森の達人・三崎孝平の樹木雑学

2018.11.5

【第10回】マツボックリの渦巻き


『樹木雑学』でもたびたび登場するマツについて、今回は数学的見地から迫ります!
といっても、難しい話ではありませんのでご心配なく。これを読むとマツボックリの美しさに目覚めるかもしれません。自然の形が持つ不思議な美しさについて、森の達人・三崎孝平さんが解説します。

 

 

渦巻き状のらせんを描くマツボックリ

以前にマツの種の話(「夏休みの自由研究に!アカマツの種で発芽実験」)をしましたが、今回は「マツボックリ」の話です。「マツボックリ」は松かさともいい、実はマツだけでなく、スギやヒノキなどの針葉樹が作る果実も松かさと呼ばれています。多くの木質の鱗片が重なって球形や円錐形を形成しており、この球果(きゅうか)は、針葉樹にだけできる果実の形です。
 

マツボックリを注意して見てみると面白い形を見つけることができます。
一枚一枚の鱗片の並び方には規則性があって、それが「渦巻き状」(らせん状)に並んでいることです。しかもこの渦巻きは、右回りにも見えるし、左回りにも見えます。
 

それでは、写真のマツボックリを例に、この渦巻きを数えてみましょう(写真のコピーを取って線を書き込むとわかりやすいです)。
 

整列の美しさは黄金比とフィボナッチ数列?

アカマツのマツボックリには、この「5」「8」「13」の渦が見られます。そして、5・8・13の数字には、二つの”不思議”が隠されているのです。
 

まず「左回りに5本」 


 

次に「右回りで8本」


 

そして「左回りに13本」


 

1. 黄金比
ある線分を a, b の長さで 2つに分割したとき、a : b = b : (a + b) となる比のことを黄金比と言います。近似値は 1 : 1.618で、人間が無意識に美しさを感じる調和のとれた割合と言われています。マツボックリに表れた渦巻きの比を見てみると 5 : 8 = 1 : 1.600, 8 : 13 = 1 : 1.625とほぼ黄金比になっているのです。
 

2. フィボナッチ数列:
隣り合う数字の和が次の数字になる形で進んでいく数列をフィボナッチ数列と言います。具体的には0・1・1・2・3・5・8・13・21・34・55・・・・です。
マツボックリに見られる渦巻きの数「5・8・13」はまさにこの数列の一部なのです。
そして、この隣り合う数字の比は黄金比になっています。
マツボックリに並ぶ鱗片を見て美しさを感じるのは、もしかしたらこんな理由があるのかもしれません。
 

今回はマツボックリの渦巻きについてご紹介しましたが、この数列はマツボックリ以外にも、ヒマワリの種の並び方や、サボテンのとげの配置、バラの花びらの数、植物の葉の出かたや枝の伸び方など、さまざまな自然界の現象と深く関わっています。
 

植物を観察する機会があったら、こうした数学的な規則性にも注意して見てください。

 
<「森の達人」こと、三崎孝平さんプロフィール>
環境保全に貢献するという目的で設立されたエコシステムアカデミーのシニアインストラクターや全国森林インストラクター会会員として活躍中。日本各地の学校や森を飛びまわり、森の大切さや、FSC森林認証について伝えています。このコーナーでは、森や自然がますます身近になる楽しい情報を「樹木講座」としてお届けしています。

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