みんなでアクション! 知って選ぼう! FSC応援プロジェクト
森を守るために私たちにできること

森林・紙・「森を守るマーク」・消費者行動から考える授業

主対象:小学5〜6年生 | 簡易版:小学3〜4年生 | 簡易展開:小学1〜2年生

<先生のための指導案・資料集>

(PowerPoint・PDFダウンロード)

保護者の方・先生方へ

気候変動や生物多様性の損失など、環境をめぐる課題がますます身近になる今、子どもたちが自然や資源について学び、自分たちの暮らしとのつながりを考える環境教育は、これまで以上に大切になっています。

「FSC応援プロジェクト」では、森林の役割や日本・世界の森の現状だけでなく、ノートやティッシュ、お菓子の箱など身近な紙製品に目を向け、FSC国際認証やエコマーク、グリーンマークなどの考え方を紹介しながら、「自分なら何を選ぶか」を考える力を育む機会を提供したいと考えています。

大切にしているのは、知識を一方的に覚えたり、一律的に正解を知ることではありません。実際に身の回りの商品を調べたり、マークを探したりする体験から、「これはどこから来たの?」「なぜこのマークがついているの?」と自分なりの問いを立て、調べ、考える力を育てることです。森を守ることは、特別な活動だけではありません。知ること、疑問を持つこと、考えること、そして毎日の暮らしの中で選ぶことも、その一歩です。

学校での授業はもちろん、ご家庭での会話や買い物の場面でも、ぜひFSC応援プロジェクト「教育ページ」の資料や教材をご活用ください。子どもたちが森を自分たちの暮らしにつながるものとして捉え、未来のために自ら考え、行動するきっかけになることを願っています。

1. この教材で育てたい力

本教材は、森林の状況についての知識を得るだけでなく、身近な紙製品やパッケージ、マークなどへの理解を通して、森林と自分たちの暮らし・買い物がつながっていることに気づき、消費者として「考えて選ぶ」力を育てることをねらいとしています。

授業全体を貫く問い

「森を守るために、私たちはどう行動すればいい?」

学習の5つのステップ

  1. 森林の現状を知る
  2. 紙や木製品を通して、暮らしと森のつながりに気づく
  3. 商品の原料・リサイクル・環境マークを知る
  4. 複数の情報をもとに、自分なら何を選ぶか考える
  5. 自分にできる行動を決め、家庭や地域へ広げる

この教材で大切にしたい考え方

  • 「木を使う=森を壊す」と単純化しない。適切に管理しながら利用し、循環させる視点を持たせる。
  • 特定のマークを覚えることをゴールにせず、「何を示すマークなのか」を読み取り、選択の根拠にする。
  • 「環境によい商品を必ず選ぶべき」と結論づけない。価格、品質、必要性など複数の条件を考えた意思決定を尊重する。
  • 数字やグラフは、知識確認より「なぜ?」を生み出す材料として使う。

2. 学習指導要領との位置づけ

本教材は、3〜4年生の総合的な学習、5年生社会科を中心に、5・6年生家庭科、6年生理科へ横断的に接続できます。「社会科の森林学習から、消費者としての選択と行動まで発展させる教材」として活用いただけます。

教科等学年関連内容本教材で扱う内容位置付け
社会5年我が国の国土の自然環境と国民生活との関連森林率、森林の働き、森林資源、森林保全、木材利用主軸 ◎
総合3〜6年横断的・総合的な課題/探究調査、比較、分析、発表、行動展開 ◎
社会4年廃棄物の処理と再利用等古紙回収、資源循環、リサイクル関連 ○
家庭5・6年C 消費生活・環境商品比較、表示・マーク、環境に配慮した買い物接続 ◎
理科6年生物と環境森林、生物多様性、人と環境との関わり発展 ○

・5年生社会科で森林資源について学び、“それでは、私たちの暮らしは森とどうつながっているのか”を紙製品から考え、家庭科・総合の“選ぶ・調べる・行動する”学びへと広げます。
・3年生からでも、横断的な課題発見・探究のテーマとして活用できます。

