森の達人・三崎孝平の樹木雑学

2018.6.29

【第8回】木と草の違い


「木と草の違いは?」と聞かれたら、どんなことを思い浮かべますか?木は茶色い幹で、背が高くて…とほとんどの人がそのようなイメージかもしれませんね。反対に草は緑色で、茎が短くて…といった感じでしょうか。でも、中には草だと思っていたら木だったり、木だと思っていたら草だったりする植物もあるんです。
今回は「木」と「草」の違いは何か、解説いたします。

 

 

ラベンダーは木、バナナは草!?

生物学では木(樹木)を「木本」、草(草花)を「草本」と言います。
木も草も「光合成」をして生長する植物ですが、「それではその違いを説明できますか?」と聞かれると、なかなか簡単に説明はできないと思います。
 
木と草の違いについては、前述したように「木は大きく(高く)草は小さい(低い)」と思っている方がいますが、ハーブでよく知られるラベンダーやタイムは木に分類されてますし、そうした小さな木もあればヒマワリのような大きな草もありますね。
 

満開のラベンダー畑

ラベンダーは木


ヒマワリ畑

どんなに背が高くてもヒマワリは草

 
その他にも、高さ数メートルにもなる巨大な草としてバナナがあります。
バナナは熱帯地方を中心に分布しているバショウ科の植物で、バショウ科は 葉鞘(葉の基部が茎を抱き包むように発達している状態)が大きくなるという特徴があります。
 

バナナの木とバナナの実

バナナは巨大な草


 

逆にあまりにも背が低く草のように見えることから「富貴草(ふっきそう)」と名付けられた木もあります。

 

フッキソウ

名前に「草」がついていても「富貴草」は木の仲間

 
やはり、「大きい(高い)・小さい(低い)」で木か草かを決めるのは無理があるようです。

 

樹木の特徴は「形成層」があること

「樹木=木」には、木の皮(樹皮)のすぐ内側に沿って生きた細胞の層があり、これを「形成層」と呼んでいます。形成層は細胞の製造工場で、この部分は木が死ぬまで細胞を作り、細胞を幹の内側へ送り出します。送り出された細胞はやがて死に、細胞の「殻」である細胞壁しか残りません。この部分を「木部(木材部分)」といいます。「樹木」はこの細胞壁(木部)を蓄積していくことによって、幹を太くしていきます。これを肥大生長と言い、これが「樹木」の特徴なのです。

 

木の断面。中心は心材、中心から外側に向かって辺材、一番端に形成層、その外側に樹皮

形成層の内側に蓄積されているのが細胞壁(木部)です。
中心部を心材、周辺部を辺材といい、心材は色素沈着によって赤くなります。


 

「草花」には形成層がなく、ある程度生長すると太くなりません。
これが木と草の違いです。
 

それでは「竹は?」と思った方もいるかもしれませんね。
竹には形成層がなく、数ヶ月すると太くなりません。しかしながら茎が堅くなり、木質化するという特徴があります。竹は地下茎で広がっているので、実は見えている部分を切ってもまた伸びてきます。60年から120年ほどの周期で花を咲かせる種類もあるようです。とても長生きなのですね。

竹の分類にはさまざまな意見があり、竹は竹であり木でも草でもないとする説もありますが、竹の近縁で完全な草である種と区別して、例外的に「木」に分類されることが多いようです。
 
簡単に木と草の違いを説明すれば、何十年も何百年も生き続け太くなるのが「木」で、1年から数年で枯れてしまうのが「草」と言うことができるかもしれません。

 
<「森の達人」こと、三崎孝平さんプロフィール>
環境保全に貢献するという目的で設立されたエコシステムアカデミーのシニアインストラクターや全国森林インストラクター会会員として活躍中。日本各地の学校や森を飛びまわり、森の大切さや、FSC森林認証について伝えています。このコーナーでは、森や自然がますます身近になる楽しい情報を「樹木講座」としてお届けしています。

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