使わない日ってある?」をテーマに、思いつくシチュエーションを付箋紙に書いていきます。
WWFジャパンとキリン株式会社からのレクチャー
今回のワークショップには3つの約束ごとがあります。
・考えるだけでなく、感じたことをアウトプットする
・正解はない、何でもあり。
・否定しない、違いを楽しもう。
これからレクチャーを受け、自分たちなりに考えたことをどう表現し発信するか、グループの中で意見を出し合わなければいけません。それぞれの意見が出しやすいように、そして一つひとつの意見が最後の作品づくりに生かされるようにするための大事な決まりです。
最初のレクチャーはWWFジャパン自然保護室森林グループの古澤千明さんによる「地球1個分の暮らし~森を守るマークを選ぼう!」。
まず、世界の森林資源と途上国で何が起こっているのか、WWFの調査・レポートを紹介。途上国では木材を得るための違法伐採や、紙を作るための木を無計画に植栽するなど非持続可能な土地利用などが進み、温暖化だけでなく、人や動物にも影響が出ている現状、森を守るためにはどうしたらよいのか、その取り組みの一つがFSCの活動なのだということを解説しました。
次にキリン株式会社のレクチャー。 「生産地に寄り添い持続可能な生物資源を利用するキリンの取り組み」と題し、CSV戦略部の藤原啓一郎さんが、なぜキリンが環境問題に取り組むのかについてお話されました。
キリンでは飲料用紙容器や包装用段ボールなど、大量の紙製品を利用していることから、すべての紙製の容器および包装について、グループ全体で2020年末までにFSC認証紙の使用を目指すという行動計画を発表しました。また自社だけの取り組みにとどまらず、持続可能な紙利用のためのコンソーシアムを立ち上げ、ソニーや味の素、イオン、花王などの9社が参加しています。
※キリングループのFSCへの取り組みは当ブログでもご紹介しています。
http://shitte-erabo.net/story/3097/
午後はいよいよ作品づくり
昼食をはさんで午後はワークショップ。その前に、午前中の振り返り。企業や消費者が森林保護に向けた取り組みに向きあわないのはなぜかをレゴブロックで作り、その後、何を加えると変えられるのかをまたブロックを使って表現していきます。
こうした振り返り等も行いながら、さらに深く考えていくのと同時に、レクチャーを受けた内容を整理していきます。
そしていよいよ作品づくり。今回、参加者が作った作品はツイッターを使って発信されます。1~3班は「商品の選択が私たちの未来を変える」、4~6班は「商品は世界とどうつながっている」というテーマが与えられ、写真表現だけでなく、同世代に向けて140字だけでどうすれば「伝わるか」を考えないといけません。それだけでなくリツィートしてもらうような発信とは、また知ってもうらだけでなく最後にどんなアクションを望むのかを考えながら作成します。
用意されたトロピカーナの紙容器などさまざまなものを使って、さらに照明も駆使し、90分かけて写真撮影とメッセージを作成していきました。
最後に各班で撮影した写真作品とメッセージを発表。それぞれ力の入った作品はとても短時間で仕上げたものとは思えないクオリティです。キリン藤原さんも「写真のクオリティが高い。今日のポイントをみなきちんと捉えていて、シンプルなメッセージが伝わりました。」また、WWFジャパン古澤さんは、「みんな写真部なの?と思うくらいの完成度。この短い間で深く理解してくれ、さらにそれを人に伝えるためのアウトプットを考えてくれたのがよくわかりました」と、講師の方々も大絶賛です。
こうした取り組みが積み重なることで、FSC認証の存在について、そして消費者がこのマークがついた製品を手に取ることの意義について拡がっていくことを願う1日でした。
◇◇◇
参加者が作った作品は11日に参加したグループと合わせて、6月21日から一斉にツイッターで配信されました。また今回配信と同時に、「ツイッターチャレンジ」としてキャンペーンを実施中です。2017年6月21日~7月11日の間、中高生が作った作品がどれだけ拡散されたかで優勝チームを決めるほか、拡散された数に応じて1ツイート1円をキリンがスリランカの学校に図書を送る寄付にも充てられます。さらに作品の拡散に協力し、中高生の作品のツイートをリツイートした方の中から、作品ごとに1名の方に抽選でエコパンダのパペットを差し上げるキャンペーンも合わせて実施します。
※キャンペーンへの参加には、こども国連環境会議推進協会(JUNEC)のツイッターアカウント(@J_U_N_E_C)をフォローする必要があります。
キャンペーンの詳細はこちらから。参加者が作った作品やメッセージもこちらのページでご覧いただけますよ。
http://junec.gr.jp/ksc-twitter-campaign-2017jun/
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WWFジャパン 自然保護室 森林グループ 古澤 千明さん