3. 授業で使える基本データ

子どもに響きやすいのは、次のような“意外な数字”です。

数字はすべてを暗記させる必要はありません。「意外だ」「どうしてだろう」と思わせる導入材料としてお使いください。
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テーマ数字授業での見せ方出典資料
世界の森林森林面積 約40.6億ha陸地の約3分の1FAO Global Forest Resources Assessment 2020PDF Slide1、Slide2
世界の森林減少1990年以降 約4.2億haが森林減少で失われた日本の国土の約1.1倍。毎日、東京23区が消える。1秒ごとにテニスコート17面FAO Global Forest Resources Assessment 2020PDF Slide3、slide4
日本の森林森林面積 2,502万ha国土の約3分の2林野庁「令和6年度 森林・林業 白書」PDF Slide5
日本の木材利用木材自給率 42.5%2024年。2002年の18.8%(最低)から徐々に復活林野庁「令和6年(2024年)木材需給表」PDF Slide11、Slide13
日本の紙における木材の輸入量日本の紙原料の外材依存は 約8割日本の紙づくりでは古紙の利用が進んでいる(66.6%)一方で、純パルプの多くを海外から輸入しており、紙の輸入も一定量あります。そのため、紙の原料全体で見ると、海外由来の木材資源に大きく依存していることがわかります。経済産業省「生産動態統計」、林野庁「木材需給表」PDF Slide14
日本の古紙古紙利用率 66.6%/回収率 81.7%2024年 紙・板紙合計日本製紙連合会「古紙」PDF Slide15

4. 「森を守るマーク」の教え方

FSCだけでなく複数のマークを並べ、「環境マークにも役割の違いがある」と理解させます。順位付けではなく、何を示す仕組みかを読み取ることがポイントです。
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マーク主な意味先生向け補足子ども向けの言い方資料
FSC森林管理+加工・流通までを一貫して管理する国際認証森林の生物多様性、地域社会や労働者等に配慮した森林管理(FM認証)と、CoCによる流通管理。世界的な認証。「森からお店までのバトンリレー」、「森を活用しながら守る仕組み」PDF Slide10
PEFC各国の森林認証をつなぐ枠組み各国・地域の森林認証制度を相互承認する国際的な仕組み。「各国の認証制度をつなぐ仕組み」PDF Slide10
SGEC日本発の森林認証日本の森林・林業の実情に応じてつくられ、PEFCと相互承認。「日本で生まれた認証」PDF Slide10
エコマーク商品全体の環境配慮資源採取から製造、使用、廃棄・リサイクルまで、ライフサイクル全体で環境負荷を考える。「商品の一生を環境の目で見る」PDF Slide16
グリーンマーク古紙利用古紙を原料に一定割合以上利用した紙製品等につけられる。「古紙を使っている目印」PDF Slide16
Rマーク古紙利用古紙の割合を数字で記載「古紙を使っているわりあい」PDF Slide16
木づかいサイクルマーク国産材使用日本の木を使っている。林野庁が認証日本の木を使っているしるしPDF Slide12
間伐材マーク間伐材使用森の成長を助けるために切られた木を有効利用している間伐材をつかっているしるしPDF Slide12
Japan Wood Label(JWL)国産材使用日本の木を使っている。一般社団法人日本ウッドデザイン協会(JWDA)が管理・運用日本の木を使っているしるしPDF Slide12

指導上の注意:マークは商品の特徴を知るための情報の一つであり、子ども自身が複数の情報から選択理由を考える授業にします。

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5. 授業モデルA(4〜5年生用)

テーマ「買い物をつうじて森を守る」

5年社会科の森林学習を起点に、家庭科・総合へ展開するモデルです。すべて実施する必要はなく、学校の年間計画に応じて1〜4時間程度に抜粋できます。簡易版Bの「調べ学習用シート」なども適宜活用してください。
授業モデルA_先生コメント入りPowerPoint⇒ダウンロード ※PDFとページが異なりますのでご注意ください。

番号学習テーマねらい中心発問PDFの図版
1地球の陸地のどのくらいを森が占めているか陸地の多くを占める森は、地球環境として重要な役割を担っている。森は多い?少ない?PDF Slide1、Slide2
2世界の森では何が起きている?森林減少を世界的な課題として捉えるなぜ森が減るのだろう?PDF Slide3、Slide4
3日本のどのくらいを森が占めているか日本の森は豊かな資源となる可能性がある日本の森は多い?少ない?PDF Slide5
4森が多いのに外国の木?木材自給率から木材利用を考えるなぜ自給率は100%ではない?PDF Slide6
5木を使ったら森はなくなる?森林の利用と循環を考える木を使わないことが正解? PDF Slide7、Slide8、Slide9
6森を守るマークを調べよう各マークの意味などを知る森を循環させるマークを選ぼうPDF Slide10
7日本の木が使われつつある間伐材などを使うことが、森林保全につながるなぜ国産材をつかうのはいいの?PDF Slide11
8国産材のマークを調べよう各マークの意味などを知る国産材を上手に使う製品を使おうPDF Slide12
9日本の木は何に使われているの?木材だけでなく、紙や身近な製品にも日本の木が使われていることに気づく。国産材ってどんなものにつかわれている?PDF Slide13
10紙の原料は?紙の原料となるのは、古紙・パルプ共に外国産材が多い紙はどうして外国産パルプが多いの?国産を増やすには?PDF Slide14
11古紙を取り巻く状況は?7割が古紙で、紙の8割がリサイクルされている古紙を選ぶと国産の割合も増える?PDF Slide15
12古紙に関するマーク各マークの意味などを知る古紙を使った紙を選ぼうPDF Slide16
調査学校でマーク調査実物を観察・記録するどんな商品に多い?
調査家・店で調べよう生活圏へ調査を広げる学校と家で違いはある?
議論どんな紙を選ぶ?複数条件から商品を比較するあなたなら何を理由に選ぶ?
行動森を守る買い物ルール根拠をもって行動案をつくる私たちは何を大切に選ぶ?PDF Slide17、Slide18
発表発表・振り返り考えを説明・発表し、行動につなげる明日から何を変える?

