2018.6.12

「快適な暮らし」をさらに「心地よく」するために

ユニ・チャームの衛生用品と紙製梱包資材



紙おむつや生理用品、マスクなど、衛生用品の大手メーカーである「ユニ・チャーム」。日本から世界約80カ国へと展開し、高品質なモノづくりで多くの人の快適な暮らしに貢献しています。そこには高度なテクノロジーはもちろん、様々な工夫や配慮が施されており、「持続可能な原料調達」もその1つ。FSCを含めた持続可能性に配慮した原料を使用することを宣言しています。その目標に対し、どのような思いで、どのような取り組みが進められているのか。同社CSR本部 参与の宮澤清さん、CSR本部 環境推進グループの藤野俊輔さんにお話を伺いました。

お話しを伺った方

ユニ・チャーム株式会社
CSR本部 参与
宮澤清さん(右)
CSR本部 環境推進グループ
藤野俊輔さん(左)
研究者として長いキャリアを持つ宮澤さん。4歳になるお孫さんの将来を思うたび、「地球にあるべき姿を未来につなぐために、今やるべきことをやらなければ」と強く感じるといいます。「少子高齢化や環境問題など社会問題の解決には企業の参加が欠かせません。その一員として私自身も貢献したいと思っています」。一方、藤野さんは4年前に東京に異動して来られました。静岡や四国など自然豊かな地域で生まれ育ったため、都会には自然が少ないと感じるそうです。「FSCに関わることでたくさんの方に出会い、環境問題にはみんなで取り組むことが大事だと実感しています」。

 

本当の「心地よさ」のための製品作りを目指して

私たちの暮らしに寄り添い、快適な生活を支えてくれるユニ・チャームの商品。1961年の生理用品の開発に始まり、紙おむつやマスクなど様々な商品が登場し、生活にはなくてはならない存在になっています。しかし、快適さの一方で使い捨て商品は環境への影響が懸念されており、事業継続性の観点からも、資源の枯渇や気候変動といった地球規模の環境問題への対応は大きな事業課題となっています。


そこで、ユニ・チャームでは、事業活動における環境問題に対する取り組みとして、2020年に向けた中期環境目標「Eco Plan 2020」を策定。原料の調達から製造、廃棄に至るまで「廃棄物の削減」「持続可能な原料調達」「気候変動への対策」を3つの柱とするアクションプランを掲げています。

出典:ユニ・チャーム Webサイトより

出典:ユニ・チャーム Webサイトより

http://www.unicharm.co.jp/csr-eco/environment/

「FSCのような認証原料の採用は『持続可能な原料調達』でも重要な取り組みの1つです。例えば、製品を流通させる際に使用する日本国内の段ボールでは、既に9割以上がFSC認証原料を使用しており、年内には100%を実現できる予定です。FSCマークも入れているのですが、なかなか一般消費者の方々の目には触れないかもしれませんね」(宮澤さん)

確かに!さりげなくですが「FSCマーク」が入っています!

確かに!さりげなくですが「FSCマーク」が入っています!

しかしながら、私たち一般消費者に見えなくとも、環境配慮はユニ・チャームにとって重要な事業課題であることは変わらないといいます。

「お客様の中に環境配慮に対して関心を持たれる方も増え、お声をいただくこともあります。しかし、環境への取り組みは、お客様のご要望以前の“企業の責任”に基づくものと考えています。『快適さ』から一歩進んで、生きる楽しさや喜びといった『心地よさ』を提供したい。そのために商品の機能や品質を高めるだけでなく、社会的に受け入れられ、認められる製品づくりが不可欠だと考えています」(宮澤さん)

宮澤清さん

宮澤清さん

 

認証原料を使うことの意義

FSC認証原料の採用にあたっては、世界80カ国以上に展開するグローバル企業ならではの難しさがあるといいます。まず国ごとにFSCの普及率が異なり、調達できる原料や量が異なること。そして、世界各国で生産されるため取引先が多種多様に渡り、FSC認証原料を調達できない地域の会社が含まれていることもあります。

「製品の製造には当社だけでなく、原料調達から素材加工までパートナー企業との連携が不可欠です。それだけに森林管理から加工・流通まで一貫して認証を取得することが求められるFSCは、商品全体に採用することが難しいのです。つまり、原料にFSCを使っていても製品に『FSCマーク』はつけられません」(藤野さん)

藤野俊輔さん

藤野俊輔さん

さらに吸収体など特殊な技術を用いた様々な紙を組み合わせて製造される製品が多いため、全ての原料をFSCに統一することが難しいという事情もあるそう。

「しかし、認証マークをつけることが私たちの目的ではありません。お客様に気づかれなくても、製品が環境に配慮したものとなり、会社として持続可能な社会の実現に寄与することこそが大切だと考えています。FSC認証原料を利用できるところは利用し、それ以外の認証原料も臨機応変に活用するなど、できるところからやっていく。今後も『心地よさ』を追求する会社の矜持として、取り組みを進めていきます」(藤野さん)

おむつなどの吸収体の一部にも、実はFSC認証原料が使われています。

おむつなどの吸収体の一部にも、実はFSC認証原料が使われています。

実際に環境中期計画の『Eco Plan 2020』では、国内・海外ともに紙・パルプ原料を2020年には100%第三者認証原料にすることを宣言しており、2018年現在で、日本では9割、世界でも8割以上が第三者認証原料へ置き換えられています。

「『気づかれなくてもいい』と言ったものの、認証原料への置き換えは相当に苦労していますので、ユニ・チャームの製品をお店で見かけたら、『紙部分の9割は認証原料で、その中にFSCも入っているんだなあ』と想像していただけると嬉しいですね(笑)」(藤野さん)

あの製品もこの製品も、紙部分の9割は認証原料!

あの製品もこの製品も、紙部分の9割は認証原料!

大切な資源を管理して再利用する「エコシステム」を目指す

 

さらにユニ・チャームでは、使用済み紙おむつのリサイクルにおいても、画期的な技術を開発しています。オゾン処理することで、使用済み紙おむつを上質パルプとして再利用するというもので、さらに廃水を微生物燃料電池のエネルギー源に利用し、水の浄化と電力回収を行うことで環境負荷を大幅に減らせるといいます。

現在、鹿児島県志布志市など自治体との連携で実証実験を行っており、2020年までに本格運用を予定しているそうです。さらに国内・海外に紙おむつのリサイクルシステムを広げていくことを目標にしています。

「これからの時代は、FSCのように限りある資源をしっかりと管理し、リサイクル資源と併用して活用することがスタンダードになるでしょう。その実現のためには、環境配慮型の製品を選んでいただくことはもちろん、紙おむつの回収などリサイクル面でも消費者の皆さんの協力が欠かせません。未来に美しい地球を引き継いでいくために、そうしたエコシステムを皆さんと共に作っていけたらと考えています」(宮澤さん)

CSR・環境のページでは、「持続可能な原材料調達の取り組み」としてFSCの紹介も

CSR・環境のページでは、「持続可能な原材料調達の取り組み」としてFSCの紹介も

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必ず掲載とならない旨、何卒ご了承ください。

ユニ・チャーム株式会社
東京都港区三田3-5-27 住友不動産三田ツインビル西館
http://www.unicharm.co.jp/

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