2015.9.30

フィンランド編 FSCグローバルレポート

森と共に生きる北欧ではポピュラーなマーク

 
ムーミンやサンタクロースの誕生国としても知られる「フィンランド」。全陸地面積の72%は、もみの木や松などの針葉樹林で覆われ、人々の生活と密接に結びついています。その密接具合は、1年間留学していたナナミさんが「森がなかったら、フィンランドの特徴とかアイデンティティーとかがなくなっちゃうと思う」と評するほど。はたして、“森を守る”FSCのマークはどのくらい浸透して、人々の生活にどのような影響を与えているのか。ナナミさんのレポートを紹介します。
 
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今回レポートいただいたのは、高校生2年生のナナミさん。留学生として10ヶ月間、ホームステイしながらフィンランドの生活や文化に触れてきました。秋には、森にベリー摘みに出かけたそう。
 

フィンランドにとって、森はアイデンティティそのもの

家の裏はすぐ森になっていて、学校には、森の中に切り開かれた歩道を歩いていきます。

家の裏はすぐ森になっていて、学校には、森の中に切り開かれた歩道を歩いていきます。

ちょっと郊外に出ると森があり、動物達ともすぐに出会えます。フィンランド語で Valkohäntäpeura (ヴァルコハンタペウラ、「白い尾の鹿」を発見!

ちょっと郊外に出ると森があり、動物達ともすぐに出会えます。フィンランド語で Valkohäntäpeura (ヴァルコハンタペウラ、「白い尾の鹿」を発見!

夏は緑の森と湖の対比が美しい。湖が多く「1000の湖のある国」というニックネームもあるそう。

夏は緑の森と湖の対比が美しい。湖が多く「1000の湖のある国」というニックネームもあるそう。

秋は紅葉がきれい。

秋は紅葉がきれい。

長い冬、雪の中でも森の中には楽しみがいっぱいです。

長い冬、雪の中でも森の中には楽しみがいっぱいです。

私がホームステイさせてもらっていたホストファミリーが住んでいるのは、北部最大の都市「オウル」です。ハイテク産業が発達していることでも知られていますが、フィンランドの他の都市と同様、街の中心部から少し離れると森が広がり、自然が豊かな環境です。
 
調べたところ、フィンランドは土地の面積に対する森の面積が72パーセントと、先進国の中で断トツで多いそうなんですよね。正直言って、森がなかったら、フィンランドの特徴とかアイデンティティーとかがなくなっちゃうと思います。
 
夏には湖畔で過ごしたり、秋にはベリー摘み(ブルーベリー、リンゴンベリーなどが採れる)に行ったり、冬にはクロスカントリースキーなどを楽しみます。森でオリエンテーリングをしてそのタイムを競う、というスポーツもあるくらい。あらゆる楽しみが森とともにあるんです。
 

見出し森を愛しているからこそ、森を守ろうという気持ちも強い

日用品のディスカウントストア「TOKMANNI」で、FSCマークハンティングをしてみました!

日用品のディスカウントストア「TOKMANNI」で、FSCマークハンティングをしてみました!

 
ちょっとフィンランドの森の紹介が長くなっちゃいましたが、それだけフィンランドの人は「森が大好き」「森LOVE♥︎」な人が多いということなんです。森を大切にしようという気持ちは、すなわち環境を守ろうという気持ちと同じ。ホストマザーをはじめ、皆さんエコに対する意識はすごく高いです。たとえば、ホストマザーは、エコのためになるべく国産製品を買うようにしているそうです。「輸入物は燃料がかかっていてエコじゃないから」ですって。食品自給率が低い、輸入大国の日本人としてはちょっぴり耳が痛いコメントでした。
 
さらに「フィンランドはある程度裕福だから、値段よりもエコを意識して買い物をする人が多いのよ。一昔前のもう少し貧乏だったころは、余裕がないから値段を優先する人が多かったけどね」って。日本も先進国として経済的には恵まれているけれど、そのくらい意識してお買い物をしているかどうか。私自身、レジ袋は必要な時にしかもらわず、もらっても再利用するなど、ゴミは増やさないようにしています。でも、買い物をするときは、エコよりも値段を優先してしまっていたかも…。反省です。
 
ちなみに「FSC」について聞いてみたところ、ホストマザーは、当然のようにご存知でした。「フィンランドでは有名なサインで、多くの人が知っているわよ」とのこと。実際、ホストマザーは木製の椅子などを買う時に、必ずFSCマークを見て選ぶそうです。確かに、スーパーでちょっと探してみたら、紙製品にはけっこうFSCマークがついていました。その一部を紹介しますね。
 

日常的に利用するディスカウントストアでいろいろ発見!

文具売り場のノート。KOULUKALENTERIは、スクールカレンダー、スケジュール帳のこと。

文具売り場のノート。KOULUKALENTERIは、スクールカレンダー、スケジュール帳のこと。

紙ナプキンに発見。

紙ナプキンに発見。

実は、私自身はFSCマークについて知らなかったんです。見たことがあるような気はしてましたが、意味までは知りませんでした。でも、日常的に利用していたディスカウントストア、それもなじみ深い文房具コーナーでは、ちょっと探しただけでいろいろみつかりました。
 
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何気なく、家に帰ってきてほっと一息いれようと、ジュースを飲んだら。。。ありました。トマトジュースと、ブルーベリーのジュースのパッケージ。フィンランドではとてもメジャーなブランドです。
 
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フィンランドに来て、改めて森の大切さと良さがわかったので、森を守っていきたいと思うようになりました。今までなんとなく見過ごしてきたけれど、振り返ってみれば日本も森が豊かな国なんですよね。その一方で世界各地から木材や紙パルプを輸入している。だから、FSCが日本でももっと広まって、もっと多くの会社がFSCマークを導入していけば、世界中の森林が守られていくんじゃないでしょうか。私ももっと協力したいと思いました。


【フィンランドにおける森林活用とFSCマーク】

500m2以上の湖が18万以上、国土の72%を占める針葉樹の森が続く「森と湖の国」フィンランド。フィンランド人も自国を「スオミ(suomi)=湖の国」と呼んでおり、自他ともに求める自然に恵まれた国です。国土は日本とほぼ同じながら、人口は北海道(約550万人)よりやや少ない約546万人ほど(2015年)。広々とした大地にゆったりとした森、ちょっとうらやましくなる環境ですね。
 
森にはヘラジカやオオカミをはじめとする多くの野生動物が生息しており、ベリーやきのこなども豊富。レポートにもあったように、人々も春夏秋冬いつでも森に入って様々な森の恵みを楽しんでいます。
 
かつては森林伐採が急激に進んだ時期がありましたが、危機感を強めた政府と市民により、19世紀から森林の計画的管理が政策として進められています。個人所有の森が6割を占め、「森林を伐採したら植林する」がルールとされ、年間の伐採量は森林生長量の75%のみ。森林を減少させることなく、木材資源を利用し続ける仕組みが整い、森林の98%が「持続可能」のお墨付きをもらっています。
 
森資源に恵まれた環境にあるためか、古紙回収率は61.7%(2013年)と低め。それでも以前は4割以下だったとのことなので、その面でもずいぶんとエコ意識が高まってきていると言えるでしょう。
 
FSCフィンランド https://fi.fsc.org/

FSC C011851

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