森の達人・三崎孝平の樹木雑学

2017.11.6

【第3回】紅葉の仕組み

すっかり秋も深まってきました。秋といえば紅葉の季節。そこで今回は紅葉の仕組みについて、森の達人・ 三崎孝平さん(エコシステムアカデミー)に解説していただきます。

 

秋にならなくても紅葉する?

紅葉
今年は一気に寒くなり、急に秋が来たように感じますね。東北の山々はすっかり紅葉に包まれました。そろそろ関東も紅葉に染まる頃でしょう。
 
ところで、樹木はなぜ紅葉するのでしょうか?
夏の日が長く暖かいとき、「葉」は光合成により栄養をつくります。また葉の表面から水分を蒸発させることで根からの水分の吸収を促し、体内の水分を循環させています。しかし、夏から秋にかけて日が短くなり気温も下がってくると、樹木は周りから十分なエネルギーを得ることができなくなります。さらに夜間の気温が10℃前後になると、樹木は活動を抑え休眠状態にはいります。
 
そうなると葉はいりません。樹木は「もう葉は必要ない」と判断すると、葉と枝のあいだに「離層(りそう)」という仕切り(コルク層)をつくります。その仕切りによって樹木と葉の間で養分が循環しなくなります。紅葉はこの時から始まります。
仕切りがつくられ、葉と樹木のあいだで養分が循環しなくなると、葉に含まれる成分が変わり葉の色に変化が生じます。これが紅葉のメカニズムです。
 
葉に含まれる色素には緑色のクロロフィル(葉緑素)、黄色のカロチノイド(カロチン類とキサントフィル類)があります。夏はクロロフィルの量がカロチノイドよりずっと多いので、黄色は目立たず葉は緑色に見えます。そして秋、気温が低くなると葉のはたらきが弱まり、クロロフィルが分解されます。そのため、クロロフィルに隠されていたカロチノイドの色が目立って黄色になります。イチョウやポプラの葉が秋に黄色になるのはそのためです。
 
一方、葉柄の付け根に作られた離層のため、葉の中の物質が茎に移動できなくなり、光合成で生産された糖は葉に留まることになります。この糖から赤い色素のアントシアニンができて葉は赤くなります。これが赤くなる仕組みです。
 
アントシアニンの合成には、温度と光の条件が重要で、1日の最低気温が8℃以下になると紅葉が始まり、5~6℃以下になるとぐっと進むといわれています。
 
鮮やかに紅葉するには、日中の気温が20~25℃で夜間は5~10℃になり昼夜の気温の差が大きいこと、空気が澄んで葉が充分日光を受けられることや、大気中に適度な湿度があって葉が乾燥しないことなどが必要です。秋晴れ後の夜間に急激に気温が下がると紅葉が進むのはこのためです。
 
……とわかったようなことを言っていますが、実は紅葉する葉の科学変化は難解です。緑葉から紅葉に変わるまでに糖やアントシアニンが生成されることがわかっています。しかし、紅葉の赤い色がアントシアニンの色だという結果はわかっていても、アントシアニンがどんなふうに生成されるかは、まだ完全に解明されていないのが現状のようです。たとえば台風等で折れた木の枝の葉が、秋でもないのに紅葉するのも同じ理由です。
 

モミジとカエデ…どっちがどっち?

秋になるとよく赤い手のひらのような葉を拾いますが、人によってはモミジと言ったり、カエデと言ったり…一体どちらでしょうか。
 
もみじ
 
実は、モミジとカエデは同じものをさしています。正確には、植物の中に「モミジ」という学名はありません。私たちが普段「モミジ」と呼んでいるものは、全て「カエデ科」の植物です。
 

カエデという名の由来は「蛙(かえる)の手」(かえるで)からきています。
一方、モミジはもともと「もみづ」といいます。染色などで「色を揉み出す」ことで「色が変わる(染まる)」が語源になっています。イロハカエデは特に赤が鮮やかに「もみづる木」なので、「もみじ」になったといわれています。
昔の人は、「かえるでがもみづる・・・」なんて言っていたのでしょうか?

 
<「森の達人」こと、三崎孝平さんプロフィール>
環境保全に貢献するという目的で設立されたエコシステムアカデミー(http://ecosystemacademy.jp/)のシニアインストラクターや全国森林インストラクター会会員として活躍中。森の大切さを伝えるため、日本各地の学校や森を飛びまわっています。森や自然がますます身近になる楽しい情報を「樹木講座」としてお届けします。

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