6. 授業モデルB(3〜4年生用)

テーマ「買い物をつうじて森を守る」

簡易版は、3〜4年生の総合的な学習として、調査、比較、分析、体験、発表、行動へと展開するモデルです。必要に応じて、授業モデルAで使用したデータや図版を抜粋して提示するとよいでしょう。

授業モデルB_先生コメント入りPowerPoint ⇒ダウンロード ※PDFとページが異なりますのでご注意ください。

活動ねらい発問指導のポイントPDFの図版例
導入クイズ日本の森林率を予想「日本の国土のうち森林はどのくらい?」予想を挙手・選択で出させる。正解後すぐ説明しすぎない。PDF Slide5
教室の中の森探し暮らしとの接続「教室に“森から来たもの”はいくつある?」ノート、紙、鉛筆、箱などを実物で。PDF Slide20
紙の旅原料と循環「このノートはどこから来た?」木材パルプと古紙の両方を紹介。PDF Slide19
木を使うことを考える持続可能な利用「木を使わないほうが森にいい?」植える→育てる→使う→また育てる、を図示。PDF Slide7
マーク比較表示を読む「このマーク、どんな意味?」FSC・PEFC・SGEC・エコマーク・グリーンマーク。PDF Slide10、Slide16
商品選びゲーム意思決定「A・B・C、あなたならどれ?」正解を決めない。選んだ理由を聞く。PDF Slide22
買い物と社会消費者の役割「選ぶ人が増えたら何が変わる?」消費者→店→企業→生産の連鎖。PDF Slide21
行動宣言生活へつなぐ「明日からできることを1つ」小さく具体的な行動にする。PDF Slide17、Slide18

7. 簡易版C(1〜2年生用)

1・2年生では制度理解を深追いせず、「森と暮らしのつながりを発見する」「マークは作り方を知る手がかりになる」という体験を中心にします。

1:教室の中の森を探そう

ノート・鉛筆・紙箱などを探し、森が暮らしにつながっていることに気づく。>PDF Slide20

2:紙はどこから来る?

木→紙→使用→回収→再生という流れを簡単にたどる。>PDF Slide19

3:マークを探そう

FSCなど数種類のマークを「森や資源を大切にするヒント」として紹介する。>PDF Slide10、Slide12、Slide16

4:わたしの森を守る宣言

無駄にしない、分別する、マークを見る、古紙を使うなど、自分にできることを一つ決める。PDF Slide17、Slide18

商品選びゲーム実施例

商品比較は、価格だけでも環境表示だけでも決められない設定にします。子どもに「何を大切にしたか」を説明させることが目的です。(PDF Slide22)

商品A商品B商品C考える視点
価格198円218円178円家計・予算
表示再生紙100%FSC認証特になし原料・森林・資源
特徴少し硬め肌触りがよい大容量使いやすさ・必要量

問い方の例「どれが正解?」ではなく、「あなたならどれを選ぶ? その理由は?」→「ほかの人の理由を聞いて、考えが変わったところはある?」と進めます。

8. 授業で避けたい表現・誤解

  • ×「木を切ると森がなくなる」 ○「森林の種類や管理のしかたによって違う。持続的に利用することも森林を維持する方法の一つ」
  • ×「再生紙なら木を使わない」 ○「再生紙にも新しいパルプが必要になる場合がある。紙は用途によって原料構成が違う」
  • ×「FSCは環境だけを見るマーク」 ○「環境面だけでなく、地域社会や労働者など社会面も含む森林管理を扱う」
  • ×「FSC・PEFC・SGEC・エコマーク・グリーンマークは全部森林認証」 ○「森林認証と、商品全体の環境表示、古紙利用表示はそれぞれ役割が異なる」
  • ×「環境商品を買えば森を守れる」 ○「買い物は一つの行動。無駄を減らす、長く使う、分別する、地域の森を知るなど複数の行動がある」

