大学生5人が3月に三菱製紙販売を訪問
昨年12月に開催された「エコプロダクツ展」で「企業の環境保全活動」に興味を持ったという大学生5人が、日本の紙流通業界でいち早くFSC森林認証紙の取り扱いを開始した三菱製紙販売を訪問しました。まずはFSCに関する同社の取り組みが紹介され、その後、様々なテーマについて意見交換が行われました。その様子をレポートします。
千葉商科大学、東京都市大学、恵泉女学園大学などから5名が訪問。
ちょっぴり緊張の面持ちです。
●業界のパイオニアとして
「森を守りながら活かす」取り組みを推進
まずは、三菱製紙販売の総務部でCSR推進チームのリーダーを務める田中伸治さんから、同社の事業概要とFSC森林認証に関する取り組みについて紹介がなされました。
三菱製紙販売 総務部の田中伸治さん。
熱くFSCへの思いと取り組みを語りました。
三菱製紙販売は2016年で104周年を迎える老舗の紙の専門商社。主に法人を対象に紙製品を供給し、日本の産業に貢献してきました。しかし、時代の変化とともに、洋紙販売事業を中心にしながらも様々なニーズに応える総合販売商社へと成長。環境事業にも積極的に取り組んでいます。
「かつて、子どもに『紙って環境破壊なんでしょ?』と責められて難儀しました(笑)。でも、昔から紙は“文化のバロメータ”と言われていたように、紙が生活文化や経済活動において大切なものであることは今も変わりありません。その原料である木、そして供給元である森林について、次世代に引き継ぐためにはどうしたらいいのかを全社員が真摯に考え、1つの答えにたどり着いた。それがFSC森林認証だったわけです」(田中さん)
パワーポイントを使った、ビジネスシーンさながらのプレゼンテーションに、うなずいたり、メモを取ったりして、学生の皆さんも熱心に聞き入っていました。
続いて、同社総務部CSR推進チームの望月敬史さん・宮本美奈子さんから、FSC森林認証の仕組みやその目的、そして日本の森事情について説明がありました。
三菱製紙販売 総務部の望月敬史さん・宮本美奈子さん。
「海外では違法伐採や農地拡大による森林減少が続いていますが、日本では森の体積が増えています。森の体積が増えるのは一見いいことのようですが、実は増えているのは『人工林』の体積。つまり、森林資源が使われず放置されているということです。安価な海外の木材に押されて森林を手入れする費用が賄えず、その結果、森は荒れ果て、生態系も損ねられ、災害の原因にもなっているんです」
そうした放置林に対し間伐や枝払い等の手入れを行うのはもちろん、適切な管理のもと資源として活用することも、森を守るためには大切なことなんです。「日本は約7割が森林で、古来から大切な資源として活かしてきました。次の世代に森を引き継ぐためにも、そのサイクルを上手に回していくことが必要です。そのための取り組みをお客様や一般の消費者の方々と考え、実践していきたいと考えています」との言葉に深くうなずいていました。
●環境に興味を持つきっかけは「自然とのふれ合い」
子どもたちにもっと森と親しむ機会を提供したい
三菱製紙販売の皆さんのお話を、真剣なまなざしで聞き入っていた学生の皆さんは、それぞれの大学で環境に関係するテーマについて学んでいます。なぜ「環境」に興味を持たれたのか、うかがってみました。
「子どもの頃に祖母と九十九里浜の清掃をしていて、ゴミの多さに憤りを感じたんです」「生まれ育った長野で山には威圧感を感じつつ、山菜や蛍などの生き物に愛着を感じて」など、自然の中で過ごした体験をあげる人がほとんど。「小学校の壁新聞で、温暖化で海に沈もうとする島の話を知って」と答える方もいましたが、やはり子どもの頃の記憶が強烈な印象を残しているようです。
そんな話をするうちに少しずつ緊張も溶け、就職活動を通じて知った「環境配慮の行き届いた企業」について情報交換を行ったり、大学生のSNSによるバイラル効果についてヒアリングしたり、様々な話題へと広がりました。
また、「イメージだけでなく、科学的見地から正しい情報として環境配慮の効果を知りたい」、「遊びと絡めて子どもたちに自然を大切にすることを知ってもらえるような方法を考えたい」など、環境保全活動について様々な意見が飛び出しました。これには三菱製紙販売の皆さんも感心しきり。近いうちに、学生の皆さんと三菱製紙販売とのコラボレーションによる「FSC応援プロジェクト」の企画が誕生するかも!?それぞれに「目からウロコ」の情報や意見が交換され、短い時間ながらも充実した環境学習会となりました。
最後に記念撮影をパチリ。次は森で、チノパン&スニーカーでお会いしましょう☆
皆さん、ありがとうございました!
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