9. 評価の観点・振り返り例

成否を「認証商品を選ぶと言えたか」などで評価せず、情報を使って自分の考えを形成・説明できたかを見取ります。

観点見取りたい姿振り返りの問い
知識・技能森林の役割、紙の原料や循環、マークの役割の違いを理解している「今日わかったことで、一番意外だったことは?」
思考・判断・表現価格・品質・環境情報など複数の条件を比べ、選択理由を説明できる「あなたは何を大切にして商品を選んだ?」
主体的に学習に取り組む態度学校や家庭で表示を探すなど、学びを生活につなげようとしている「明日から試したいことは?」

10. 参考資料・出典

授業用スライドや配布資料に数値を転載する際は、出典名と年を併記してください。数値は更新されるため、教材改訂時には最新版を確認するようにしてください。

FAO「Global Forest Resources Assessment 2020」

https://www.fao.org/interactive/forest-resources-assessment/2020/en/

※世界の森林面積は約40.6億haで、陸地面積の約31%。

FAO「Global Forest Resources Assessment 2020」

https://www.fao.org/interactive/forest-resources-assessment/2020/en/

※1990年以降、農地などへの転換によって失われた森林は世界で約4.2億ha。日本の国土面積の約11倍に相当。

FAO「Global Forest Resources Assessment 2020」、東京都「東京都の統計」

https://www.fao.org/interactive/forest-resources-assessment/2020/en/

https://www.toukei.metro.tokyo.lg.jp/kurasi/2026/ku26-23.htm

※1990〜2020年に失われた森林面積約4.2億haを30年間で平均して換算。東京23区の面積は約628km²、テニスコート1面はダブルスコート約261㎡として計算。

林野庁「我が国の森林の概況」

https://www.rinya.maff.go.jp/j/kikaku/hakusyo/r6hakusyo_h/all/tokusyu2_1.html

※日本の森林面積は約2,502万haで、国土面積の約3分の2。

林野庁「木材需給の動向」

https://www.rinya.maff.go.jp/j/kikaku/hakusyo/r7hakusyo_h/all/chap3_1_2.html

※木材自給率は2002年18.8%、2024年42.5%。

林野庁「令和6年(2024年)木材需給表」

https://www.rinya.maff.go.jp/j/press/kikaku/251121.html

※2024年の木材需要量に占める割合。製材用27.3%、パルプ・チップ用32.8%、合板用9.4%、燃料材・その他約30.5%。

日本製紙連合会「製紙産業の概要」「パルプ材」

https://www.jpa.gr.jp/states/brief/index.html

https://www.jpa.gr.jp/states/pulpwood/index.html

※紙の原料は古紙が約7割、パルプが約3割。2024年のパルプ材は国産材約26%、輸入材約74%。

日本製紙連合会「古紙」

https://www.jpa.gr.jp/states/used-paper/

※2024年の古紙利用率66.6%、古紙回収率81.7%。

学習指導要領

文部科学省「小学校学習指導要領(平成29年告示)解説 社会編」第5学年「我が国の国土の自然環境と国民生活との関連」
https://www.mext.go.jp/content/20230308-mxt_kyoiku02-100002607_003.pdf

文部科学省「小学校学習指導要領(平成29年告示)解説 家庭編」第5・6学年 C「消費生活・環境」
https://www.mext.go.jp/content/20240918-mxt_kyoiku01-100002607_02.pdf

文部科学省「小学校学習指導要領(平成29年告示)解説 理科編」第6学年「生物と環境」
https://www.mext.go.jp/content/20211020-mxt_kyoiku02-100002607_05.pdf

11. さいごに

この学習で目指したいのは、子どもたちに「正しい商品」を覚えさせることではありません。自分たちの暮らしが森とつながっていることを知り、商品に示された情報を読み、複数の条件を比べながら、自分なりの理由をもって選択できるようになることです。

「森を守る」という大きな課題を、自分のノートやティッシュ、買い物という身近な行動まで引き寄せる。その小さな発見を、家庭や地域、社会を見る目へつなげてください。

授業のゴール

「森を守ること」と「毎日の暮らし・買い物」はつながっている、
と子ども自身が言葉にできること。